2023年度より新たに掲げた長期ビジョン「より良いヘルスケアジャーニーを、ともに。」とその実現に向けた新しい長期経営戦略2033「VA33」(Value Advance 2033)が始まっています。VA33では、成長戦略として、既存事業の強化、新規事業の拡大に加え、新興国の市場ニーズに適した製品の開発・販売を進めています。
一方、これらをサステナビリティ経営の観点から見れば、当社の優先的に取り組むべき課題(マテリアリティ)として設定しているイノベーションを通じた医療課題の解決や医療アクセス向上の取り組み、そして、それらを支える人材育成やガバナンスの強化などを推進することになります。
すなわち、当社の成長戦略にサステナビリティは統合され、表裏一体をなすものです。
VA33に合わせて刷新した価値創造ストーリーでは、無形資産を含めた経営資源を活用し、事業領域の拡大を図りながら、「事業」「技術」「人的資本」「コーポレートマネジメント」「エコソーシャル」の5つの要素で構成される基本戦略のもとで成長していくことを目指します。 基本戦略では従来の人材戦略を人的資本戦略に進化させて、その価値を最大限に発揮していくことで、企業価値向上を実現します。また、新たにエコソーシャル戦略を策定し、戦略的に環境・社会への価値創造を行うことで、新たな競争優位性につなげます。
この基本戦略を遂行することで長期ビジョンを実現し、最終的には、世界中の人々の健康寿命の延伸、循環型社会の実現、社会価値の創出に貢献してまいります。
当社では、持続可能な社会の実現およびシスメックスの持続的な成長に向けて、5つのマテリアリティを掲げ、アクションプランに展開して取り組みを推進しています。
その中の「健康社会への新たな価値創出」では、新たな検査・診断技術の開発を通じて、医療の諸課題の解決を目指します。例えば、認知症を早期に診断するために血液からアルツハイマー病を検査する技術の開発や、薬剤耐性(AMR)対策への貢献として、細菌の有無および抗菌薬の有効性を判定する迅速薬剤感受性検査システム※を提供しています。
「ガバナンスの強化」では、取締役会の任意委員会である指名・報酬委員会の両議長を独立社外取締役とし、その過半数を独立社外取締役で構成とするほか、執行役員の多様性も重視し、経営の透明性・健全性を図っています。また、サステナビリティ目標を設定し、その進捗と課題を半年に一度、取締役会に報告し討議することで、サステナビリティ経営の推進と経営品質の向上に努めています。