Sysmex Journal Web ※このコンテンツは医療従事者向けです
2025年Vol.25 No.1
論文濱﨑 梓*1,安田 知世*2,祐村 実旺*2,新納 隼人*3
*1 シスメックス株式会社 日本・東アジア地域本部 カスタマーサポート部 学術サポートグループ
*2 シスメックス株式会社 診断薬エンジニアリング本部
*3 シスメックス株式会社 臨床戦略・学術本部 臨床戦略第一部
現在,次世代シーケンサー(Next-Generation Sequencing:以下,NGS)によってがん細胞の遺伝子異常を包括的に一度に調べ,保険診療下でがんの特徴に適した治療法を検討するため,複数のがん遺伝子パネル検査が行われている。これらパネル検査から取得した包括的がんゲノムプロファイル(Comprehensive Genomic Profiling:以下,CGP)と患者の臨床情報は「がんゲノム情報管理センター」(Center for Cancer Genomics and Advanced Therapeutics:以下,C-CAT)に登録され,学術研究や医薬品開発のための二次利用が可能となっている。
本研究では,2019 年6 月1 日から2024 年6 月15 日までにC-CAT に登録された「OncoGuide™ NCC オンコパネル システム」(シスメックス株式会社:以下,NOP)の受検症例7,750 例を対象に,NOP検査結果と標準治療前または標準治療中に実施された各コンパニオン診断(Companion Diagnostics:以下,CDx)(EGFR 遺伝子変異,BRAF 遺伝子変異,KRAS 遺伝子変異,NRAS 遺伝子変異,ALK 融合遺伝子,ROS1 融合遺伝子,HER2 増幅,gBRCA1/2 遺伝子変異,マイクロサテライト不安定性(MSI)検査)結果との一致率を解析した。その結果,体細胞遺伝子変異( 点変異:SNV,挿入欠失変異:InDel)を対象としたCDx 検査に対するNOP 検査の陽性一致率,陰性一致率,および全体一致率は,概ね90%以上と良好であった.同様に,遺伝子増幅・融合遺伝子,生殖細胞系列遺伝子変異を対象としたCDx 検査に対するNOP 検査の全体一致率,陰性一致率は90%以上を示した一方で,イベント数は少なかったものの陽性一致率は50.0%~ 80.0%であったことから,特に,遺伝子増幅・融合遺伝子検出におけるCDx 検査とNGS 法を原理としたCGP 検査間での遺伝子異常検出方法の違いによる判定差異が顕著に確認された.本研究結果は,将来,保険外併用療養で行われる標準治療前のCDx 用途を想定したがん遺伝子パネル検査性能に係る情報提供,ならびに本邦のがんゲノム医療におけるCGP検査とCDx 検査の適正使用を促すための一助になると考えられる。
CGP,NOP,C-CAT,CDx,NGS
本研究を遂行するにあたり、C-CAT情報利活用審査会(課題管理番号:CDU2023-022N)の承認を得て、利活用検索ポータルからC-CATデータにアクセスしました。
データをご提供いただきましたC-CATの皆様に、深く感謝申し上げます。
このコンテンツは、日本国内の医療関係者(医師・看護師・検査技師・栄養士・薬剤師など)の方に当社商品に関する情報を提供することを目的としています。
日本国外の医療関係者および一般の方に対する情報提供を目的としたものではございません。
あなたは医療関係者ですか?