ガバナンス
シスメックスでは、グループ企業理念であるSysmex WayおよびShared Valuesのもと、事業活動を通じてステークホルダーの皆さまに「安心」をお届けすることを追求しています。「安心」の実現には人権尊重が基礎となると考え、グローバルコンプライアンスコードに人権の尊重と差別の撤廃を掲げています。また、具体的な人権尊重の指針として人権方針を策定し、すべての従業員、さまざまなステークホルダーの人権を尊重した企業経営、職場環境づくりに取り組んでいます。これは国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」、仕事で守られるべき最低限の労働基準を定めたILO中核的労働基準の趣旨に則ったものです。
また、このような考えに実効性を持たせるため、差別、ハラスメント(嫌がらせ)、強制労働・児童労働を禁止するために遵守すべきルールや行動のガイドラインをゼロ・トレランスポリシーに基づき明文化し、さまざまな研修を通して従業員の啓発を行っています。2011年には国連グローバル・コンパクトに参加し、「人権・労働・環境・腐敗防止」に関する10原則への企業姿勢を明らかにしました。さらに、「英国現代奴隷法」を受けてシスメックスUKがホームページに声明文を公開しています。
シスメックスでは、人権方針およびグローバルコンプライアンスコードにおいて、人権デュー・ディリジェンス(人権DD)の実施を規定しています。また、コンプライアンス委員会(グループのコンプライアンスを統括する委員会)の下部組織として人権DD推進部会を設置し、自社内にとどまらず、サプライチェーン全体の事業活動での人権への影響を特定し、負の影響を防止・緩和する取り組みを進めています。
2024年度は、外部の専門家と協力して、事業への影響度や国ごとの人権リスクなどから優先順位付けを行い、当社のコア事業であるヘマトロジー事業の調達・生産に関わる取引先を調査しました。国内外の主要な取引先に質問票を送付し、人権マネジメントの状況や人権侵害の有無を確認しました(調査対象約400社、回答率70%)。その結果から深刻度と発生可能性をもとにリスクマッピングを行い、優先的に対処すべきリスクを特定しました。今回の調査では重大なリスクは発見されませんでしたが、「労働安全衛生関連」と「ハラスメント」が最も優先度の高い人権リスクとして確認されました。さらに、一部の取引先には、詳細を確認するための追加ヒアリングや人権尊重の取り組みを改善に向けた対話・協議を進めています。
今後もシスメックスの事業活動やビジネスパートナーとの取引が人権侵害に関与・加担しないよう、人権への影響を事前に把握し、予防的に対処する仕組みを整えていきます。
全般的な 人権マネジメント |
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人権イシュー別の マネジメント |
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人権侵害の 発生状況 |
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シスメックスは、ハラスメントの防止や、労働に関する正しい知識の浸透などを目的とする教育を実施し、人権侵害の防止に努めています。
シスメックスでは、国連グローバル・コンパクトへの参加とILO中核的労働基準の支持に基づき、組合結成や団体交渉といった従業員の権利を尊重しています。
シスメックス株式会社の労働組合であるシスメックスユニオンには、全従業員の64%が加入しています(2025年3月末時点)。また、毎年シスメックスユニオンとの団体交渉を実施しており、2024年度も定例の労使協議会に加え、適宜労使間協議を行い、労働時間の適正化・業務効率化による生産性の向上や、多様化する従業員の労働環境および人事制度、環境変化への対応や健康経営の推進などについて議論しました。
このような対話は各社でも実施しており、済南シスメックス、シスメックス ベトナム、ハイフェンバイオメッドなど海外のグループ会社では組合を結成し、定期的な対話を行っています。また、シスメックスCNAでは各部門の代表者で構成される社員会を結成し、職場環境や労務時間管理、有給休暇の取得状況などについて四半期ごとに労使協議の場を設けています。また、シスメックスTMCにおいても四半期ごとに労使懇談会を実施しています。