社会
シスメックス株式会社では、イノベーションの源泉は多様な人材であるとの考えから、さまざまな経験や価値観を持った人材の採用を行っています。「いつでも、どこでも、だれでも」をポリシーに、国籍・人種・性別・年齢・職歴・障がいの有無を問わず、人物本位で採用を実施しています。
新卒採用、キャリア採用ともに、職種別/ポジション別に募集を行っており、個々の専門性や志向、働き方の希望に基づき応募を受け付けています。また、新卒採用では海外大学からの直接採用や日本に留学中の外国籍学生の採用実績※1をモニタリングし、ジェンダー別の採用目標※2を設定し、多様な人材の獲得を積極的に推進しています。
成長戦略を支える人材の獲得と育成は、人的資本戦略の重要テーマであり、付加価値生産性の持続的向上(2024年度実績:15,042円/時間)と総労働力コストのバランスを考慮し、人的資本への投資を進めています。
シスメックス株式会社では、一人ひとりの自律的なキャリア形成を支援するため、従業員と組織のニーズのマッチングに基づき、配属部門を決定しています。新入社員の配属では、本人と部門の希望に基づいたマッチングアルゴリズムを用いて、最適な配属部門を決定する仕組みを採用しています。これらの施策により、2024年度の新卒採用者における3年間の離職率(2021年度入社者の3年未満での離職率)は16.7%となりました。また、自発的離職率は目標の3.0%未満に対して、2024年度は1.8%にとどまりました。
シスメックスは、持続的な企業価値向上のために次世代リーダーの開発を人的資本戦略の重要なテーマと考えています。入社時や新規登用時には、オンボーディング研修※を通じて早期の活躍を支援しています。また、ジョブ型人事制度導入後、ポジションに求められる役割とのギャップを測るタレントレビューを実施し、タレントプールや後継者の充足度を定期的にモニタリングしています。
後継者候補となった人材については、個々の課題に基づいた育成計画を策定し、必要なリーダーシップ開発プログラムを提供しています。特に、後継者としてReady(準備完了)のステータスの従業員を対象とした選抜型育成プログラムにおいては、受講を通じて高い視点、視座で考える機会を提供し、上位ポジションへの登用を促進しています。2024年度のオンボーディング研修には延べ611名、選抜型研修(後継候補者)には延べ163名が参加しました。また、グローバルリーダー育成を目的として、地域・国境を越えた研修を実施しています。
シスメックスでは、2023年度から「デジタル人材育成プログラム」を提供し、全従業員のデジタルリテラシー向上を支援しています。本プログラムは、経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が策定した「デジタルスキル標準(DSS)」をベースに、当社向けのデジタル人材類型とレベル階層を定義し、それぞれの組み合わせに適した育成カリキュラムを提供しています。また、クロスリスキリング(「これまでに培ってきた経験や知見」×「デジタル技術や知識」)という考え方を提唱し、企業活動における従業員の活躍の場や選択肢を広げています。さらに、学びの先にある実業務での課題解決や社会貢献などの具体的な成果につなげることを目指しています。
本プログラムの特徴の一つは、「デジタルルーキー」というデジタル人材類型を導入し、従業員が特定の類型に縛られずに、広くデジタルリテラシーを学び始められるカリキュラムを提供している点です。そのうえで、本人の志向やスキルに応じて、専門性を生かせるデジタル人材類型を選択できる仕組みも整備しています。さらに、従業員同士が教え合い、助け合うコミュニティを開設し、デジタルリテラシーやスキル向上を目的とした相互研鑽の文化づくりにも取り組んでいます。2024年度までに、延べ約5,000名がデジタル人材育成プログラムに参加し、階層別では、初級で約500名、中級で190名以上が社内認定を取得しました。また、市民開発者※の育成にも注力しており、顧客価値の創出や業務の生産性向上に寄与するアプリケーションが、これまでに約180件開発されています。
さらに、2023年度からは一般社団法人 数理人材育成協会と連携し、AI人材育成プログラムを開講しています。大学教授やデータサイエンティストの指導・伴走のもと、実践的なAIモデルの作成やプロジェクト推進力の習得を目指しています。
シスメックスは、デジタルリテラシーを学んだ従業員と高い専門性を身につけた従業員が共通言語を持ち、企業活動のさまざまな場面でデジタルトランスフォーメーション(DX)への挑戦が自然に行われる環境整備を進めています。
EMEA地域※では、欧州、中東、アフリカ諸国の全従業員を対象に、オンライン/オフラインでさまざまな研修プログラムを提供するトレーニングスペース「EMEAキャンパス」を開設しています。EMEAキャンパスでは、一般的なビジネススキルから技術的なものまで、テーマに沿って講義やワークショップを企画し、将来のリーダー育成やスキルアップ、社内ネットワークづくりを目指します。また、管理職向けには、チームマネジメントに必要なスキルの習熟を目的としたカスタマイズ型リーダーシップ研修「Ready to lead」をはじめ、人材開発やコーチング、リバースメンタリングなど幅広いプログラムを提供し、リーダーシップ発揮に必要なスキル習得の支援に注力しています。
会社名 | プログラム名・施策名 | 目的・概要 |
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シスメックス 株式会社 |
ものづくりプロフェッショナル 育成活動 | 生産改革活動の一環として、ものづくりの人材育成を推進。新人育成とともに、次世代のものづくりを指導できる人材の育成、多能工育成のための技能訓練、ものづくりに必要な専門知識教育などを実施 |
DX リテラシー教育 | AIなどの新しい技術を生かし、データ活用方法を考える力、業務効率化・イノベーションの実行力を鍛える、DXリテラシー研修を実施 | |
シスメックス アメリカ |
Sysmex University | アメリカ、カナダ、ラテンアメリカの全従業員を対象とした、対面とオンラインを組み合わせた研修プログラム。リーダーシップスキルやプロジェクトマネジメントをはじめとしたビジネススキル、専門スキル、メンタリングなど、多様なコンテンツを提供 |
Sysmex Managerial Excellence Development | 新任管理職などを対象とした半年間の選抜型研修。シスメックスの経営の役割と責任に関する洞察力など、マネジメントスキルの強化を図る | |
リーダーシップ サークル | 次世代リーダーを対象とした約1週間の集中型研修 | |
シスメックス ヨーロッパ |
Sysmex Academy | 製品関連知識と医学的知識を習得するためのプログラムを提供。専門知識の向上とカスタマートレーニングのトレーナーを育成することを目的とする |
シスメックス 上海 |
Sysmex Shanghai University | 全従業員を対象としたオンライン・トレーニングで、従業員の成長支援を目的に2019年度より開始 |
シスメックス アジア・パシフィック |
LinkedIn ラーニング | 全従業員対象のSNS(LinkedIn)を利用したオンライン・トレーニングを約100コース提供。マネジメント、リーダーシップ、クリティカル・シンキング、ビジネス分析力、データ分析力などのスキル習得・強化を図る |
Sysmex Academy | 製品関連知識と医学的知識を習得するためのオンライン・トレーニングプログラム |