国内初、アルツハイマー病治療薬(抗アミロイドβ抗体薬)の副作用リスク検査試薬の製造販売承認を取得
シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役社長:浅野 薫)は、2024年9月に申請していた血液中のゲノムDNAからAPOE 遺伝型※1を判定する「PrismGuide™ APOE 遺伝型判定キット」(以下「本検査試薬」)が、2025年6月19日に製造販売承認を取得しましたことをお知らせします。
国内初の承認を受けた本検査試薬は、アルツハイマー病患者さんにおいて、治療薬である抗アミロイドβ抗体薬の副作用の発現リスクを予測し、主治医と患者さんやそのご家族との共同意思決定(SDM)※2に貢献すると期待されています。
2025年3月に策定された適正使用ガイドライン※3に沿った社会実装に向け、今後は認知症関連学会と連携し、保険適用に向けた活動を進めてまいります。
抗アミロイドβ抗体薬は、認知症の進行を抑制する効果が期待される一方で、投与を受けた一部の方でアミロイド関連画像異常※4(以下「ARIA」)と呼ばれる副作用を伴うことがあります。そのARIAの発現頻度は、APOE 遺伝型によって異なることが報告されています※5。
このたびシスメックスは、6つのAPOE 遺伝型を判定する検査試薬において、国内で初めて製造販売承認を取得しました※6。本検査試薬は、抗アミロイドβ抗体薬投与時におけるARIA発現リスクの判定の補助を目的としています。今後、臨床現場で使用できるようになれば、抗アミロイドβ抗体薬の使用前に、主治医と患者さんやそのご家族が、ARIA発現リスクについて話し合い、治療法を一緒に決定する共同意思決定(SDM)に役立つことが期待されます。今後は、本検査試薬の社会実装に向け認知症関連学会とも連携し、保険適用に向けた取り組みを進めてまいります。
今後もシスメックスは、患者さん一人ひとりのヘルスケアジャーニーに寄り添い、適切な治療法の選択や、健康社会への新たな価値創出に貢献します。
| 一般的名称 | APOE 遺伝型キット |
|---|---|
| 販売名 | PrismGuide™ APOE 遺伝型判定キット |
| 体外診断用医薬品製造販売承認番号 | 30700EZX00022000 |
| 使用目的 | 全血より抽出したゲノムDNA中のAPOE 遺伝型判定 (ARIA発現リスクの判定の補助) |
| 製造販売元 | シスメックス株式会社 |
| 対象市場 | 日本 |
【参考】
2024年9月17日リリース『アルツハイマー病治療薬である抗アミロイドβ抗体薬の副作用リスクを予測する検査試薬の製造販売承認を申請』https://www.sysmex.co.jp/newsroom/news/240917.html
【注釈】
- ※1 APOE 遺伝型:脂質代謝に関わるアポリポタンパク質E(ApoE)をコードする遺伝子。
112番目と158番目のアミノ酸をコードする2つの一塩基置換(rs429358, rs7412)の組み合わせにより3つの遺伝型(ε2, ε3, ε4)が規定される。ARIAの発現頻度が高い順からAPOE のε4ホモ接合体(ε4*4)、ε4ヘテロ接合体(ε2*4, ε3*4)、非ε4保持者(ε2*2, ε2*3, ε3*3)である。特にAPOE ε4ホモ接合体は、症候性ARIAが生じる可能性が他の遺伝型と比べて相対的に高い。
| APOE 遺伝型 | APOE ε4保因状況 | 抗Aβ抗体薬投与後のARIA発現リスク |
|---|---|---|
| ε2*ε2 | 非ε4保持者 | ε4ホモ接合体に比べて低い |
| ε2*ε3 | ||
| ε3*ε3 | ||
| ε2*ε4 | ε4ヘテロ接合体 | |
| ε3*ε4 | ||
| ε4*ε4 | ε4ホモ接合体 | 他と比べて相対的に高い |
米国で承認された抗アミロイドβ抗体薬の添付文書※においては、ARIA発現リスクを知るために、治療開始前にAPOE 遺伝型判定を実施すべきであり、また検査に先立ちARIA発現リスクとAPOE 遺伝型の結果について患者さんと話し合うべきとされている。一方APOE 遺伝型判定を受けない場合、APOE ε4ホモ接合体でARIA発現リスクが高いかは判断できないが、これら治療薬の治療を受けることは可能であることを患者さんに伝えるべきとされている。また欧州で承認された抗アミロイドβ抗体薬の医薬品情報※においては、投与対象はε4ヘテロ接合体および非ε4保持者に限定されている。
