社会
シスメックスは、グループ企業理念を実践する基盤となる従業員が、心身ともに充実した人生を送ることを支援するため、「健康経営」を重要な経営課題の一つとして取り組んできました。2020年に「健康経営宣言」を発表し、2024年には「健康経営戦略マップ」を策定しました。その中で、健康経営におけるマテリアリティとそれに紐づくアクションプラン・パフォーマンス指標を設定し、継続的な健康投資と取り組み改善を行っていくことをコミットしています。また、中央安全衛生委員会が中心となり、シスメックスユニオンや外部専門家、グループ各社と連携し、海外も含めたグループ全従業員の心身の健康と一人ひとりのウェルビーイング向上を目指した活動を推進していきます。
連携
しながら
活動を展開
取締役会
内部統制委員会
中央安全衛生委員会
(委員長:人事本部長)
事務局:人事部、総務部、
施設管理部
グループ従業員
海外地域統括会社等
シスメックス株式会社では、定期健康診断に加え、人間ドックや女性特有のがん検診を実施し、精密検査判定者への二次検査受診勧奨※1を行っています。また、感染性物質を取り扱う業務を行う従事者に対しては、法定の特殊健康診断に加え、B型・C型肝炎検査を含む自社独自の健康診断を年2回実施するなど、疾病の早期発見・早期治療に努めています。2023年度から医療保健スタッフの増員など体制拡充を行い、積極的な保健指導の効果もあり、受診率が向上しています。
さらに、厚生労働省の「がん対策推進企業アクション」、「知って、肝炎プロジェクト」のパートナー企業に登録するとともに、兵庫県や神戸市と「がん検診等受診率向上推進協定」を締結し、疾病に関する啓蒙活動と受診率向上のための活動を行っています。受動喫煙対策では、国内グループ会社の自社保有事業所の喫煙場所を撤廃するとともに、禁煙外来の受診費用や関連セミナー受講費用の補助※2などを行っています。
継続就業支援として、長期・断続的な受診や治療を必要とする従業員にはスマートワークの利用推進やモバイルワークの一時的な上限緩和を適用し、復職時には「ならし出社制度」を設け、段階的な復職ができる制度を設けています。
また、年1回健康に関するアンケートを実施し、従業員の生活習慣などを把握するとともに、課題やニーズに合わせた施策(働き方・福利厚生など)を拡大しています。2024年度は不妊治療や健康促進につながる器具購入の補助を加えたり、ご家族も含めた健康相談・医療機関紹介窓口などを外部に設けたりと、福利厚生プログラムの充実を図りました。
シスメックス株式会社では、健康維持のための福利厚生施設として、サービス&サポートの拠点であるソリューションセンターの敷地内にグラウンドやテニスコート、フィットネス設備を備えた体育館などを設けています。また、従業員自身に健康への関心を持ってもらうためのイベント・セミナーの開催、スポーツ施設利用補助などの健康増進プログラムが含まれる福利厚生プログラム「カフェテリアプラン」の提供、社員食堂でのヘルシーメニューの提供などを行っています。社員食堂を持たない一部の事業所では、従業員の食生活改善・リフレッシュを目的に、無添加・国産食材にこだわった総菜などを販売する健康社食サービスの導入も開始しています。また、健康保険組合とのコラボヘルスとして、ウォーキングイベントや勤務時間内の特定保健指導の面談も実施しています。
毎年行っているエンゲージメントサーベイではウェルビーイングの調査も行っており、「安全に働くことができる職場」の質問に対して、4年連続で80%以上の従業員※が好意的な回答をしています。
シスメックス株式会社では、健康経営に向けたさまざまな取り組みや国内グループ会社を含む活動体制が評価され、2024年3月に、優良な健康経営を実践している法人として「健康経営優良法人(ホワイト500)」の認定を受けました。健康優良企業認定は連続9回目の認定です。
会社名 | 取り組み内容 |
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シスメックス アメリカ |
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シスメックス ブラジル |
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シスメックス ヨーロッパ |
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済南 シスメックス |
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シスメックス 上海 |
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シスメックス アジア・パシフィック |
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シスメックスでは、国内グループ会社を対象とした中央安全衛生委員会※を設置し、安全衛生・健康経営推進体制の強化・充実を図るため方針・目標を策定しています。また、各事業所の安全管理状況の把握、改善すべき施策の検討を労働組合とともに行っています。担当産業医、産業保健師や心理士の役割を整備し、従業員に身近な場所で健康増進・予防・啓発活動を積極的に行っています。また、労働災害度数率と労働災害強度率をサステナビリティ目標として設定し、進捗状況を半期ごとに取締役会に報告しています。
シスメックスでは、各事業所で定期的に開催される安全衛生委員会において、職場巡回で把握したリスクの排除など、リスクアセスメントの考えに基づき、短期から長期の視点で未然に災害を防止する対策に取り組んでいます。また、国内グループ会社を統括する中央安全衛生委員会では、国内グループの安全衛生・健康管理に関する方針や目標の設定・モニタリング、職場の危険性・過重労働対策、化学物質取り扱い調査やリスクアセスメント結果に基づく対策など、幅広い内容について議論しています。労働災害が発生した場合は、各事業所の安全衛生委員会で原因・対策を審議のうえ、中央安全衛生委員会へ報告し、グループ内で水平展開することで、再発防止に努めています。
また、事故や急病人の発生時の適切な応急措置や退避方法、危険性のある機械や原材料の取り扱い方などに関する安全教育や、安全運転教育、大規模災害を想定した総合消防訓練、AED使用方法の研修、市民救急救命士講習なども定期的に実施しています。特に災害時における迅速な従業員の安全確保と安否確認、事業所などの被災など、初動対応に関する訓練を適宜実施しています。その他、労務コンプライアンス研修、産業医による健診二次検査受診の重要性や従業員による職場巡回や改善活動などを実施しています。
グループ会社でも、各地域の法令や施設の特性にあわせて、職場の巡回・調査やリスクアセスメント、緊急事態を想定した訓練などを行い、労働安全衛生マネジメントを推進しています。シスメックス ブラジルでは、労働安全衛生マネジメントシステムの国際的な規格であるISO 45001の認証を継続して取得しています。
過重労働は心身の健康を妨げる要因となることから、シスメックスユニオンとも連携して、長時間労働の防止にも取り組んでいます。労働時間管理は、ICカードによる入退室管理とパソコンの起動と終了の時刻ログから労働時間を把握しています。関連法令の遵守とともに、厚生労働省の指針よりも厳しい社内基準を設け、労働時間が社内基準を上回った場合は、上長への連絡と自己健康チェック表の提出を求めて業務改善を図ります。また、必要に応じて産業医との面談の機会を設けています。さらに、継続して経営層に対して外部講師による時間管理に関する研修を行い、2024年度は係長層へのeラーニングの実施やポジティブオフを推奨するポスター啓発など、過重労働の改善に対する認識を深めました。
2024年度の一人当たりの年間総労働時間は2,009時間※1となり、前年度から1時間減少しました。営業部門における製品買い替え更新の増加やMR部門における活動の増加、全社基幹システムの更新対応などによる増加要因もありましたが、採用活動によって人員不足の解消が進んだこと、付加価値生産性指標※2を取り入れることで働き方が効率的になってきたこともあり、残業時間の減少傾向につながっています。
今後も採用活動の強化による適切な人的配置を進め、労働組合とも連携して従業員への教育や啓蒙活動を積極的に行うことで、労働時間の削減を目指します。