国内初、抗アミロイドβ抗体薬の副作用リスクを評価する遺伝学的検査が保険適用
シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役社長:松井 石根)は、「PrismGuide™ APOE 遺伝型判定キット」(以下「本検査試薬」)による遺伝学的検査が、アルツハイマー病治療薬である抗アミロイドβ抗体薬の副作用リスクを評価する検査として、2026年7月1日付で国内初の保険適用を受けたことをお知らせします。
本検査試薬による遺伝学的検査は、アルツハイマー病治療薬の投与を検討する患者さんに対し、治療薬投与前に副作用発現リスクを評価することを可能にします。これにより、主治医と患者さんおよびご家族がその結果を踏まえ、ともに治療方針を検討する共同意思決定(Shared Decision Making:SDM)※1に貢献することが期待されます。
アルツハイマー病の病理に作用する抗アミロイドβ抗体薬は、認知症の進行を抑制する効果が期待される一方、一部の患者さんにおいて、アミロイド関連画像異常(以下「ARIA」)※2と呼ばれる脳への副作用を伴うことが知られています。ARIAの発現リスクは、APOE 遺伝型※3によって異なることが報告されています。
2026年7月に改訂される「認知症に関するAPOE 遺伝学的検査の適正使用ガイドライン(第2版)」※4では、治療の有効性に加えて、副作用のリスクについても十分に理解したうえで治療方針を検討する重要性が示されています。
本検査試薬は、抗アミロイドβ抗体薬の投与を検討している患者さんを対象に、血液中のゲノムDNAからAPOE 遺伝型を判定し、副作用発現リスクの評価に用いられます。このたびの保険適用により、国内で初めて、保険診療としてAPOE 遺伝型に基づく副作用の発現リスク情報を臨床現場で活用することが可能となります。今後、臨床現場での使用が広がることで、より適切な投与判断および患者さんの価値観を尊重した治療方針の決定に貢献することが期待されています。
シスメックスは今後も、患者さん一人ひとりのヘルスケアジャーニーに寄り添い、適切な治療法の選択や、健康社会への新たな価値創出に貢献します。
製品の概要
| APOE 遺伝型キット |
|---|---|
| PrismGuide™ APOE 遺伝型判定キット |
| 30700EZX00022000 |
| 全血より抽出したゲノムDNA中のAPOE 遺伝型判定(ARIA発現リスクの判定の補助) |
| シスメックス株式会社 |
| 日本 |
保険適用の概要
| E3 (新項目) |
|---|---|
| APOE 遺伝型 |
| リアルタイムPCR法 |
| 2,274点 |
| 「D006-17 Nudix hydrolase 15(NUDT15)遺伝子多型」の留意事項に下記のとおり追記する。 (1)略 (2)APOE遺伝型は、効能又は効果としてアルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制を有する医薬品に係る厚生労働省が作成する最適使用推進ガイドラインで定められた投与対象となる患者及び投与施設において、当該医薬品の投与の可否、治療方針等を判断することを目的としてリアルタイムPCR法により測定を行った場合に、患者1人につき1回に限り、本区分の所定点数を準用して算定する。 |
参考
注釈
- ※1共同意思決定(SDM):
治療の意思決定過程において患者参画を推進し、主治医が患者さんにとってよりよい選択を共に行うこと。
中山健夫:エビデンスに基づくリスク・ベネフィットのコミュニケーション:SDM <共有意思決定に向けて> YAKUGAKU ZASSHI 138, 331 334 (2018)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/138/3/138_17-00185-5/_pdf/-char/ja - ※2アミロイド関連画像異常(ARIA):
ARIA(amyloid-related imaging abnormalities)は、ARIA-EとARIA-Hの2種類に分類される。前者は脳の血管の周りに液体成分が溜まる浮腫、後者は脳内の微小出血や鉄(ヘモジデリン)沈着のこと。多くの場合は無症状だが、まれに重篤な事象が報告されたケースもある。
出典:Hampel H.et al. Amyloid-related imaging abnormalities (ARIA): radiological, biological and clinical characteristics, Brain. 146, 4414-4424 (2023)
https://doi.org/10.1093/brain/awad188 - ※3APOE 遺伝型:
脂質代謝に関わるアポリポタンパク質E(ApoE)をコードする遺伝子。
112番目と158番目のアミノ酸をコードする2つの一塩基置換(rs429358, rs7412)の組み合わせにより3つの遺伝型(ε2, ε3, ε4)が規定される。ARIAの発現頻度が高い順からAPOE のε4ホモ接合体(ε4*4)、ε4ヘテロ接合体(ε2*4, ε3*4)、非ε4保持者(ε2*2, ε2*3, ε3*3)である。特にAPOE ε4ホモ接合体は、症候性ARIAが生じる可能性が他の遺伝型と比べて相対的に高い。 - ※4認知症に関するAPOE 遺伝学的検査の適正使用ガイドライン:
認知症に関するAPOE 遺伝学的検査の適正使用ガイドライン初版 2025年3月31日(「認知症に関するAPOE 遺伝学的検査の適正使用ガイドライン」作成委員会)
https://dementia-japan.org/wp-content/uploads/2025/04/apoeguideline2025.pdf
以上
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シスメックスは、グループ企業理念「Sysmex Way」において「ヘルスケアの進化をデザインする。」をミッションに掲げています。1968年の創立以来、血液や尿などを採取して調べる検体検査分野を中心として事業を展開し、現在は190以上の国や地域で、人々の健康を支えています。長期ビジョン「より良いヘルスケアジャーニーを、ともに。」のもと、一人ひとりの生涯にわたるヘルスケアの旅路「ヘルスケアジャーニー」がより良いものになるよう、検体検査領域でのさらなるイノベーション創出に加え、新たな領域にも挑戦しています。シスメックスは、独自のテクノロジーとソリューション、さらにはさまざまなパートナーとの協創を通じて新たな価値を提供し、健康で長生きしたいという人々の普遍的な願いに寄り添います。シスメックスの詳細については、www.sysmex.co.jp新規ウィンドウを開きますをご覧ください。
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