シスメックスの技術

遺伝子測定技術

がん細胞中の遺伝子量測定や、血液中のがん細胞由来DNA検出を可能とする技術に取り組んでいます。

シスメックスの遺伝子測定技術:OSNA™法

一般的な遺伝子増幅(RT-PCR法等)反応では、試料中の夾雑物による遺伝子増幅反応への影響を除くための工程が必要です。また、遺伝子増幅反応自体にも1時間以上の時間が必要となります。
シスメックスでは、前処理(可溶化)液の組成、原料(酵素、プライマー)の最適設計により、核酸精製の工程をなくし、リンパ節中のがん細胞に由来するマーカー(CK19mRNA)をワンステップで測定する技術を開発しました。

一般的な遺伝子増幅とOSNA法の違い

現在取り組んでいる遺伝子測定技術

●BEAMing法
がん関連遺伝子などの高感度検出による個別化医療の発展に貢献していきます。

血液中を循環するがん細胞由来DNA(cell-freeDNA)の有無を検出することは、薬剤奏功性の判定や再発・転移の早期発見等、がん個別化医療の発展に有用と考えられています。
私たちはBEAMing法という技術を用いて、cell-free DNAを高感度かつ高精度に検出できる測定システムを構築し、リキッドバイオプシーの実現に取り組んでいます。
BEAMing法は直径数ミクロンの液滴にDNA分子と磁性粒子を1個ずつ閉じ込め、その中で磁性粒子上にDNA分子を増幅して検出する技術です。
本技術により野生型遺伝子中に存在するごくわずかな(0.01%)変異型遺伝子を検出することが可能となります。
今後は病院や検査センターでも使用できるよう測定の簡略化と自動化を実現し、個別化医療の発展に貢献していきます。
BEAMing法流れ図

●Plasma-Safe-SeqS

がん患者の血液内には、がん組織から流出した、変異を持つ遺伝子が存在しています。
この変異を特定するためには、血中に存在する多くの正常遺伝子の中の、ごく僅かながん由来遺伝子を正確に検出する必要があります。
遺伝子情報を調べる際には次世代シーケンサー(NGS)が用いられますが、NGSは一定の読み取りエラーを起こすため、遺伝子変異が検出された場合、本来の遺伝子変異かNGSの読み取りエラーかが分からなくなるという問題があります。
シスメックスではNGSの問題を解決する前処理技術として、Plasma-Safe-SeqS(PSS)の開発を進めています。
PSS技術は、増幅対象の遺伝子にタグを付けることで、遺伝子変異と読み取りエラーとを識別します。微量の真の遺伝子変異を正確に検出することでリキッドバイオプシーを実現し、適切な診断・投薬への貢献によって個別化医療の実現を目指します。

■Plasma-Safe-SeqS技術の原理

Plasma-Safe-SeqS技術の原理

■Plasma-Safe-SeqSの解説動画

※SafeSEQは名称を変更し、Plasma-Safe-SeqS技術によるctDNA解析(研究用)となりました。