社会
シスメックスではグループ全体で、人材を持続的な成長のための重要な経営資源の一つとして捉え、多様な人材が働きやすい環境を整備し、公平な機会提供のもと受容する「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(以下DE&I)」を目指した取り組みを進めています。
シスメックス株式会社では、取締役 専務執行役員が管掌するコーポレートマネジメント領域に、ダイバーシティ推進部門を設置しています。この部門では、ダイバーシティに関する情報発信や理解浸透活動に加え、意識調査を行うことで従業員の声を取り入れ、施策に展開しています。2023年度には、インクルーシブ・リーダーシップや、多様な人材の活躍の基礎となる従業員の心身の健康やウェルビーイングをテーマにした経営層と従業員のトークセッションなどを実施しました。また、ダイバーシティを尊重し受け入れるだけでなく公平に活躍する機会を与えることも重要です。男女間の不平等解消を目指すジェンダー・エクイティ、性的マイノリティへの理解促進、障がい者やシニア人材の活躍促進にも取り組んでいます。
当社従業員と代表取締役社長の浅野の間で、誰もが活躍できる働きやすい職場づくりとして、シスメックスのウェルビーイングについてトークセッションを行いました。
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従業員×社長対話|ウェルビーイング経営の推進
シスメックス株式会社は、仕事と育児の両立を支援する制度の導入など、働きやすい職場環境を整えるとともに、女性リーダーの育成にも取り組んでいます。女性活躍推進法に基づく「女性活躍推進行動計画」を制定し、2024年度までに女性マネジメント比率を15%以上(2023年度実績:10.3%)、年間労働時間を1,950時間未満(2023年度実績:2,010時間)にするという目標を設定しています。また、キャリア形成と働き方の両面からアプローチするために、女性マネジメント比率、女性次世代マネジメント比率、男性従業員の育児休業取得率をKPIとして設定し、さらなる女性活躍推進施策を展開していきます。
2023年度の取り組みとしては、インクルーシブ・リーダーシップ研修や、キャリア動機付け支援を行う研修、新任役職者を対象にした女性活躍推進に関する研修などを行いました。
報酬面では、グループ共通のHRポリシーに基づき、職務・役割に応じて報酬を定め、男女の賃金差の解消を進めています。シスメックス アメリカでは、性別に加え、人種比率についてもモニタリングや外部監査を行い、同程度の職務において給与に不当な差異がないことを管理しています。
シスメックスではグループ全体で、LGBTQ+※1への理解・支援を表明するため、6月の「プライド月間」にあわせて、シスメックスグループ各社のSNS公式アカウントのプロフィール画像にレインボーフラッグを取り入れています。
シスメックス株式会社では、2020年度より、パートナーシップ登録制度を導入し、同性のパートナーを戸籍上の配偶者と同等に扱っています。日本国内における同性婚の法制化(婚姻の平等)に向けて、「Business for Marriage Equality(BME)」への賛同を表明しています。また、日本最大のLGBTQイベントである「東京レインボープライド」にも2022年より参画しています。
イントラネット専用サイトでは、性的マイノリティへの知識を深める情報を発信し理解の浸透を進めており、eラーニング資料の提供、「SOGI※2」の視点から職場環境改善について学ぶことができる入門用テキストの貸し出しやAllyステッカーの配布を行っています。その他、「LGBTQ+とジェンダー」をテーマとしたダイバーシティ・ラウンドテーブル※3の開催も行っています。
このような取り組みにより、2023年度には、企業や団体のLGBTQなどの性的マイノリティに関する取り組みを評価する指標「PRIDE指標2023」において、最高評価であるゴールドを2年連続で受賞しました。
シスメックスでは、身体、知的、精神に障がいのある方々が個々の特性にあわせて活躍できる業務や職場環境を整備し、障がいの有無に関わらず、誰もが安心して働く喜びを感じながら、活き活きと活躍し、ともに成長できる、笑顔あふれる職場を目指しています。
特例子会社※であるシスメックスハーモニーでは、工場での機器の付属品や部品の梱包、試薬の添付文書の折り込みなど試薬や機器の製造補助を行っており、コロナ禍になって需要が増加したPCR検査キットの梱包作業も担っています。また、従業員一人ひとりの特性を踏まえた業務の割り振りや、指導員との定期的な面談による密なコミュニケーションなど、長く働いていけるように職場定着のためのさまざまな工夫を行っています。2023年度の国内の障がい者雇用率は2.38%でした。今後も、職場環境の整備、受入部門への教育・啓蒙を推進し、障がい者の職域拡大を進めていきます。
シスメックス ヨーロッパにおいても、障がい者の自立支援に取り組んでいる団体と連携し、ドイツ試薬生産工場の製造ラインでの梱包作業などを委託しています。
シスメックス株式会社では、ジョブ型人事制度の導入を機に、2021年3月より定年を60歳から65歳に変更し※、年齢による処遇の格差の是正や多様な働き方への転換を進め、短時間勤務や副業・兼業も可能となりました。また65歳の定年退職後、シニア嘱託として最高70歳まで働くことができます。
また、シニア人材のキャリア開発支援として、今後のキャリアを考えるうえで必要な基本知識と考え方の理解を促進する「キャリア開発サポートプログラム」を行っています。eラーニング、集合研修、個別コンサルティングを組み合わせて提供することで、キャリアを自律的に考え、具体的に行動変容ができるようサポートしています。
シスメックス株式会社では、社内情報誌「ダイバーシティ通信」を毎月発行し、従業員への情報共有や理解促進を図っています。ジェンダーやLGBTQ+、介護、障がい者の定着支援、ユニバーサルマナー、職場のメンタルヘルス、女性の健康、ウェルビーイング、男性の育児休業の取得などをテーマにしたダイバーシティ・ラウンドテーブルの開催や、無意識の偏見に気づき対処するためのアンコンシャスバイアスのeラーニングを常時実施しています。育児に関するテーマでは、毎年、男性外部講師を招いて、育児の重要性やワークライフバランス実現に関するセミナーを行うなど、男性の育児参加を促す仕組みづくりも意識しています。その他、DE&Iや男性・女性特有のヘルスケア(フェムテック※や不妊治療を含む)をテーマに、各業界の第一人者が登壇するオンラインのランチセミナーを提供しています。
このようなダイバーシティ教育は、各地域の文化・特性にあわせて世界各地で推進しています。EMEA地域では、多様な国籍・人種・文化を持つ従業員が存在する地域特性にあわせて、差別防止や異文化コミュニケーションに関する研修を実施しています。