世界初、最短30分で薬剤感受性を迅速判定するプライマリケア市場向け検査システムを欧州で発売
シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役社長:浅野 薫)は、尿路感染症※1が疑われる患者さんの尿検体を用いて、細菌の有無および抗菌薬の有効性を判定する迅速薬剤感受性検査システム(以下「本システム」)を欧州で発売します。従来の手法では数日を要していた薬剤感受性検査(Antimicrobial Susceptibility Testing: AST)※2について、独自のマイクロ流体技術※3を用いて、測定開始後最短約30分での迅速判定を可能とする本システムにより、患者さんにとって医療の入口となるプライマリケアにおける抗菌薬の適正使用を支援し、世界全体で取り組むべき社会的課題である薬剤耐性(Antimicrobial Resistance: AMR)※4対策に貢献します。
尿路感染症などの細菌感染症の治療においては、適切な診断を行い、適切なタイミングで効果的な抗菌薬を使用することが重要とされています。COVID-19パンデミックの発生により、近年、感染症診断のための臨床検査は、クリニックなど患者さんのより近くで行われるようになりましたが、抗菌薬の適正使用に必要なASTの実施には数日を要するため、初診時にASTの結果にもとづく抗菌薬の処方が困難であり、結果としてAMRの発生につながる場合があります。AMRの発生は有効な抗菌薬治療の選択肢を喪失させるため、病状の悪化による患者さんのQOL低下に加えて、長期にわたる入院や高額な薬剤使用などによる医療費の高騰など経済にも深刻な影響を与えており、医療現場における抗菌薬の適正使用は世界全体で喫緊の医療課題となっています。※5
卓上サイズの小型検査装置と試薬カートリッジで構成される本システムは、尿路感染症が疑われる患者さんの尿検体中の細菌の有無を、測定開始後約15分以内に自動で検出するほか、検出された細菌に対する各種抗菌薬の有効性を調べるASTを測定開始後最短30分で実施可能としており、クリニックなどプライマリケアにおける初診時の適正な抗菌薬の処方を支援します。従来手法では、細菌の培養から薬剤への感受性判定までに数日を要していましたが、本システムでは、2022年5月に完全子会社化したSysmex Astrego社が保有する独自のマイクロ流体技術を用いて、迅速な抗菌薬の有効性判定を実現しました。また、簡便な操作性を特長としており、試薬カートリッジに直接検体を滴下し、検査装置に挿入するだけで自動測定が可能です。このため、検査を専門としない医療従事者の方でも安心してお使いいただけます。
まずは、2023年6月より欧州から市場導入を開始し、本システムの臨床有用性の認知向上や強固な臨床エビデンスの蓄積を推進するとともに、将来的には対象地域や対象疾患の順次拡大も予定しています。
シスメックスは、従来の細菌感染症の診療フローを変革し、感染症診断におけるアンメットメディカルニーズを満たすこの新たな検査技術を、広くプライマリケアの医療現場にお届けすることで、世界を脅かすAMR対策に貢献すること目指します。
| 販売名 | PA-100 AST System |
|---|---|
| 使用目的 | 尿路感染症を対象とした尿検体中の細菌有無および薬剤感受性の判定 (ポイント・オブ・ケア・テスティング(POCT)※6用) |
| 製造元 | Sysmex Astrego AB |
| 対象市場 | 欧州 (許認可取得後、順次拡大予定) |
| 発売時期 | 2023年6月 |
【外観】



【参考】
2022年5月2日リリース『Astrego Diagnostics ABの株式追加取得による完全子会社化~迅速な薬剤感受性検査の実現によるAMR対策の推進に向けて体制を強化~』
https://www.sysmex.co.jp/newsroom/assets/pdf/220502.pdf(PDF:302KB)PDFファイルが新規ウィンドウで開きます
2022年11月18日ストーリー『世界を脅かす「薬剤耐性(AMR)」に、新たな検査技術で立ち向かう~シスメックスグループ一丸となり、社会的課題の解決に取り組む~』
https://www.sysmex.co.jp/stories/221118.html
【注釈】
- ※1尿路感染症:
尿路(腎臓から尿の出口まで)に細菌が進入し炎症が生じたものを尿路感染症という。膀胱では膀胱炎、腎臓では腎盂腎炎を引き起こす。日常診療において最も頻度が高いとされる細菌感染症の一つで、女性の約6割が生涯に一度は感染する*とされている。
- ※出典:American Urological Association Website “Urinary Tract Infections in Adults”
- ※2薬剤感受性検査(Antimicrobial Susceptibility Testing: AST):
検体から検出された病原菌に対する各種抗菌薬の有効性を調べる検査。
- ※3マイクロ流体技術:
ナノメートルからマイクロメートル単位で加工した微細な流路により、液体中に複数存在する細菌を個別に捕捉し、微細流路内で単方向に菌を培養することで迅速な薬剤感受性検査を可能とする、Sysmex Astrego独自の技術を指す。
https://www.sysmex-astrego.se/technology.html新規ウィンドウを開きます - ※4薬剤耐性(Antimicrobial Resistance: AMR):
生物が自分に対してなんらかの作用をもった薬剤に対して抵抗性を持つことで、これらの薬剤が効かない、もしくは効きにくくなる現象。この薬剤耐性を獲得した細菌のことを薬剤耐性菌という。
- ※5AMR対策を講じなければ2050年には薬剤耐性菌による死者数が世界で年間1,000万人を超え、がんによる死者数を上回ると推定*されており、2015年5月に開催された世界保健総会(World Health Assembly)において「薬剤耐性に関するグローバル・アクション・プラン」が採択され、その対策に向けた取り組みが加速している。
- ※出典:Antimicrobial Resistance: Tackling a crisis for the health and wealth of nations. The Review on Antimicrobial Resistance, Chaired by Jim O’ Neill. December 2014
- ※6ポイント・オブ・ケア・テスティング(Point-of-Care Testing: POCT):
診療・看護など患者さんの近くで医療従事者が行う簡便な臨床検査法の総称であり、検査にかかる時間の短縮や患者さんに見えるという利点がある。
【シスメックスのマテリアリティ】
シスメックスは、優先的に取り組むべき課題(マテリアリティ)の一つに「健康社会への新たな価値創出」を特定し、イノベーションを通じた医療課題解決に取り組んでいます。一人ひとりのヘルスケアジャーニーがより良いものになるよう、さまざまな協創を通じて新たな価値を提供し、社会にとって不可欠な存在として成長していくことを目指します。

以上
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