社会
シスメックスではグループ全体で、「人」を持続的な成長のための重要な経営資源の一つとして捉え、多様な人材が働きやすい環境を整備し、公平な機会提供のもと受容する「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(以下DE&I)」を目指した取り組みを進めています。
シスメックス株式会社では、ダイバーシティ推進部門を設置し、ダイバーシティに関する情報発信や理解浸透活動に加え、意識調査を行うことで従業員の声を取り入れ、施策に展開しています。2022年度には、アンコンシャスバイアスセミナーやフェムテックサービス※をはじめとしたプログラムの提供、外部有識者と当社代表取締役会長とのダイバーシティマネジメントについての対談などを実施しました。
また、ダイバーシティを尊重し受け入れるだけでなく公平に活躍する機会を与えることも重要です。男女間の不平等解消を目指すジェンダー・エクイティ、性的マイノリティへの理解促進、障がい者やシニア人材の活躍促進にも取り組んでいます。
アーティスト・大学准教授・起業家としてボーダレスに活躍を続けるスプツニ子!さんと、当社代表取締役会長の家次恒がダイバーシティマネジメントについて対談を行いました。
スプツニ子!:
シスメックスでは、オープンイノベーションの推進や多様な分野と融合しながら創り上げる、という意味で、“多様性”を重視するのでしょうか。
家次:
そうですね、多様性をいかに融合させるかが大事です。不確実な時代において、さまざまな個性や強みを融合させることで、加速度的な成長を可能とし、企業の競争優位性を高めます。さまざまな文化や信条、価値観、経歴を持つ人材が融合するのは容易ではなく、他者理解が非常に大事なことであり、ダイバーシティの根幹だと私は考えます。
シスメックス アメリカでは、退役軍人の雇用促進を行っています。2022年にはアメリカ労働省による退役軍人採用に関する賞「HIRE Vets Medallion Award」の金賞を受賞しました。この賞は、退役軍人の誘致、採用、維持に貢献した企業に授与されるものです。
シスメックス アメリカでは、退役軍人の雇用を通じて、多様なスキルを活用した長期的なキャリア形成の支援を行っています。
シスメックス株式会社は、仕事と育児の両立を支援する制度の導入など、働きやすい職場環境を整えるとともに、女性リーダーの育成にも取り組んでいます。女性活躍推進法に基づく「女性活躍推進行動計画」を制定し、 2024年度までに女性マネジメント比率を15%以上(2022年度:10.1%)、年間労働時間を1,950時間未満(2022年度:2020時間)にするという目標を設定しています。また、キャリア形成と働き方の両面からアプローチするために、女性マネジメント比率、女性次世代マネジメント比率、男性従業員の育児休業取得率を設定し、さらなる女性活躍推進施策を展開していきます。
2022年度の取り組みとしては、アンコンシャスバイアスセミナーや、キャリア動機付け支援を行う研修、新任役職者を対象に女性活躍推進に関する研修などを行いました。
報酬面においても、グループ共通のHRポリシーに基づき、職務・役割に応じて報酬を定め、男女の賃金差の解消を進めています。シスメックス アメリカでは、性別に加え、人種比率についてもモニタリングや外部監査をおこない、同程度の職務において給与に不当な差異が無いことを管理しています。
シスメックスではグループ全体で、LGBTQ+※1への理解・支援を表明するため、6月の「プライド月間」に合わせて、シスメックスグループ各社のSNS公式アカウントのプロフィール画像にレインボーフラッグを取り入れています。
シスメックス株式会社では、2020年度より、パートナーシップ登録制度を導入し、同性のパートナーを戸籍上の配偶者と同等に扱うことができるようになりました。さらに2022年には、日本国内における同性婚の法制化(婚姻の平等)に向けて、「Business for Marriage Equality(BME)」への賛同を表明しました。また、日本最大のLGBTQイベントである「東京レインボープライド」にも2022年より参画しています。
イントラネット専用サイトでは、性的マイノリティへの知識を深める情報を発信し理解の浸透を進めており、eラーニング資料の提供、「SOGI※2」の視点から職場環境改善について学ぶことができる入門用テキストの貸し出しを行っています。その他、「LGBTQ+とジェンダー」をテーマとしたダイバーシティ・ラウンドテーブル※3の開催も行っています。
このような取り組みにより、2022年度には、企業や団体のLGBTQなどの性的マイノリティに関する取り組みを評価する指標「PRIDE指標2022」において、最高評価であるゴールドを受賞しました。
シスメックスではグループ全体で、身体、知的、精神に障がいのある方々が個々の特性にあわせて活躍できる業務や職場環境を整備し、障がいの有無に関わらず、誰もが安心して働く喜びを感じながら、活き活きと活躍し、ともに成長できる、笑顔あふれる職場を目指しています。
特例子会社※であるシスメックスハーモニーでは、工場での機器の付属品や部品の梱包、試薬の添付文書の折り込みなど試薬や機器の製造補助を行っており、コロナ禍になって需要が増加したPCR検査キットの梱包作業も担っています。また、従業員一人ひとりの特性を踏まえた業務の割り振りや、指導員との定期的な面談による密なコミュニケーションなど、長く働いていけるように職場定着のための様々な工夫を行っています。2022年度の国内の障がい者雇用率は2.31%でした。今後も、職場環境の整備、受入部門への教育・啓蒙を推進し、障がい者の職域の拡大を進めてまいります。
シスメックス ヨーロッパにおいても、障がい者の自立支援に取り組んでいる団体と連携し、ドイツ試薬生産工場の製造ラインでの梱包作業などを障がいのある方々に委託しています。
シスメックス株式会社では、ジョブ型人事制度の導入を機に、2021年3月より定年を60歳から65歳に変更し※、年齢による処遇の格差の是正や多様な働き方への転換を進め、短時間勤務や副業・兼業も可能となりました。また65歳の定年退職後、シニア嘱託として最高70歳まで働くことができます。
また、シニア人材のキャリア開発支援として、今後のキャリアを考える上で必要な基本知識と考え方の理解を促進する「キャリア開発サポートプログラム」を行っています。eラーニング、集合研修、個別コンサルティングを組み合わせて提供することで、キャリアを自律的に考え、具体的に行動変容ができるようサポートしています。
シスメックス株式会社では、社内情報誌「ダイバーシティ通信」を毎月発行し、従業員への情報共有や理解促進を図っています。2022年度は、LGBTQ+、障がい者支援、健康経営(メンタルケアなど)、男性育児や育児休業法制度の改定、ジェネレーション(Z世代への理解)、シニア世代の働き方などをテーマにしたダイバーシティ・ラウンドテーブルの開催や、無意識の偏見に気づき対処するためのアンコンシャスバイアス研修などを実施しました。育児に関するテーマでは、男性従業員をスピーカーとして育児の重要性やワークライフバランス実現に関するセミナーを行うなど、男性の育児参加を促す仕組みづくりも意識しています。その他、従業員が自由にテーマを選んで受講できる、男性・女性特有のヘルスケア(フェムテックや不妊治療を含む)に関するオンラインセミナーサービス導入を行いました。
このようなダイバーシティ教育は、各地域の文化・特性に合わせて世界各地で推進しています。EMEA地域では、多様な国籍・人種・文化を持つ従業員が存在する地域特性に合わせて、差別防止や異文化コミュニケーションに関する研修を行いました。