ガバナンス

人権の尊重

人権の尊重に関する方針と取り組み

国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」の支持と国連グローバル・コンパクトへの参加

 シスメックスでは、グローバルコンプライアンスコードに人権の尊重と差別の撤廃を掲げ、また、人権方針を策定し、全ての従業員の人権を尊重した企業経営、職場環境づくりに取り組んでいます。これは国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」、仕事で守られるべき最低限の労働基準を定めたILO 中核的労働基準の趣旨に則ったものです。
 このような考えに実効性を持たせる狙いから、差別、ハラスメント(嫌がらせ)、強制労働・児童労働を禁止するために遵守すべきルール、行動のガイドラインについては、ゼロ・トレランスポリシーをもって明文化するとともに、さまざまな研修を通して従業員の啓発を行っています。2011年には国連グローバル・コンパクトに参加し、「人権・労働・環境・腐敗防止」に関する10原則への企業姿勢を明らかにしました。

人権リスクの特定(人権デュー・ディリジェンス)

 シスメックスでは、グローバルコンプライアンスコードおよび人権方針において、人権デュー・ディリジェンス(人権DD)の実施を規定し、自社内にとどまらず、サプライチェーン全体の事業活動における人権への影響を特定し、負の影響を防止・緩和していく取り組みを進めています。具体的には、取引先に対するCSR調査項目の中に「強制労働・児童労働の禁止」「男女・障がい者・人種等に対する差別の排除」などを盛り込み、シスメックスの事業活動やビジネスパートナーとの取引が人権侵害に関与・加担することのないよう、人権への影響を事前に把握し、予防的に対処する仕組みを整えています。また、シスメックスでは「英国現代奴隷法」が発効したことを受け、シスメックスUKがホームページに声明文を公開するなど、同法に適正な対応をしています。

人権に関する相談・通報制度

 シスメックスでは、国内外に設けた内部通報窓口において、差別・ハラスメントをはじめとする人権相談を受け付けています。内部通報窓口に寄せられた情報は適切に取り扱い、相談・通報者は相談・通報したことにより不利益を受けないよう保護されています。相談・通報された事象については、事実確認を行い、コンプライアンス違反が認められた場合は、違反者への制裁処分に加え、是正措置と再発防止策を講じます。

人権の尊重を理解するための教育・啓発

 シスメックスは、ハラスメントの防止や、労働に関する正しい知識の浸透などを目的とする教育を実施し、人権侵害の防止に努めています。

2022年度実績

  • ハラスメント・労務管理研修(新任役職者、新規入社者)
  • アンコンシャスバイアス※1研修(全従業員)※2
  • 心理的安全性の向上に向けてのマネジメント研修(管理職層)
  • 産業医による心理的安全性セミナー(全従業員)※2
  • ハラスメントに関する内容を含んだグローバルコンプライアンス研修(グループ全従業員)
  • 1 無意識の偏見や思い込みから偏ったモノの見方をしてしまうこと
  • 2 任意参加

労使の対話

 シスメックスでは、国連グローバル・コンパクトへの参加と ILO 中核的労働基準の支持に基づき、組合結成や団体交渉といった従業員の権利を尊重しています。
 シスメックス株式会社の労働組合であるシスメックスユニオンには、全従業員の61%が加入しています。(2023年3 月末時点)また、毎年シスメックスユニオンとの団体交渉を実施しており、2022年度には定例の労使協議会に加え、適宜労使間協議を行い、労働時間の適正化・業務効率化による生産性の向上や、多様化する従業員の労働環境および人事制度、環境変化への対応や健康経営の推進などについて議論しました。
 このような対話は各社でも実施しており、済南シスメックス、シスメックス ベトナム、ハイフェンバイオメッドなど海外のグループ会社では組合を結成し、定期的な対話を行っています。また、シスメックスCNAでは各部門の代表者で構成される社員会を結成し、職場環境や労務時間管理、有給休暇の取得状況などについて四半期ごとに労使協議の場を設けています。また、シスメックスTMCにおいても四半期ごとに労使懇談会を実施しています。

  • 「シスメックス」はシスメックスグループを、「シスメックス株式会社」は、シスメックス株式会社単体を指します。