認知症への取り組み

診断技術の革新で患者さん、ご家族、社会へ安心を届ける

世界的な長寿命化とともに、認知症を患う人の数が増加しており、今や認知症は誰もが関わりうるものとなりつつあります。認知症に関わる患者さんやそのご家族が、安心して、活き活きと暮らせる社会を実現するためには、早期に適切な診断・治療やケアを行うことが重要です。シスメックスは、認知症の早期診断やより良い治療機会の創出に貢献する新たな検査・診断技術の創造にさまざまなパートナーとともに挑戦しています。

社会課題としての認知症

認知症人口が増加、2050年には世界で1.4億人に

現在、世界では5,500万人以上が認知症を患っており、世界的な長寿命化に伴い、2050年にはその患者数が1.4億人近くにのぼると言われています。 認知症は、日常生活にさまざまな障害が起こる進行性の病気であり、患者さんご本人のみならず、ご家族や介護にあたる周囲の方々の生活、経済・社会にも大きな影響を及ぼします。

認知症がもたらす世界的なコスト

世界保健機関(WHO)に拠ると、医療費、介護費など全世界の認知症にかかわる年間コストは、患者数の増加にともない、2030年には2.8兆米ドルに達すると推定されていますが、このコストの80%を占めるのが、介護費や家族などが無償で提供するケアに相当するインフォーマルケアコストです。 患者さんご本人の負担だけでなく、これらの社会的な負担を軽減するうえでも、早期診断・早期治療が喫緊の課題となっています。

認知症に関わる世界的なコストとその内訳

アルツハイマー型認知症-脳内の変化は発症する20年以上前から進行、早期診断が重要

認知症の原因疾患のうち60〜70%を占める「アルツハイマー病」では、症状が現れる20年以上前から、脳内に「アミロイドβ(Aβ)」と呼ばれるたんぱく質が蓄積し、徐々に神経細胞を破壊すると言われています。一度死滅した神経細胞は元に戻すことが難しいため、認知症を発症するより前の段階で、脳内の原因物質の蓄積を捉え、早期に適切な診断・治療につなげることが重要です。近年、原因物質の蓄積を阻害することで進行を抑制する画期的な治療薬開発も進展しており、早期発見の重要性がさらに高まっています。

アルツハイマー病の進行と脳内の変化

血液による診断法への期待が高まる

現在、脳内のアミロイドβ蓄積は脳画像検査(PET検査)や脳脊髄液検査で調べることができますが、検査可能な施設が限られていることや、費用・侵襲性などの面で患者さんの負担が大きいことが課題となっています。そのため、より身体への負担が少なく、身近な医療機関で簡便に受診できる血液を用いた検査法(血液バイオマーカー)の実用化が期待されています。

シスメックスの取り組み

血液による検査・診断技術で認知症の早期診断・早期治療を支える

シスメックスは、主力とする検体検査事業で50年以上にわたり培ってきた技術・ノウハウと、さまざまなパートナーとのオープンイノベーションにより、認知症の予兆を、わずかな血液のみで簡便に捉える検査・診断技術の開発・普及促進に注力しています。検査に伴う患者さんの身体的、精神的、経済的な負担を軽減し、受診機会を拡大することで、医師による早期診断の支援やより良い治療機会の創出に貢献することを目指しています。

  • 出典:Global status report on the public health response to dementia. Geneva: World Health Organization; 2021.

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