人材の獲得と育成

グローバルHRポリシー

グローバルHRポリシー

シスメックスでは、「グローバルHRポリシー」を基本方針とし、従業員一人ひとりが充実したキャリアを実現し、自律的に学び成長できる環境づくりを進めています。
採用から退職、セカンドキャリアまでの一連の流れを「エンプロイージャーニー」とし、多様な人材が自らのキャリアを構築し、主体的かつ継続的に学ぶことを支援しています。合わせて、ジョブ型(職務)人事制度に基づく公平性と外部競争力を確保した人材マネジメントを通じて、戦略と連動した人材の獲得・育成・活躍を推進し、イノベーションの創出と持続的な企業価値向上につなげています。

テクノロジーを活用したタレントマネジメント

シスメックスでは、グループ全体の人材情報を一元的に管理・活用し、従業員一人ひとりの状況や志向に応じた人材マネジメントを進めています。情報漏えい防止の観点から、システムによるデータマネジメント機能に加え、グローバル共通のデータ管理規則を整備し、アクセス権限を適切に管理することで、安全かつタイムリーに人材データを活用できる体制を整備しています。こうした基盤のもと、マッチングアルゴリズムを活用した自律的なキャリア形成支援や、リモートワークを含む柔軟な働き方の推進、オンライン研修の充実による学習機会の拡充などを進めています。さらに、リアルタイムでフィードバックが可能な従業員エンゲージメントサーベイを通じて、これらの施策の浸透状況や効果を把握し、継続的な組織改善につなげています。

多様な人材の獲得

シスメックス株式会社では、イノベーションの源泉は多様な人材であるとの考えから、さまざまな経験や価値観を持った人材の採用を行っています。「いつでも、どこでも、だれでも」をポリシーに、国籍・人種・性別・年齢・職歴・障がいの有無を問わず、人物本位で採用を実施しています。
新卒採用、キャリア採用ともに、職種別/ポジション別に募集を行っており、個々の専門性や志向、働き方の希望に基づき応募を受け付けています。また、新卒採用では海外大学からの直接採用を推進するとともに、外国籍採用比率※1のモニタリングやジェンダー別の採用目標※2の設定を通じて、多様な人材の獲得を積極的に推進しています。

  1. ※1新卒の外国籍直接採用比率:2025 年度実績 4.2%
  2. ※2新卒の女性採用比率:2025 年度実績 37.5% 2026 年度目標:40%

個・組織のニーズのマッチングに基づく配置

シスメックス株式会社では、一人ひとりの自律的なキャリア形成を支援するため、従業員と組織のニーズのマッチングに基づき、配属部門を決定しています。新入社員の配属では、本人と部門の希望に基づいたマッチングアルゴリズムを用いて、最適な配属部門を決定する仕組みを採用しています。これらの施策により、2022年度入社者の入社3年以内離職率は 6.7%(2025年度時点)となりました。また、自発的離職率は目標の3.0%未満に対して、2025年度は2.4%にとどまりました。

成長を支える評価と対話の仕組み

シスメックス株式会社では、変化の激しい時代において、社内外の環境変化にアジャイルな対応を実現するために、CPMの考えを取り入れた評価制度を導入しています。この制度では、期初に設定した目標を起点としつつ、変化に応じて目標や施策を柔軟に見直し、加点的な評価を行うことで、従業員のチャレンジを促しています。また、組織風土や人材育成、個人の行動発揮に加え、チーム業績も評価項目として取り入れ、事業貢献と組織・個人の成長の両立を図っています。上司と部下の間では、年間を通じて定期的に1on1ミーティングを行い、目標設定や評価だけでなく、日々の業務やキャリア形成などについて対話することで、相互の信頼構築と人材の成長を支援しています。合わせて、年2回のエンゲージメントサーベイでは「リーダーシップへの信頼度」を測定し、その結果をリーダー育成と組織風土の改善に活用しています。

  • Continuous Performance Management(継続的パフォーマンス管理)の略。上司と部下が継続的にコミュニケーションを取りながら、外部環境の変化に応じて柔軟な目標見直しとフィードバックを重視する管理プロセス

