シスメックスは世界の三大感染症の一つであるマラリアの排除に向け、自社の事業分野である検査・診断領域における課題解決に挑戦しています。
2019年にCEマークを取得した多項目自動血球分析装置は、2020年6月に、マラリアの診断補助を目的とした高度管理医療機器(クラスⅢ)
※1として、国内で初めて薬事承認を取得し、アフリカの国々でも薬事申請を順次進めています。
現在主流となっているマラリア検査は、簡易診断キットや顕微鏡が用いられますが、いずれも前処理を含めて約15分から30分の時間がかかる上、顕微鏡検査には熟練の技術を要することが課題でした。それに対して多項目自動血球分析装置は、前処理作業を伴うことなく、マラリア原虫等に感染した赤血球の有無とその比率を約1分※2で高精度に自動測定することができます。※3
マラリアは、早期診断・早期治療により死亡者数を減らすことができる疾患であり、診断に有用な検査結果を迅速かつ容易に提供可能な本製品を臨床現場へ提供することで、国内の輸入感染症対策へ貢献します。
また、高度管理医療機器としての国内薬事承認は、新興国・開発途上国向けの医療アクセス改善を進める国際基金団体等の調達基準※4として挙げられています。国際基金団体等と連携することで、新興国・開発途上国などの医療資源が限定される国や地域への導入を推進し、世界におけるマラリア排除(マラリア・エリミネーション)に貢献します。
また、シスメックスは2016年よりマラリア対策に関係する研究機関・企業などにより構成されるマラリア・コンソーシアムの活動および運営に参画しています。アジア・アフリカにおいて産官学連携で進められるプロジェクト活動に、「検査・診断」分野で貢献しています。全セッションがオンラインで生中継された第7回日経・FT感染症会議では、マラリア・コンソーシアムでの産官学連携の取り組みについての活動報告を行いました。