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微量の血液からアルツハイマー病の原因となる脳内アミロイドβ(Aβ)の蓄積状態を調べる検査試薬について製造販売承認を取得

~全自動免疫測定装置 HISCL™-5000/HISCL™-800を用いた血液中Aβの測定~

 シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役会長兼社長 CEO:家次 恒)は、2022年12月19日、血液中のアミロイドβ(Aβ)を測定する検査試薬「HISCL β-アミロイド 1-42 試薬」および「HISCL β-アミロイド 1-40 試薬」(以下、「本製品」)について、体外診断用医薬品として国内での製造販売承認を取得しました。本製品は、自社の全自動免疫測定装置 HISCL-5000/HISCL-800(以下「HISCLシリーズ」)を用いて血液中のAβを測定することで、アルツハイマー病の特徴の一つである脳内Aβの蓄積状態の把握を補助するものです。今後、低侵襲かつ簡便な検査を、いち早く患者さんにお届けするべく、市場導入に向けた準備を進めていきます。

 現在、世界では5,500万人以上が認知症を患っており、世界的な長寿命化に伴い、2050年にはその患者数が1.3億人にのぼると言われています。認知症の最も一般的な病型とされ、その約60~70%を占めるアルツハイマー病は、Aβペプチドが脳に蓄積し、神経細胞に障害を与えることが原因とされています。一度障害を受けた神経細胞は再生が困難であるため、早期診断・早期治療開始が重要です。
 アルツハイマー病の診断には、脳内のAβの蓄積状態を把握する技術が必要とされていますが、従来の検査方法は、侵襲性やコストなどの面に課題があるため、より侵襲性が低く、簡便な検査・診断技術が求められています。
 また近年、国内外において、アルツハイマー病の病理に作用する新たな治療薬の開発が活発化しており、これらの治療薬の適切な使用や普及に向けても、検査・診断の重要性が高まっています。

 シスメックスは、これまで、アルツハイマー病の診断における課題の解決に向け、より簡便かつ迅速に脳内のAβの蓄積状態を把握する技術の開発を進めてきました。2016年2月には、エーザイ株式会社と認知症領域に関する新たな診断薬創出に向けた非独占的包括契約を締結し、互いの技術・ナレッジの活用により、本製品の開発を進めてきました。シスメックスは、2021年12月28日、本製品について、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)へ製造販売承認申請を行いました。

 このたび承認された本製品は、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)を測定原理とする自社の全自動免疫測定装置 HISCLシリーズを用いて血液中のAβペプチド(1-42ペプチドと1-40ペプチド)の比率を測定することで、脳内Aβの蓄積状態の把握を補助するものです。従来の検査方法と異なり、本製品は血液にて検査ができるため、脳内のAβの蓄積が疑われる患者さんに対し、検査に伴う身体的・精神的・経済的負担を軽減する上、早期診断・早期の治療方針決定に貢献することが期待されます。また、微量検体(10~30μL)、迅速測定(17分)を特長とするHISCLシリーズでの自動測定により、検査の効率化・標準化にも寄与します。
 今後、患者さんの受診機会を拡大するため、本製品の保険適用を目指した取り組みとともに、早期の市場導入に向けた準備を進めていく予定です。

 シスメックスは、今後も、アルツハイマー病の患者さんにとってより負担の少ない検査・診断技術の確立および国内外への普及促進により、医療従事者の方々がいち早く治療を開始できる環境をつくるとともに、患者さんとそのご家族のQOL向上を目指して取り組んでまいります。 
【製品の概要】

一般的名称

β-アミロイドキット β-アミロイドキット
販売名 HISCL™ β-アミロイド 1-42 試薬 HISCL™ β-アミロイド 1-40 試薬
体外診断用医薬品製造販売承認番号 30400EZX00104000  30400EZX00105000 
使用目的 血漿中のβ-アミロイド 1-42の測定
(脳内アミロイドβの蓄積状態把握の補助)
血漿中のβ-アミロイド 1-40の測定
(脳内アミロイドβの蓄積状態把握の補助)
製造販売元 シスメックス株式会社
対象市場 日本

 

  【参考】
   
2016年2月15日リリース『シスメックスとエーザイが認知症領域に関する次世代診断薬の創出に向けた包括契約を締結』
     
   
2022年1月5日リリース『脳内アミロイドβ(Aβ)の蓄積状態の把握を補助する検査試薬の製造販売承認申請を実施~全自動免疫測定装置 HISCL™-5000/HISCL™-800を用いた血液中Aβの測定~』
 
  【注釈】
   ※
出典:Global status report on the public health response to dementia executive summary (Sep. 2, 2021, World Health Organization)
 
  【シスメックスのマテリアリティ】
    シスメックスは、優先的に取り組むべき課題(マテリアリティ)の一つに「製品・サービスを通じた医療課題解決」を特定し、臨床価値の高い製品の開発・供給に取り組んでいます。これまで培ってきた独自の技術やグローバルネットワークを活かして、今後も医療の発展とともに人々の健やかな暮らしへの貢献を目指した取り組みを進めてまいります。
   
  
以上
  • 本プレスリリースは、ステークホルダーの皆さまに企業活動をお伝えするために実施しています。当社製品や研究開発の情報を含む場合がありますが、これらは製品に関するプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。また、掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。

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