消化器系疾患と腸内細菌 -研究の進歩と治療への応用-

著者
大草 敏史
順天堂大学大学院 腸内フローラ研究講座 特任教授
Summary
第43回シスメックス学術セミナー 講演の説明資料です。
腸内細菌は、病原体の侵入抑制や短鎖脂肪酸の産生、ビタミン類の生成、免疫系の制御などの働きがあり、ヒトと共生しているとされ、その研究は長年、培養法により培養可能な菌種を対象に行われていた。ところが、1990年代から細菌の遺伝子のメタゲノム解析が可能となり、腸内には培養できない細菌が多数を占めており、その腸内細菌叢(Gut microbiota) には約1,000種,40兆個の腸内細菌が存在することが明らかとなった。さらに、健常者と比べ各種疾患でmicrobiotaの構成が異なり(dysbiosis)、疾患の原因として、そのdysbiosisが注目されてきている。消化器疾患についてはdysbiosisが炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、非アルコール性脂肪性肝炎に関与していることが報告され、最近では大腸癌、肝臓癌、膵臓癌、食道癌などにも関係しているとも言われてきている。本講演では腸内細菌叢と消化管疾患とのかかわりを概説するとともに腸内細菌を標的とした新たな治療法についても述べたい。
Key Words
Gut Microbiota, Inflammatory Bowel Disease, Irritable Bowel Syndrome, NSAID Enteritis, Esophageal Cancer, Colorectal Cancer, Alcoholic and Non-alcoholic Steatohepatitis, Liver
Cirrhosis, Primary Sclerosing Cholangitis, Pancreatic Cancer, Fecal Microbiota Transplant
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