社会

エンゲージメントの向上

従業員エンゲージメント

エンゲージメントスコア(2024年度)
 シスメックスは、グループ全従業員を対象とする企業風土調査を毎年実施しています。2024年度のエンゲージメントスコアは、グループ全体で76%となり、サステナビリティ目標の75%を2年連続で達成しています。長期経営戦略2033では、従業員エンゲージメントを重要指標として設定し、グループ従業員一人ひとりが仕事にやりがいと誇りを感じ、会社と従業員が一体となって企業価値を高めています。
 また、シスメックス株式会社の2024年度のエンゲージメントスコアは68%となりました。価値観の多様化や時代の変化に沿い、企業理念の共感度(2024年度:70%)や、ウェルビーイング(2024年度: 59%)を合わせてモニタリングし、一人ひとりの働きがいを実現する、魅力ある組織風土の醸成を進めています。 さらに、より短い間隔で実施するパルスサーベイも導入し、施策の進捗状況を把握するとともに、従業員の意見を迅速に取り入れる取り組みを行っています。
 社内コミュニケーション施策として、従業員同士でチップを添えて感謝や激励、あいさつなどのメッセージを送り合い、ポイントで報奨を受け取ることができるWebサービス「シスメックス ピア・ボーナス」を導入しています。「はたらくをもっと楽しくする」をコンセプトに、誰もが働きやすい魅力的な職場づくりを推進しています。
リーダーシップへの信頼度:63%、ウェルビーイング:59%、Sysmex Way:70%

ステークホルダーの声

 シスメックスは、大阪・関西万博において、ロボット工学の第一人者である大阪大学・石黒浩教授がプロデュースするシグネチャーパビリオン「いのちの未来」にシルバーパートナーとして協賛しています。「協賛企業には共に未来を描いてほしい」——そんな石黒教授の想いに共鳴し、シスメックスは50年後の社会といのちの在り方を描く共創活動に参加しました。社内で立ち上げたプロジェクトには、部門や職種、世代の違いを越え、約50名の社員が自ら手を挙げて集結。3年にわたる対話と試行錯誤の末に、未来の“いのち”を支える3つのプロダクトのアイデアが生まれました。


シスメックスEXPO共創プロジェクトメンバー

人的資本への投資効果をモニタリング

 シスメックスでは、付加価値生産性と従業員エンゲージメントのバランスが取れた状態を目指しています。人的資本への投資効果の指標として、付加価値生産性と従業員エンゲージメントスコアを設定し、継続的にモニタリングしています。
 2024年度のシスメックス株式会社の付加価値生産性は、過去最高の15,042円/時間となり、人的資本の投下による効果が確認できています。また、人的資本ROI(営業利益÷人件費)も173.1%で過去最高の水準となりました。これらの成果は、従業員エンゲージメントが高い水準を保ち、従業員が新しい課題に積極的に取り組むことで達成されています。どちらか一方に偏ることなく、付加価値と従業員エンゲージメントが両立したバランスの良い組織風土の形成に向けたアクションプランが着実に実を結んでいます。

  • (営業利益+人件費+人的資本に関する減価償却費)÷労働時間

ワークライフバランス支援制度

働きやすさと生産性向上の両立に向けて

ABW型オフィス(ソリューションセンター)
ABW型オフィス(ソリューションセンター)
 シスメックス株式会社では、従業員一人ひとりの多様性を尊重するとともに、多様化・複雑化する事業環境への対応と生産性向上の実現を目指した「スマートワーク制度」を導入しています。
 この制度では、リアル(オフィス勤務など)とリモート(自宅でのテレワークなど)を組み合わせたハイブリッドワークスタイルを採用しています。また、業務内容や個人の生活スタイルにあわせ、フレックスタイム、時差出勤、いわゆる「中抜け」などを組み合わせることも可能とし、ワークライフバランスを実現できる時間活用を推進しています。オフィス環境においては、デジタル技術やWeb会議システムや什器の導入、人の動線に配慮しコミュニケーションを促すレイアウトを行うなど、ABW(Activity Based Working)型オフィスを実現しました。
 

有給休暇取得推進と福利厚生制度

 シスメックス株式会社では、有給休暇取得を推進する施策として、有給休暇取得推奨日の設定や半日有給休暇制度を導入しています。また、連続有給休暇を取得して旅行やレジャー、カルチャースクールの利用などを行った場合、福利厚生プログラム「カフェテリアプラン」からの補助金支給など、さまざまな取り組みを行っています。

  •  会社が毎年、従業員に「カフェテリアポイント」を提供し、従業員一人ひとりのライフスタイルやニーズに応じさまざまなメニュー(育児や介護支援、健康支援、自己啓発など)から選択し、利用することができる。

仕事と育児の両立支援

社内託児所「シスメックスキッズパーク」
社内託児所「シスメックスキッズパーク」
  シスメックス株式会社では、出産前から育児までに対応した多様な制度を導入しています。父親・母親に対する育児休暇制度をはじめ、不妊治療やつわりに対する休暇制度、配偶者出産時休暇や子の看護休暇などがあります。また、2歳までの育児休業後から中学就学前まで利用できる勤務時間短縮制度および在宅勤務制度を導入しています。育児休業からの復職支援としては、復帰前セミナーの開催や育児休業中の従業員に向けたダイバーシティ通信の配信などを行っています。また、研究開発拠点テクノパーク内には、社内託児所「シスメックスキッズパーク」を設置しています。常時保育だけでなく、配偶者が非常勤で働いている場合や、保護者の疾病、弔事などにより家族での保育が困難なときなどの一時的な利用にも対応し、希望する従業員全員が育児休業から復帰できるようサポートしています。

