社会

健康増進と労働安全の推進ーウェルビーイングー

健康経営宣言とマテリアリティ

シスメックス健康経営宣言の策定

 シスメックスは、グループ企業理念を実践する基盤となる従業員が、心身ともに充実した人生を歩むために、経営課題の一つとして健康経営を推進してきました。2020年4月に策定した「健康経営宣言」では、労働安全衛生、心身の健康などの重要な課題(健康経営マテリアリティ)を設定し、健康増進施策や、多様性が尊重される職場環境の整備を継続的に展開し、より魅力ある職場づくりの実現を目指します。
 また、毎年行っているエンゲージメントサーベイではウェルビーイングの調査も行っており、「安全に働くことができる職場」の質問に対し2年連続で80%以上の従業員が好意的な回答をしています。

  • 対象:シスメックス株式会社

健康増進に向けた取り組み

従業員の健康増進に向けた取り組み

 シスメックス株式会社では、定期健康診断に加え、人間ドックや女性特有のがん検診を実施し、精密検査判定者などの二次検査受診勧奨を実施しています。また継続就業支援として、長期・断続的な受診や治療を必要とする従業員には在宅勤務を適応しています。感染性物質を取り扱う業務を行う従事者に対しては、法定の特殊健康診断に加え、B型・C型肝炎検査を含む自社独自の健康診断を年2回実施するなど、疾病の早期発見・早期治療に努めています。
 また、厚生労働省の「がん対策推進企業アクション」「知って、肝炎プロジェクト」のパートナー企業に登録するとともに、「兵庫県がん検診等受診率向上推進協定」を締結し、疾病に関する啓蒙活動と受診率向上のための活動を行っています。受動喫煙対策では、国内グループ会社の自社保有事業所の喫煙場所を撤廃するとともに、禁煙外来の受診費用や関連セミナー受講費用の補助などを行っています。

  • 福利厚生プログラム「カフェテリアプラン」で受診費用や健康関連セミナー受講費用などの補助金を従業員自身で選択し申請することができる。

メンタルヘルスの取り組み

 シスメックス株式会社では、従業員のメンタルチェックやハラスメントに関する状況把握を行う「ココロの健康診断」を年1回実施し、経年的に結果を把握し、職場改善を図っています。また、産業医や保健師と面談できる健康相談窓口の設置に加え、メンタルヘルスにおいて従業員を支援するプログラム(EAP)を導入し、社外専門家にいつでも相談できる体制を整えています。
 2022年度は、産業医によるメンタルヘルスをテーマとしたセミナーを複数回開催し、定期的に従業員へのセルフケアの意識付けを行っています。また、管理職層を対象として、組織における心理的安全性向上のためのマネジメント研修を実施しました。
 シスメックスCNAでは、メンタルヘルスケアとして、2021年より社外の専門機関と業務委託契約を締結しています。2022年度には、メンタル不調者とのカウンセリング、休職者への復職支援、セルフケア、アンガーマネジメント、女性活躍などに関する研修を実施しました。

より活き活きと健やかに過ごすための取り組み

 シスメックス株式会社では、健康維持のための福利厚生施設として、サービス&サポートの拠点であるソリューションセンターの敷地内にグラウンドやテニスコート、フィットネス設備を備えた体育館などを設けています。また、従業員自身に健康への関心を持ってもらうためのイベント・セミナーの開催、スポーツ施設利用補助などの健康増進プログラムが含まれる福利厚生プログラム「カフェテリアプラン」の提供、社員食堂でのヘルシーメニューの提供などを行っています。社員食堂を持たない一部の事業所では、従業員の食生活改善・リフレッシュを目的に、無添加・国産食材にこだわった惣菜などを販売する健康社食サービスの導入も開始しています。また、健康保険組合とのコラボヘルスとして、ウォーキングイベントや勤務時間内の特定保健指導の面談も実施しています。

テニスコート、体育館(ソリューションセンター)
テニスコート、体育館(ソリューションセンター)

健康経営優良法人の認定

健康経営優良法人2022 ホワイト500

 シスメックス株式会社では、健康経営に向けたさまざまな取り組みや国内グループ会社を含む活動体制が評価され、 2023年3月に、経済産業省より優良な健康経営を実践している法人として、「健康経営優良法人」の7回目の認定を受けました。

