論文

新規開発のLA試薬 DRVVTの基礎性能評価

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著者

下村 大樹※1,高田 旬生※1,松本 智子※2,河野 紋※1,高田 章美※1,北野 圭介※4,熊野 穣※3
鈴木 健史※4,新井 信夫※4,嶋田 昌司※1,上岡 樹生※1

  1. ※1公益財団法人 天理よろづ相談所病院 臨床検査部
  2. ※2学校法人 天理よろづ相談所学園 天理医療大学 医療学部 臨床検査学科
  3. ※3HYPHEN BioMed,SAS
  4. ※4シスメックス株式会社 診断薬エンジニアリング本部 タンパク技術グループ

Summary

抗リン脂質抗体症候群 (以下,APS) は,抗リン脂質抗体 (以下,aPL) が血中に証明され,動静脈血栓症や妊娠合併症を臨床症状とする患者群の総称である。臨床所見として動静脈血栓症か妊娠合併症のいずれか1つ以上が存在し,かつ検査所見としてループスアンチコアグラント (以下,LA),抗カルジオリピン抗体 (aCL),抗β₂-グリコプロテインI抗体 (aβ₂GPI) のいずれか1つ以上が12週間の間隔を空けて2回以上陽性であればAPSと診断される。2020年に発表された国際血栓止血学会標準化委員会 (ISTH-SSC) のLA/aPL検査ガイドラインでは,LAを2種類の原理の異なる検査を組み合わせて実施することが推奨されており,第一選択に希釈ラッセル蛇毒時間 (以下,dRVVT),第二選択に活性化部分トロンボプラスチン時間 (以下,APTT) となっている。本研究では,新たに開発されたLA試薬DRVVT (シスメックス株式会社:以下,LA試薬,シスメックス) を用いて基礎性能評価と既承認品との相関性と判定一致率を確認した。

対象は,LA陽性の患者血漿34検体,正常検体としてCRYOcheckTM Normal Donor Set (Precision BioLogic Inc.:ND) 25検体と血液凝固試験用コントロール血漿N (シスメックス:CPN),LA弱陽性と強陽性のLAコントロール Low (シスメックス:LA Lo),LAコントロール High (シスメックス:LA Hi) およびCRYOcheck Pooled Normal Plasma (Precision BioLogic Inc.:NP) を用いた。

同時再現性は変動係数 (以下,CV) 0.8%以下,日差再現性はCVが1.6%以下,干渉物質の影響では,溶血ヘモグロビンは100 mg/dLまで,抱合型ビリルビンは30 mg/dLまで,イントラリピッド (大塚製薬株式会社)は200 mg/dLまで,それぞれ測定値に影響がなかった。一方,遊離型ビリルビンは,凝固時間で濃度依存的な短縮を認めたが,LA Rは30 mg/dLまで影響がなかった。オンボード安定性は,3日間 (72時間) まで安定していた。Ratioにおける既承認品との相関性は,y = 1.002x - 0.105,r = 0.997と良好で,判定一致率は100.0%であった。

評価に用いた全自動血液凝固測定装置CN-6000 (シスメックス) において,新たにdRVVT試薬による測定が可能となったことで,APTT試薬によるLAの検出とdRVVT試薬によるLAの鑑別が一台で実施可能となり,今後の臨床検査の発展に寄与することが期待される。

Key Words

抗リン脂質抗体症候群 (APS),抗リン脂質抗体 (aPL),ループスアンチコアグラント (LA),希釈ラッセル蛇毒時間 (dRVVT),CN-6000

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