チャレンジの成果をたたえる表彰と称賛文化の醸成

シスメックスグループでは、従業員を対象とした表彰制度を通じて、チャレンジの成果を評価・称賛し、グループ企業理念「Sysmex Way」および長期経営戦略に基づく実践を推進しています。「グループCEOアワード」では、企業理念や戦略との整合性や社会的インパクト、グループ全体への波及効果などの観点から、特に優れた成果や貢献を評価しています。また、「チャレンジ&安心アワード」では、日々の業務における挑戦や品質・信頼性の向上など、他者の模範となる取り組みを幅広く評価しています。さらに、研究開発者のモチベーション向上と知的財産に対する意識を高めることを目的に「優秀特許賞」「パテントマイスター」「出願記念賞」を設けています。
シスメックス株式会社では、表彰制度に加え、日常的な称賛文化の醸成にも取り組んでいます。社内コミュニケーション施策として、従業員同士でチップを添えて感謝や激励、あいさつなどのメッセージを送り合い、ポイントで報奨を受け取ることができるWebサービス「シスメックス ピア・ボーナス」を導入しています。「はたらくをもっと楽しくする」をコンセプトに、従業員同士が感謝や称賛を伝え合う文化の醸成を通じて、誰もが働きやすい魅力的な職場づくりを推進しています。

個々に応じた育成プログラム

シスメックス株式会社では、多様な働き方や価値観を尊重し、個々のキャリアに応じたビジネススキルやキャリアデザインを構築するための教育プログラムを多数提供しています。
自宅から参加可能なオンライン講座を含め、国境を越えて参加できるプログラムも用意しています。2025年度の研修プログラムへの従業員参加率は100%を実現し、個々の成長に加え、スキル向上による生産性向上、受講者間の交流を通じた相互理解の促進と部門横断ネットワークの形成などにつながっています(2025年度の研修投資 67,000円/人)。
また、エンゲージメントサーベイでは、「成長のための機会提供がある」という項目で、67%が好意的な回答をしており、育成プログラムに対して多くの従業員から支持を得ています。さらに、年齢や階層を問わず持続的な学びを支援しており、多様な働き方を推進するための「スマートワーク」制度では、勤務時間内の1日15分の自己学習を推奨しています。2025年度は、従業員一人当たりの平均教育時間は58.5時間となりました。

デジタル人材の育成(クロスリスキリング)

シスメックスは、2023年度から経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「デジタルスキル標準(DSS)」を踏まえた「デジタル人材育成プログラム」を展開し、従業員のデジタルリテラシー向上に取り組んでいます。
本プログラムでは、当社独自のデジタル人材類型とレベル階層を定義し、基礎から専門領域まで段階的に学べる育成カリキュラムを提供しています。また、これまで培ってきた経験や知見にデジタル技術・知識を掛け合わせる「クロスリスキリング」を推進し、従業員一人ひとりの活躍の幅やキャリアの選択肢を広げるとともに、学びを実業務に結び付けることで、現場主導のDXやAI活用による価値創出につなげています。加えて、従業員同士が教え合い、学び合う社内コミュニティを形成し、相互研鑽によるスキル向上と学習文化の醸成にも取り組んでいます。
AI人材育成においては、一般社団法人 数理人材育成協会と連携し、外部専門家の知見も取り入れながら、実業務を題材としたAIモデル構築やプロジェクト推進を通じて、事業課題に直結したスキルの習得とAIの業務適用を進めています。
デジタルリテラシーを学んだ従業員と専門性を持つデジタル人材が共通言語のもと、企業活動のさまざまな場面でDXへの挑戦が自然に生まれる環境づくりを目指しています。

2025年度までの主な実績
  • デジタル人材認定:初級 約1,100名、中級 400名以上
  • 市民開発者の育成:300件超の業務アプリケーションを開発
  • AI人材育成:約40件の実業務を題材とした育成機会を提供し、事業課題に直結したAI活用を推進
  • IT専門職ではないビジネス部門の社員が、ローコード/ノーコードツールを活用して自ら業務アプリケーションを開発し、現場主導でDXを推進する開発者
ステークホルダーの声
DX戦略推進本部 シニアプランナー 東 昌芳

現場とともに進めるクロスリスキリングとDX

私たちが大切にしてきたのは、デジタルを「一部の専門人材のもの」にしないことでした。「DXはIT部門が実施すること」ではなく、現場一人ひとりが自分ごととして捉え、自ら取り組む文化の醸成を進めています。
育成を進める中で、部門や職種を越えた対話や学び合いが自然に生まれ、非IT人材によるDXの実例も数多く生まれています。生成AIや市民開発も現場の課題に寄り添う形で活用され、業務をより良くする手段として受け入れられるようになってきたと感じています。
推進する側として意識しているのは、答えを示すことではなく、現場が主体的に考え、活用できる環境を整えることです。これまでに培ってきた経験や知見とデジタルを組み合わせたクロスリスキリングを通じて生まれた共通言語やつながりを土台に、今後も現場とともに価値創出を進めていきたいと考えています。


