プレスリリース
シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役社長:浅野 薫)は、2023年5月31日、遺伝性網膜ジストロフィ(Inherited Retinal Dystrophy: IRD)※1の疾患原因遺伝子の情報を取得する「PrismGuide IRDパネル システム(以下、本システム)」が、IRDの遺伝子パネル検査※2システムとして国内で初めて製造販売承認を取得したことをお知らせします。
一般的名称 |
生殖細胞系列遺伝子変異解析セット(疾患原因遺伝子検査用)
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販売名 | PrismGuide™ IRDパネル システム | |
医療機器製造販売承認番号 | 30500BZX00129000 | |
使用目的又は効果 |
本品は、遺伝性網膜ジストロフィと診断された患者又は疑われる患者の疾患原因遺伝子の情報を取得する。
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製造販売元 | シスメックス株式会社 | |
対象市場 | 日本 | |
承認条件 |
遺伝性網膜ジストロフィに関連する十分な知識及び経験を有する医師が、関連学会の最新のガイドライン等に基づく検査の対象及び運用指針を遵守した上で、遺伝性網膜ジストロフィパネル検査に基づく診療体制が整った医療機関で本品を用いるよう、必要な措置を講ずること。
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2020 年 3 月 5 日リリース『シスメックス、地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立神戸アイセンター病院と包括連携契約を締結 ~眼科疾患領域におけるゲノム医療の実現に向けた連携を強化~』
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2021年9月3日リリース『遺伝子パネル検査システムを用いた「遺伝性網膜ジストロフィーにおける遺伝子診断と遺伝カウンセリング」の先進医療 B 承認について』
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2022年6月30日リリース『遺伝性網膜ジストロフィーにおける遺伝子パネル検査システムの製造販売承認申請を実施』
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※1 |
遺伝性網膜ジストロフィ(Inherited Retinal Dystrophy: IRD):
遺伝子変異が原因と考えられる遺伝性進行性の疾患。類似の症状を示すいくつかの疾患を総じて遺伝性網膜ジストロフィと呼ぶ。夜盲(暗いところでものが見えにくくなる)や視野狭窄(視野が狭くなる)、視力低下が主な症状であり、進行すると場合によっては失明に至ることもある。代表的な疾患は網膜色素変性症(指定難病:告示番号90)であり、頻度は4,000~8,000人に1人とされている。(参考:難病情報センター 病気の解説:https://www.nanbyou.or.jp/entry/196)
*今回の製造販売承認にともない、本疾患の記載を「遺伝性網膜ジストロフィ」に変更しております。過去のプレスリリースおよび先進医療技術名称に関する記述は変更しておりません。
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※2 |
遺伝子パネル検査:
関連する複数の遺伝子の変異状況を一度に調べる検査法。
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※3 |
遺伝子治療:
遺伝子の欠損や正常に機能しないことなどによる病気に対して、体外より患者さんの細胞に遺伝子を導入し、細胞内で新たに発現させることにより、遺伝子異常を有する細胞に正常遺伝子を補充し、治療効果を得る治療法(in vivo 遺伝子治療)。
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※4 |
先進医療B:
「先進医療」とは、効果・安全性などの評価が定まっていない新しい試験的な医療技術のうち、将来的に保険適用の対象にするかどうかを判断するため有効性・安全性の評価を行う医療技術として厚生労働省が指定したもの。いまだ公的医療保険の対象に至らない先進的な医療技術と公的保険診療の併用(混合診療)が例外的に認められる。そのカテゴリの一つである「先進医療 B」では、医療技術ごとに施設基準を設定し、その要件を満たす医療機関でのみ実施が認められる。
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※5 |
コンビネーション医療機器:
医薬品、医療機器または再生医療等製品に該当するもののうち、二つ以上の異なる種類のものを組み合わせて一つの製品として製造販売する医療機器のこと。本システムは、試薬キットおよび解析プログラムで構成されるコンビネーション医療機器で、イルミナ株式会社の遺伝子解析装置MiSeqDxシステム(医療機器製造販売届出番号 13B1X10303000002)を組み合わせて使用する。
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※6 |
参考:日本網膜硝子体学会「遺伝性網膜ジストロフィの原因となりうる主な遺伝子」リスト https://www.jrvs.jp/guideline/index.html
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※7 |
包括的なゲノムプロファイル:
疾患の診療上重要な、検体中の複数の遺伝子の変異を同時に解析して得られる情報。
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※8 |
エキスパートパネル:
関連学会が提示する要件を満たした医療機関において、IRDに関する専門家(眼科医)、遺伝医学に関する専門家(臨床遺伝専門医)、分子遺伝学やゲノム医療に関する専門家など各分野の専門家が集い、遺伝子パネル検査の解析結果の意義づけと治療法およびロービジョンケア方針の検討・提案を行う会議。
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※9 |
ロービジョンケア:
視覚に障害があるため、生活上何らかの支障がある方に対するすべての支援の総称であり、医療的なケアから教育的、職業的、社会的、福祉的、心理的ケアまで、広い範囲にわたる支援を意味する。
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※10 |
遺伝カウンセリング:
日本医学会によると、疾患の遺伝学的関与について、その医学的影響、心理学的影響および家族への影響を人々が理解し、それに適応していくことを助けるプロセスであり、リスクや状況に対するインフォームド・チョイス(十分な情報を得た上での自律的選択)と適応を促進するためのカウンセリングなどが含まれるとされている。
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※11 |
「ヘルスケアジャーニー」とは、シスメックスが新たに提唱する概念であり、人が一生の中(ライフステージ)で、自身のヘルスケアについて経験する各種イベントと、医療機関などを含む対応のプロセスを「旅路」として捉えるもの。シスメックスは、一人ひとりのヘルスケアジャーニーがより良いものになるよう、さまざまな協創を通じて新たな価値を提供し、社会にとって不可欠な存在として成長していくことを目指しています。
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