ガバナンス
シスメックスは、国連が提唱するグローバル・コンパクトの趣旨に賛同し、その10原則の一つである「企業は、強要や贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗の防止に取り組むべきである」に基づき、腐敗防止の徹底を図っています。
内部統制委員会にて定期的に実施しているリスクアセスメントでは、腐敗行為を含むコンプライアンス違反もリスクの一つとして認識し、リスクの低減に取り組んでいます。また、グローバルコンプライアンスコード「腐敗および贈収賄」に基づき、賄賂の提供や提示、不適切な接待や贈答の提供などの腐敗行為、またそのように見える行為や、節度を超えた接待や贈答等の受け取りなどの腐敗行為を明確に禁じています。さらに、グループ全社に適用されるグローバル贈収賄防止規程において、賄賂、ファシリテーションペイメント、不適切な接待・贈答や便益・寄付の提供、収賄などの具体的な禁止行為、合併・買収時のデュー・ディリジェンスの実施、教育の実施、管理体制などについて定め、グループ全体での遵守に向けた取り組みを推進しています。
取締役会は「グローバルコンプライアンスコード」および「グローバル贈収賄防止規程」をはじめとするコンプライアンスの運用状況を監督しており、それらに基づく取り組みについて内部統制委員会から定期的に報告を受けています。
シスメックスでは、研究開発から生産、販売、サービス&サポートにいたるまでのすべての段階で医療担当者・医療機関の方々と連携する機会が増えており、高い倫理観に基づいて取引を行う必要があります。グローバルコンプライアンスコード「医療担当者・医療機関との関係の透明性」において、医療担当者・医療機関との適切な関係の構築・維持・透明性確保に努めることを定めています。また、グループ全社に適用される医療機関等との倫理的な関係に関するグローバル規程において、具体的な禁止行為、グループ会社の連携、教育の実施、管理体制などを定め、グループ全体での遵守に向けた取り組みを推進しています。
日本では、一般社団法人日本臨床検査薬協会で制定された「企業活動と医療機関などの関係の透明性ガイドライン」の理念を踏まえ、会員企業であるシスメックス株式会社もその趣旨に賛同し、医療機関などへの資金提供などに関する情報を公開しています。
また、日本以外では、企業に対し医療機関との関係の透明性確保を求める法律(サンシャイン法)や医療機器業界におけるルールが制定・運用されており、それらに従い、グループとして対象となる医療機関などへの資金提供などに関する情報を次のとおり各国当局や業界団体に報告・公開しています。
シスメックスは、グローバルコンプライアンスコード「適正な研究開発活動」において、被験者の尊厳および人権を守り、各国・地域の関連する法令や倫理指針などを遵守して適正な研究開発活動を行うことを定め、高い倫理観をもって研究開発活動を行っています。また、「臨床研究開発に関するグループ倫理規程」を定め、法律・科学の専門家などの社外委員をメンバーに含む「研究倫理審査委員会」を設置し、研究内容を審査しています。委員名簿や審査結果は当社ウェブサイトで公開し、透明性を確保しています。さらに、文部科学省が制定した「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」に基づき、「研究活動における不正行為への対応等の通報窓口」を設置しています。
シスメックスは、グローバルコンプライアンスコード「適正な研究開発活動」に定めているとおり、動物愛護に関する各国・地域の法令などを遵守し、代替法の使用を優先的に検討したうえで必要最小限にとどめるとともに、苦痛を軽減するよう十分配慮し、動物実験を行っています。動物実験は公的な指針に準拠した社内規程に従って実施され、実験管理委員会により実験計画が規程に準拠しているかを厳格に審議しています。
準拠している指針:動物の愛護及び管理に関する法律(環境省)、実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準(環境省)、厚生労働省の所管する実施機関における動物実験などの実施に関する基本指針(厚生労働省)、動物実験の適正な実施に向けたガイドライン(日本学術会議)
グローバルでのプロモーション活動では、グローバルコンプライアンスコード「独占禁止・反競争的行為」において、マーケティングにおける倫理コードを制定しているほか、「グローバル競争法遵守規程」を制定しています。
日本での活動については、「シスメックスプロモーションコード」を制定しており、2023年度には、営業部門の36拠点において、プロモーションコード関連の事例研修を実施したほか、一般従業員向けのコンプライアンス研修を実施しました。
シスメックスは、税の透明性の向上を図るため、取締役社長により承認されたグローバルコンプライアンスコードにおいて「税務戦略」を定めています。当社は、法の精神に則り適切な納税を行い、各国・地域の経済発展に寄与します。また、国外関係者との取引は、OECDガイドラインや各国・地域の移転価格税制等に準拠し、適切な移転価格を算定し、各国における適正な納税を行います。そして税務上の利益を得ることのみを目的にタックスヘイブンなどの低税率地域に価値を移転せず、事業目的に沿わない実態のない税制を用いた濫用的な税務プランニングは行いません。
また、有価証券報告書などにおいて、グループとしての法人税の納税額を開示するとともに、法定実効税率との差異要因についても開示しています。
税務リスクを含むサステナビリティ関連のリスクおよび機会の監督に責任を負うガバナンス機関として、代表取締役社長が委員長を務める内部統制委員会を設置し、重要な案件については取締役会に報告され、必要に応じて審議されています。
シスメックスは、自社の知的財産権と同様に第三者の知的財産権を尊重し、これを適切に取り扱うことをグループの全役員・従業員が遵守すべきルールとしています。このルールは、グローバルコンプライアンスコード「知的財産権」に定められ、ルールの周知徹底を図っています。さらに、新製品開発においては、知的財産部門、研究開発部門、事業推進部門などのメンバーがグローバルな視点で知的財産レビューを実施し審議しています。
シスメックスでは、グローバルコンプライアンスコード「安全保障貿易」で各国・地域の輸出関連規制などを遵守し、国際的な平和と安全の維持を阻害するおそれのある取引に関与しないことを定めています。また、不正輸出を防止するため、代表取締役社長直轄の安全保障貿易管理委員会を設置しています。さらに、海外の統括現地法人にも安全保障貿易の管理担当者を置き、グローバルでの運営体制を構築しています。年1回、全従業員を対象とする基礎的なeラーニングのほか、最新の世界情勢および法規制に関する講習会などさまざまな教育を継続的に実施し、安全保障貿易管理に対する意識向上を図っています。