研究開発者向けの教育

シスメックス・イノベーションフォーラム

シスメックスでは、研究開発者を対象に「シスメックス・イノベーションフォーラム」を40年以上にわたり開催しています。先進的な研究開発活動の成果を共有し、創造性を育むことを目的としており、毎年、世界中から1,000名以上が参加します。本フォーラムは、技術志向である当社の技術基盤を支えるとともに、ヘルスケアの進化をデザインする新製品開発を推進する重要な取り組みとなっています。
また、独自技術の継承と新たな技術の獲得を目的とした専門技術者教育や、医療課題の解決に向けたイノベーションを探求する管理専門職層向けの教育、国際標準のプロジェクトマネジメント教育など、幅広いカリキュラムを提供しています。
さらに、研究開発プロジェクトの推進力を高めるため、プロジェクトリーダーに対する個別支援を行っています。課題の整理や改善策の検討、実行までのサポートを通じて、現場に根差したリーダーシップの発揮を後押ししています。合わせて、個々の成長を組織全体の力につなげる「組織の学び」として、研究開発活動で得られた知見や経験を対話・共有の場を通じて蓄積し、組織全体の継続的な改善と進化につなげています。

次世代リーダー育成

グローバル研修「KIZUNA」第1期生

シスメックスは、持続的な企業価値向上のために次世代リーダーの開発を人的資本戦略の重要なテーマの一つと考えています。入社から経営人材候補の育成まで、一貫した人材育成の仕組みを構築し、将来の事業成長を支える人材基盤の強化に取り組んでいます。入社時や新規登用時には、オンボーディング研修を通じて、従業員の早期活躍を支援しています。また、ジョブ型人事制度導入後は、ポジションに求められる役割とのギャップを把握するためのタレントレビューを実施し、タレントプールや後継者の充足度を定期的にモニタリングしています。
後継者候補となった人材については、個々の課題に基づいた育成計画を策定し、必要なリーダーシップ開発プログラムを提供しています。特に、後継者としてReady(準備完了)のステータスの従業員を対象とした選抜型育成プログラムでは、受講を通じて高い視点・視座で考える機会を提供し、上位ポジションへの早期登用を促進しています。2025年度のオンボーディング研修には延べ741名、選抜型研修(後継候補者)には延べ38名が参加しました。
また、グローバルレベルでの経営層およびシニアリーダー育成を目的としたグループ横断型研修プログラム「KIZUNA」を、2025年から開始しました。本プログラムでは、グループ各社から選抜された参加者が、約1年半にわたりオンサイトおよびオンラインでセッションを重ね、グローバルエグゼクティブとしてのレディネスを高めます。

  • 新入社員をはじめ、中途採用社員など新しく組織に加わった従業員の企業理解を促進し、早期に企業において活躍する人材として育成するための研修

Sysmex EMEAキャンパス

EMEAキャンパス

EMEA地域※1では、欧州、中東、アフリカ諸国の全従業員を対象に、オンラインおよびオフラインで多様な研修プログラムを提供するトレーニングスペース「EMEAキャンパス」を開設しています。EMEAキャンパスでは、一般的なビジネススキルから技術的な内容まで、テーマに応じた講義やワークショップを企画し、将来のリーダー育成やスキルアップ、社内ネットワークの構築を目的とした学びの機会を提供しています。また、管理職を対象として、チームマネジメントに必要なスキルの習熟を目的としたカスタマイズ型リーダーシップ研修「Ready to lead」をはじめ、人材開発やコーチング、若手社員などから新たな視点を学ぶリバースメンタリング※2など、幅広いプログラムを展開しています。これらを通じて、管理職に求められるリーダーシップの発揮に必要なスキル習得を支援しています。

