抗SARS-CoV-2 IgG およびIgM抗体を検出する定量性・ 再現性の高い新規測定試薬の開発

著者
野田 健太※1,松田 幸樹※2,柳下 薫寛※3,前田 賢次※2,秋山 裕太郎※4,寺田 純子※5,6,
松下 弘道※7, 岩田 敏※8,山下 和人※1,新 勇介※1,渡部 俊介※1,井出 信幸※9,
吉田 智一※1,大曲 貴夫※4,満屋 裕明※2,10,11,濱田 哲暢※3
レトロウイルス感染症研究部
- ※1シスメックス株式会社 中央研究所
- ※2国立研究開発法人 国立国際医療研究センター研究所 難治性ウイルス感染症研究部
- ※3国立研究開発法人 国立がん研究センター研究所 分子薬理研究分野
- ※4国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 国際感染症センター
- ※5国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 臨床研究センター
- ※6国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院 呼吸器内科
- ※7国立研究開発法人 国立がん研究センター 中央病院 臨床検査科
- ※8国立研究開発法人 国立がん研究センター 中央病院 感染症部
- ※9シスメックス株式会社 バイオ診断薬センター
- ※10アメリカ国立衛生研究所 ( NIH ) アメリカ国立がん研究所 ( NCI ) HIV/AIDS 悪性腫瘍部門
- ※11熊本大学病院 総合臨床研究部
Summary
現在,重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2 (以下,SARS-CoV-2) に対して使用されている血清学的検査は,定量性や再現性が不十分だと考えられている。そこで本研究では,高い定量性・再現性を有し,かつ血中干渉物質の影響を受けないSARS-CoV-2に対するIgGおよびIgM測定試薬を開発した。本測定試薬は化学発光酵素免疫測定法を原理とする全自動免疫測定装置HISCLTMシリーズ (シスメックス株式会社) を用い,SARS-CoV-2のスパイクタンパク質およびヌクレオカプシドタンパク質に特異的なIgGおよびIgMを標的としている。これらの定量性および再現性はSARS-CoV-2感染者の検体を希釈したサンプルを用いて評価した。試薬性能は,SARS-CoV-2感染者60名の血清検体とSARS-CoV-2発生前に採取したSARS-CoV-2陰性500名の血清検体を用いて評価した。開発した測定試薬は高い定量性 (定量範囲:102) と再現性 (5%以内) を示し,SARS-CoVおよびMERSのSタンパク質に対する交差反応は認めなかった。臨床感度はスパイクタンパク質に対するIgGおよびIgMではそれぞれ98.3%,93.3%,ヌクレオカプシドタンパク質に対するIgGおよびIgMではそれぞれ100%,71.7%であった。患者群の平均抗体価は陰性検体群と比較して,入院時では10倍以上,回復期では100倍以上高かった。入院時の臨床的重症度とIgGおよびIgMの抗体価には関連がなかった。高い臨床性能と定量性・再現性を併せ持つ本測定試薬は,SARS-CoV-2の感染やワクチンの有効性検証における血清学的・免疫学的時系列プロファイルに役立つと考えられる。
Notes
本稿は、Scientific Reports, Vol.11, 5198 (Published online March 4, 2021) を、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス ( 表示4.0 国際) のもと、翻訳・転載したものです。
https://doi.org/10.1038/s41598-021-84387-3
HISCL SARS-CoV-2 S-IgG 試薬は研究用です。
HISCL SARS-CoV-2 N-IgG 試薬,HISCL SARS-CoV-2 N-IgM 試薬,およびHISCL SARS-CoV-2 S-IgM 試薬は非売品です。
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