ストーリー

タンパク測定技術を通じて医療の発展と人々の健康への貢献を目指す

~付加価値の高い検査・診断技術を創出し、世界中に届けたい~

知っているようで意外と知らない、「タンパク質」。シスメックスは、免疫・生化学事業を展開し、健康診断や病気の特定、治療方針の決定、治療効果の確認などに使われるタンパク質の測定技術・関連製品を開発・提供しています。いまだすべてが解き明かされてはおらず、世界中の研究者たちが新たな可能性に注目しているタンパク質の研究における現状と、シスメックスの取り組み、今後の展望に迫ります。

 

人の体に欠かせないタンパク質

三大栄養素の一つとして知られる「タンパク質」が、私たちの体の中で重要な役割を果たしていることはご存じでしょうか。人の体の約60%は水分、約15-20%はタンパク質でできています。つまり、水分を除く重量の約半分がタンパク質でできており、筋肉、臓器、皮膚などの主な成分もタンパク質です。また、体の機能を調整するホルモン、酵素、抗体、酸素を運搬するヘモグロビンなどもタンパク質でできています。 

「生体の多くの活動にタンパク質が関わっており、『人の体はタンパク質からできている』と言っても過言ではありません。だからこそ、体内にどのような種類のタンパク質がどのくらい存在するのかを知ることは、医療において非常に重要な手掛かりとなります。実際に、健康診断での血液検査や尿検査などによる健康状態の定期的なモニタリングから、B型肝炎ウイルス(HBV)やヒト免疫不全ウイルス(HIV)などへの感染の有無を判定するスクリーニング検査、さらには病気の確定診断・治療モニタリングに至るまで、幅広いシーンでタンパク質が測定されています」

そう語るのは、免疫・生化学事業推進部に所属するPhuong Ha Ho(フォン・ハ・ホ)。タンパク質の測定に使われる製品の開発サポートから事業推進までを一貫して担い、シスメックスの免疫・生化学事業における新たな価値の創出に取り組んでいます。

臨床ニーズを捉えるオープンイノベーションでの研究開発

そもそもタンパク質とは、アミノ酸が集まってできたもの。すべてのタンパク質は約20種類のアミノ酸が結合した立体構造となっており、中には糖鎖などの別の物質と結合したり、熱などによって構造が変化したりと、時間とともに変化していくものもあります。人の体内には8万~40万種類ものタンパク質が存在すると言われており、特定のタンパク質と特定の疾患や健康状態との関連性を明らかにするための研究が世界中で進められています。

 

シスメックスは、こうした基礎研究を行う研究機関や臨床研究を行う医療機関と連携し、膨大な種類の中からどのタンパク質にフォーカスを当てて測定すべきか、その結果が臨床においてどのような価値を生み出すのかなど、タンパク測定の可能性を追求し続けています。


「当社には、測定対象となるタンパク質を精度高く測定するための独自の測定技術があり、さらにはこの測定技術をどう臨床に活用して価値を生み出していくかという視点での臨床開発も積極的に行っています。例えば、新型コロナウイルス感染症患者の重症化リスクの判定を補助する試薬をいち早く開発・販売できたのも、自分たちの測定技術の活用法を、時代とともに変化する臨床ニーズに合わせて模索・検証し続けているからです。今後もタンパク測定技術および共同研究のネットワークを強みに、タンパク質の可能性を追求していきたいと考えています」

タンパク質の新たな可能性を信じて

人の体内に存在するとされる、8万~40万種類のタンパク質。現段階ではそのすべてが隅々まで解析されているわけではなく、未知の部分が非常に多くあるとホは話します。

 

「これまではゲノム解析が注目されてきましたが、世の中の研究者たちの間では、タンパク質への関心が非常に高まっています。タンパク質の可能性は無限大と言っても過言ではありません。これまで確立されてきた抗原・抗体検査技術や質量分析をはじめとする測定技術に加え、新たな技術の開発も進んでいます。期待の高い分野に携わることができていることにワクワクしながら、グローバルの研究開発メンバーとともにタンパク質の可能性を信じて日々業務に取り組んでいます」




シスメックス独自の価値の提供を目指す

最後に、今後の夢を尋ねると、ホは目を輝かせてこう答えます。

 

「タンパク測定技術を通じて、シスメックスならではの価値をグローバルに届けていくことです。先ほど言及した新型コロナウイルス感染症の重症化リスク判定を補助する試薬以外にも、慢性肝炎・肝硬変へ至る肝臓の線維化の診断補助に役立つ試薬の提供など、当社は継続して新たな価値を生み出してきました。免疫・生化学事業は主にアジア地域での展開となっていますが、将来的には我々の付加価値の高い検査・診断技術を世界中の臨床現場で使っていただくことが私の目標です」



「他にもシスメックスは、タンパク質の測定技術を用いて、心血管疾患における新たな診断・治療法の創出に貢献するHDL(高比重リポタンパク質)機能測定サービスの提供や、患者さんへの負担の少ないアルツハイマー型認知症の診断の実現に向け、血液を用いたアミロイドβ測定技術の確立などにも取り組んでいます。今後も、研究者の方々とはオープンイノベーションを通じてタンパク質の新たな可能性をともに見いだしていけたらと考えています。さらに、タンパク質は非常に身近なものなので、一般の方にもぜひ興味を持って、この分野の可能性を感じていただけたらうれしいです。これからも当社ならではのユニークな価値を生み出し、世の中に届けていきたいです」

シスメックスは今後も、タンパク測定技術を通じて医療の発展と人々の健康への貢献を目指していきます。

  • HDL機能測定サービス:血液中のHDLがコレステロールを回収・運搬する能力(HDL機能)を受託測定するサービス(研究用)。健康診断などでは、血管などにたまったコレステロールを肝臓へと回収し、動脈硬化の発生および進行を抑制するHDL中のコレステロールの量を測定するが、近年、HDL機能を評価することが、心血管疾患の予防・管理をする上で有用であると報告されている。

 

 

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