  1. ※1欧州、中東、アフリカ地域
  2. ※2リバースメンタリング:若手社員や専門知識を持つ社員が、管理職などに対して新しい知識や視点を共有する取り組み

その他人材育成プログラム

会社名プログラム名・施策名目的・概要
シスメックス株式会社ものづくりプロフェッショナル 育成活動生産改革活動の一環として、ものづくりの人材育成を推進。新人育成とともに、次世代のものづくりを指導できる人材の育成、多能工育成のための技能訓練、ものづくりに必要な専門知識教育などを実施
DX リテラシー教育AIなどの新しい技術を生かし、データ活用方法を考える力、業務効率化・イノベーションの実行力を鍛える、DXリテラシー研修を実施
シスメックス アメリカSysmex Universityアメリカ、カナダ、ラテンアメリカの全従業員を対象とした、対面とオンラインを組み合わせた研修プログラム。リーダーシップスキルやプロジェクトマネジメントをはじめとしたビジネススキル、専門スキル、メンタリングなど、多様なコンテンツを提供
Sysmex Managerial Excellence Development新任管理職などを対象とした半年間の選抜型研修。シスメックスの経営の役割と責任に関する洞察力など、マネジメントスキルの強化を図る
リーダーシップ サークル次世代リーダーを対象とした約1週間の集中型研修
シスメックス ヨーロッパSysmex Academy製品関連知識と医学的知識を習得するためのプログラムを提供。専門知識の向上とカスタマートレーニングのトレーナーを育成することを目的とする
シスメックス 上海Sysmex Shanghai University全従業員を対象としたオンライン・トレーニングで、従業員の成長支援を目的に2019年度より開始
シスメックス アジア・パシフィックLinkedIn ラーニング全従業員対象のSNS(LinkedIn)を利用したオンライン・トレーニングを約100コース提供。マネジメント、リーダーシップ、クリティカル・シンキング、ビジネス分析力、データ分析力などのスキル習得・強化を図る
Sysmex Academy製品関連知識と医学的知識を習得するためのオンライン・トレーニングプログラム

キャリアデザイン支援

シスメックスでは、新たなキャリアの可能性を広げるため、従業員の自律的なキャリアデザインを支援しています。その一環として、自身のキャリアの段階を振り返り、これまでの職務経験を踏まえたスキルの棚卸しや価値観の再認識を促すキャリアデザインプログラムを実施しています。また、本人の希望によるキャリアチェンジに際しては、一定期間のトライアルを経て適性を見極めたうえで正式配属を決定する「アプレンティス制度」を導入しています。
さらに、ジョブ型人事制度をグループ関係会社にも展開したことで、共通のグレードに基づき、部門間やグループ会社間で職務内容やスキルレベルを横断的に可視化できるようになりました。これにより、希望する地域や専門分野とのマッチングが促進されることで、従業員一人ひとりのキャリアステージ(探索期・自立期・確立期)に応じた成長機会の提供や、リスキリングを通じた新たなキャリア形成にもつながっています。

人的資本への投資効果をモニタリング

シスメックスでは、付加価値生産性と従業員エンゲージメントのバランスが取れた状態を目指しています。人的資本への投資効果の指標として、付加価値生産性と従業員エンゲージメントスコアを設定し、継続的にモニタリングしています。2025年度のシスメックス株式会社の付加価値生産性は、11,230円/時間、人的資本ROI(営業利益÷人件費)は82.2%となりました。今後も、従業員エンゲージメントを高い水準で維持しながら、従業員一人ひとりが新たな課題に積極的に挑戦できる環境づくりを進め、付加価値の向上とエンゲージメントの両立を実現する組織風土の形成に取り組んでいきます。

  • (営業利益+人件費+人的資本に関する減価償却費)÷労働時間

従業員エンゲージメント

シスメックスは、グループ全従業員を対象とするエンゲージメントサーベイを毎年実施しています。2025年度のエンゲージメントスコアは、グループ全体で74%となりました。当社は、従業員エンゲージメントを持続的な企業価値向上を支える重要な経営指標の一つと位置付けており、サステナビリティ目標として75%を設定しています。その達成に向けて、従業員の意見やフィードバックを経営・施策に反映しながら、会社と従業員が一体となって企業価値向上を目指しています。
また、シスメックス株式会社における 2025 年度のエンゲージメントスコアは 63%となりました。企業理念の共感度は69%、ウェルビーイングは59%となっています。これらの指標を組み合わせてモニタリングすることで、価値観の多様化や時代の変化を踏まえ、一人ひとりの働きがいの向上と、魅力ある組織風土の醸成に取り組んでいます。さらに、短い間隔で実施するパルスサーベイを活用し、施策の進捗を把握するとともに、従業員の意見を迅速に経営や施策へ反映する取り組みを推進しています。

エンゲージメントスコアのグラフ 2023年度 シスメックスグループ 75% シスメックス株式会社単体 65% 2024年度 シスメックスグループ 76% シスメックス株式会社単体 68% 2025年度 シスメックスグループ 74% シスメックス株式会社単体 63%
リーダーシップへの信頼度 61% ウェルビーイング 59% Sysmex Way 69% ※2025年度企業風土調査における好意的回答の率、シスメックス株式会社単体

優れた人的資本経営・情報開示に取り組む企業として「人的資本経営品質 2025(ゴールド)」に選定

人的資本経営品質2025

シスメックス株式会社は、一般社団法人 HR テクノロジーコンソーシアム、一般社団法人人的資本と企業価値向上研究会、HR総研が共同で企画・実施した「人的資本調査 2025」において、企業価値向上につながる人的資本の取り組みを高く評価され、「人的資本経営品質 2025(ゴールド)」に選定されました。