グループ各社での取り組み

社内フィットネスセンター(HITADO)
社内フィットネスセンター(HITADO)
 シスメックスでは、グループ会社でも従業員の健康増進に向けてさまざまな取り組みを行っています。
 グループ会社のHITADOでは、社内にフィットネスセンターを設置し、全従業員を対象にヨガ・ピラティスなどさまざまな健康プログラムを提供しています。また、社内の検査センターでは新型コロナウイルス感染症のセルフテストをいつでも無料で受けることができます。
会社名 取り組み内容
シスメックス アメリカ
  • 社内フィットネスルームの設置、ヨガ・ウェイトトレーニングなどのスポーツプログラム提供
  • フィットネス手当・健康手当の支給
  • 健康診断やインフルエンザ予防接種費用の補助
シスメックス ブラジル
  • 従業員であれば通えるジムの会員企業としての登録
シスメックス ヨーロッパ
  • 社内フィットネスルームの設置
  • スポーツや栄養管理のプロから指導を受けることができる健康管理プログラム、 ヨガなどのオンラインスポーツプログラム、自転車のリース、健康診断などの提供
  • ストレスマネジメントトレーニングの提供
  • 社外専門家との精神的・社会的ケアのコンサルテーションを提供
  • カフェテリアでのランチ、フルーツの無料提供
シスメックス 上海
  • オフィス内にCO2、PM2.5値を下げる設備を導入
シスメックス アジア・パシフィック
  • ヨガなどのスポーツプログラム、健康診断の提供
  • オフィス内に観葉植物を設置
  • カフェテリアでのフルーツ無料提供

労働安全衛生の体制と推進

労働安全衛生の推進体制

労働災害度数率/強度率

 シスメックスでは、取締役専務執行役員の責任のもと制定された「安全衛生規程」に基づき、労働安全衛生マネジメントを推進しています。国内グループ会社を対象とした中央安全衛生委員会を設置し、安全衛生・健康管理体制の強化・充実を図るための方針・目標を策定するほか、各事業所の安全管理状況の把握、改善すべき施策の検討を行っています。今後さらに、担当産業医や産業保健師の役割を整備し、従業員により近いところで健康増進・予防・啓発に関与していきます。また、労働災害度数率と労働災害強度率をサステナビリティ目標として設定し、進捗状況を半期ごとに取締役会に報告しています。

  • 人事・総務部門、各事業所の安全衛生委員会の委員長、シスメックスユニオンの推薦者、産業医・保健師などで構成

労働安全衛生推進の取り組み

 シスメックスでは、各事業所で定期的に開催される安全衛生委員会において、職場巡回で把握したリスクの排除など、リスクアセスメントの考えに基づき、短期から長期の視点で未然に災害を防止する対策に取り組んでいます。また、国内グループ会社を統括する中央安全衛生委員会では、国内グループの安全衛生・健康管理に関する方針や目標の設定・モニタリング、職場の危険性・過重労働対策、化学物質取り扱い調査やリスクアセスメント結果に基づく対策など、幅広い内容について議論しています。労働災害が発生した場合は、各事業所の安全衛生委員会で原因・対策を審議の上、中央安全衛生委員会へ報告し、グループ内で水平展開することで、再発防止に努めています。
 また、事故や急病人の発生時の適切な応急措置や退避方法、危険性のある機械や原材料の取り扱い方などに関する安全教育や、安全運転教育、大規模災害を想定した総合消防訓練、AED使用方法の研修、市民救急救命士講習なども定期的に実施しています。特に災害時における迅速な従業員の安全確保と安否確認、事業所などの被災など、初動対応に関する訓練を適宜実施しています。その他、労務コンプライアンス研修、産業医による健診二次検査受診の重要性や新型コロナウイルス感染症の後遺症について、外部専門家による女性の健康についてのセミナーなどを実施しています。
 グループ会社でも、各地域の法令や施設の特性に合わせて、職場の巡回・調査やリスクアセスメント、緊急事態を想定した訓練などを行い、労働安全衛生マネジメントを推進しています。シスメックス ブラジルでは、労働安全衛生マネジメントシステムの国際的な規格であるISO 45001の認証を継続して取得しています。

過重労働の防止

 過重労働は心身の健康を妨げる要因となることから、長時間労働の防止にも取り組んでいます。関連法令の遵守とともに、厚生労働省の指針よりも厳しい社内基準を設け、労働時間が社内基準を上回った場合は、上長への連絡と自己チェック表の提出を求めて業務改善を図ります。また、必要に応じて産業医との面談の機会を設けています。労働時間管理については、ICカードによる入退室管理とパソコンの起動と終了の時刻ログから労働時間を把握しています。また、継続して経営層に対して外部講師による時間管理に関する研修、従業員へのeラーニングを実施し、過重労働の改善に対する認識を深めました。
 2022年度の一人あたりの年間総労働時間は2,020時間※1となり、前年度から10時間減少しました。主な要因としては、技術革新・事業構造の変革に取り組む中、積極的な採用活動によって人員不足の解消が進んだこと、付加価値生産性指標※2を取り入れることで効率的な働き方に変化し残業時間の減少につながったこと、また、有給休暇の取得日数の増加などがあります。
 今度も採用活動の強化による適切な人的配置を進め、労働組合とも連携して従業員への教育や啓蒙活動を積極的に行うことで、労働時間の削減を目指します。

  • 1 国内グループ会社の正社員
  • 2 (営業利益+人件費+減価償却費)÷労働時間
  • 「シスメックス」はシスメックスグループを、「シスメックス株式会社」は、シスメックス株式会社単体を指します。