- ※米国は米国食品医薬品局(FDA)承認薬データベース、欧州はEUROPEAN MEDICINES AGENCYデータベース)[2025年6月13日閲覧]
LEQEMBI(一般名:lecanemab-irmb)
Kisunla(一般名:donanemab-azbt)
- ※2共同意思決定(SDM):
治療の意思決定過程において患者参画を推進し、主治医が患者さんにとってよりよい選択を共に行うこと。
厚生労働科学研究費補助金(がん対策推進総合研究事業)分担研究報告書「シェアード・ディシジョンメイキング(Shared Decision Making:SDM)の意義と可能性の検討」
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202008039A-buntan10.pdf(PDF:231KB) PDFファイルが新規ウィンドウで開きます - ※3適正使用ガイドライン:
認知症に関するAPOE 遺伝学的検査の適正使用ガイドライン初版 2025年3月31日(「認知症に関するAPOE 遺伝学的検査の適正使用ガイドライン」作成委員会)https://dementia-japan.org/wp-content/uploads/2025/04/apoeguideline2025.pdf(PDF:1.70MB) PDFファイルが新規ウィンドウで開きます
- ※4アミロイド関連画像異常:
ARIA(amyloid-related imaging abnormalities)は、ARIA-EとARIA-Hの2種類に分類される。前者は脳の血管の周りに液体成分が溜まる浮腫、後者は脳内の微小出血や鉄(ヘモジデリン)沈着のこと。多くの場合は無症状だが、まれに重篤な事象が報告されたケースもある。
出典:Hampel H.et al. Amyloid-related imaging abnormalities (ARIA): radiological, biological and clinical characteristics, Brain. 146, 4414-4424 (2023)
https://doi.org/10.1093/brain/awad188新規ウィンドウを開きます - ※5出典:
van Dyck CH., et al. Lecanemab in early Alzheimer's disease. New Engl J Med. 388, 9-21 (2023)
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2212948新規ウィンドウを開きますSims JR. et al. Donanemab in early symptomatic Alzheimer disease: The TRAILBLAZER-ALZ 2 Randomized Clinical Trial. JAMA 330 512-527 (2023)
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2807533新規ウィンドウを開きます - ※6同商品開発にかかる性能評価は新潟大学との共同研究、また同承認取得にかかる臨床性能試験はエーザイ株式会社との共同研究
以上
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シスメックスは、グループ企業理念「Sysmex Way」において「ヘルスケアの進化をデザインする。」をミッションに掲げています。1968年の創立以来、血液や尿などを採取して調べる検体検査分野を中心として事業を展開し、現在は190以上の国や地域で、人々の健康を支えています。長期ビジョン「より良いヘルスケアジャーニーを、ともに。」のもと、一人ひとりの生涯にわたるヘルスケアの旅路「ヘルスケアジャーニー」がより良いものになるよう、検体検査領域でのさらなるイノベーション創出に加え、新たな領域にも挑戦しています。シスメックスは、独自のテクノロジーとソリューション、さらにはさまざまなパートナーとの協創を通じて新たな価値を提供し、健康で長生きしたいという人々の普遍的な願いに寄り添います。シスメックスの詳細については、www.sysmex.co.jp新規ウィンドウを開きますをご覧ください。
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