 これらの取り組みにより、「子育てサポート企業」として、厚生労働省から次世代認定マーク(愛称「くるみん」)を取得しています。さらに、2023年度には、「共働き・共育てを可能にする男女問わない両立支援」が特に優れた企業として、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」として選定されました。

  • 次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業が「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定(くるみん)を受けることができる。
  • 次世代認定マーク「くるみん」
  • Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業

男性育児休業取得の推進

パパの育休ガイドブック

 シスメックス株式会社では、男性の育児休業取得率向上のための施策を展開しています。これには「パパの育休ガイドブック」の配布や、男性従業員およびその上司を対象とした外部講師を招いたセミナーが含まれます。セミナーでは、男性の育児の現状や男性が子育てに関わる重要性、ワークライフバランス、子育てのポイントに加え、男性育児休業を取得するための上司の適切な支援などについて講演や意見交換が行われました。これらの取り組みにより、男性育児休暇取得率は2022年度62%、2023年度61%、2024年度77%となり、目標としていた60%を3年連続で達成しました。

ステークホルダーの声

HUP事業本部 Mbogo Ivan

HUP事業本部 Mbogo Ivan

 妊娠期間中、男性は女性と比べて子どもとのつながりを感じる機会はあまりありません。子どもとの関係性を築く上で育児休業は大切な期間であると感じ、約2カ月間の休業を取得しました。
 職場に育休取得の意向を伝えたとき、上司や同僚は育児への参加を大切な機会だと理解し、背中を押してくれるとともに、育児についてアドバイスもしてくれました。
 育休を取得して良かったことは、パートナーが職場に復帰できたことです。また、育休中に育児や家事を十分に経験したため、現在はパートナーが出張や病気をしたときでも、安心して家庭のことを任せてもらえています。女性の大変さを理解し、リスペクトや感謝を感じられた点でも育休を取得して良かったです。

就業継続に向けた支援、社会貢献活動を促進する支援

 シスメックス株式会社では、家族の入院などで付き添いが必要になったときには、短期の介護休業と積立有給休暇を半日単位で最大40日取得できます。また、要介護者・要支援者のご家族のための在宅勤務制度も導入しています。そのほかに、1カ月以上の介護休業に対する所得補償制度や、介護でキャリアをいったん中断した従業員を再雇用する制度も整備しています。これら制度の利用促進のため、家族の介護が必要になった際の心構えや制度利用者の体験談を紹介する介護セミナーも毎年開催しています。
 さらに、配偶者の海外転勤などの自己都合による休職制度・再雇用制度を導入し、就業継続に向けて幅広く機会を提供しています。また、ボランティア休暇、臓器提供などのドナー休暇も導入しており、目的に応じて従業員が休暇を取りやすいような支援制度を設けています。

グループ会社での取り組み

 シスメックスでは、グループ会社でも働きやすい職場環境の実現に向けてさまざまな取り組みを行っています。
 EMEA地域の各社※1では、充実した職場環境や従業員満足度の高さなどから、「Great Place to Work※2」を受賞しています。シスメックスUKでは、従業員一人ひとりの健康に重点を置き、すべての従業員が前向きなワークライフバランスを確保できるよう、全マネージャーがウェルビーイングについての研修を修了しています。シスメックス サウスアフリカでは、人材方針にマタニティポリシーを組み入れ、有給で4カ月の産前産後休暇を保証するなど、仕事と育児の両立を支援する制度の拡充を図っています。また、シスメックス スペイン、シスメックス ポルトガルでは、El Mundo社による「最も働きがいのある企業100社」に選ばれています。

  • 1 シスメックス ヨーロッパ、シスメックス ドイツ、シスメックス ベルギー、シスメックス オランダ、シスメックス トルコ、シスメックス オーストリア、シスメックスUK、シスメックス フランス
  • 2 「働きがい」に関する調査・分析を行う専門調査機関である GPTWにより発表される企業ランキング。一定の水準に達していると認められた会社や組織を各国の有力なメディアで発表する活動を世界約60カ国で実施している。
  • Great Place to Work授賞式(オーストリア)
    Great Place to Work授賞式(オーストリア)

その他グループ会社での取り組み

会社名 取り組み内容
シスメックスRA
  • 企業主導型保育施設の活用
  • 「子育てサポート企業」として、厚生労働省の次世代認定マーク(愛称「くるみん」)を取得
  • 経済産業省の「健康経営優良法人」の認定を取得
    健康経営優良法人2025
シスメックス アメリカ
  • フレックスタイム制度、在宅勤務制度の導入
  • 法定以上の育児休暇制度の導入(父親、母親)
  • ファミリーサポート制度の導入(子育て支援、家族休暇、家族が病気になった場合の外部機関によるサポート利用時の補助金支給)
シスメックス
ヨーロッパ
  • フレックスタイム制度、在宅勤務制度の導入
  • 親子ルームの設置
  • 育児休業制度の導入(父親、母親)
  • 子育て支援制度(外部機関によるサポート利用時の補助金支給)
シスメックス オランダ
  • 授乳室の設置
シスメックス 上海
  • フレックスタイム制度の導入
  • 新型コロナウイルス感染症への対応として、多様な勤務形態を導入
シスメックス
アジア・パシフィック
  • フレックスタイム制度、在宅勤務制度の導入
  • 子育て支援制度(育児休暇延長制度、医療保険補助、奨学金支給)
  • 法定以上の介護や育児を目的とするファミリー・ケア休暇制度の導入
  • 全社員を対象とする37の疾病をカバーする保険への加入
  • 契約社員を対象とする福利厚生制度の導入
  • ボランティア休暇制度の導入