温室効果ガスの排出量削減
事業所の温室効果ガス排出量の削減活動
シスメックスでは、直接的または間接的に発生する温室効果ガスの排出量を削減するために、さまざまな活動を進めています。2019年度開設したバイオ診断薬拠点では、LED照明や人感センサー、需要電力を計測・監視するデマンド制御、高効率な空調システムの導入により省エネルギーを推進しています。さらにシスメックス国際試薬では、2013年度より開始した生産改革による生産性向上の実現が環境負荷の低減につながっています。徹底的な無駄の排除や工程の連続化、また製品の重さを動力に利用する生産ラインでのからくり改善
※などにより、一部製品における生産性は、生産改革開始以前と比較して約12倍向上しました。また、地球環境との共生が十分に考慮されているオフィスに授与される「第33回日経ニューオフィス賞」を受賞しました。
- からくり改善:現場に既にある動力を流用したり、電力などの人工エネルギーを極力使わず、重力や自然エネルギー、他動力などを動力源とする。(出典:公益社団法人日本プラントメンテナンス協会)
からくり改善くふう展で協会特別賞を受賞した「お助けペダル」 (てこの原理により、試薬調製用移動式1トンタンクを運搬する際の初動を楽にするための治具)
シスメックス ヨーロッパでは、使用電力の100%が再生可能エネルギー由来の電力で、さらに自社工場に太陽光パネルも設置しています。また、環境活動を推進する従業員グループを結成し、定期的なディスカッションと改善提案活動を行うとともに、年に3回従業員に向けたニュースレターを発行し啓発活動を行っています。
シスメックス アメリカとシスメックス リージェンツ・アメリカでは、2019年度より使用電力の50%を再生可能エネルギー由来に変更しました。また、カスタマートレーニングと従業員トレーニングのためのオンラインシステムを再整備し、移動に伴うCO2排出量の削減につなげています。
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従業員向けニュースレター
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カスタマートレーニング Center for learning
2020年度の実績
業務効率化など省エネ活動やリモートワーク等が影響し電力消費量が減少したこと、2020年度から電力のCO2排出係数を最新のものに変更※したことで、事業所活動におけるCO2排出量はシスメックス・エコビジョン2025の基準年度である2016年度より35%削減しました。今後も各拠点でのCO2削減に向けた活動を推進していきます。
各事業所の主な取り組み
取り組み |
会社名 |
内容 |
設備などの高効率化 |
シスメックス株式会社 |
ガスを使用しない高効率型の空調設備の導入 |
シスメックスRA |
省電力でタイマー付空調設備の導入 |
シスメックス アメリカ |
全照明のLED化 |
シスメックス ヨーロッパ |
主要な試薬充填室の照明のLED化、人感センサーの採用 |
シスメックス アジア・パシフィック |
工場と倉庫の照明のLED化 |
済南シスメックス |
天然ガスボイラーの使用(石油ボイラーからの切り替え) |
再生可能エネルギーの 導入 |
シスメックス株式会社 |
太陽光パネルの設置、自然光採り入れるによる節電(アイスクエア) |
シスメックス アメリカ
シスメックス リージェンツ・アメリカ |
電力の50%が再生可能エネルギー由来 |
シスメックス ヨーロッパ |
使用電力の100%が再生可能エネルギー由来、太陽光パネルの設置 |
従業員への啓発 |
シスメックス ヨーロッパ |
出張時の電車利用に対するインセンティブ付与、カーシェアリング社内サイトの設置、通勤時の自転車提供 |
シスメックス マレーシア |
通勤時にハイブリッド車を使用している従業員にインセンティブを付与 |
シスメックス インディア |
通勤時に利用している従業員の自家用車は全て、PUC証明※を受けた ものであることを確認 |
- PUCとは、Pollution Under Controlの略で、車からの排出ガスが公害規制基準値以下であることを証明するもの。インドでは法律により、半年 に一度のPUCテストを受け、PUC証明を受けることが義務付けられている(新車のPUC証明の有効期限は1年間)。
社用車のCO2排出量削減
約400台ある国内の社用車の燃料消費量を抑え、CO2排出量を削減するために、イントラネットや専用車載器を利用して各車両の走行量、燃費情報・運転挙動などを自動把握 のうえ点数化することで運転の質を見える化し、ドライバー一人ひとりの環境に関する意識の向上を図るとともに、低燃費車やハイブリッドカーの導入を積極的に進めています。
関連法規制の遵守
省エネ法に基づき、シスメックス株式会社およびシスメックス国際試薬では年間エネルギー使用量を集計した定期報告書とエ ネルギー削減計画をまとめた中長期計画書を経済産業省へ提出しています。今後も努力目標達成の維持を目指して、国内グルー プ全社の省エネルギー活動を推進していきます。
水資源の有効利用
水使用量の削減
シスメックスは中核事業の一つである試薬生産において水を原料として使用するなど、事業活動の中で上水や地下水を使用しています。そのため、水使用量の削減を重要な社会的責任の一つと位置付けて、シスメックス・エコビジョン2025で水使用量の削減目標を設定し、各拠点で水の使用効率を高めるなどの取り組みを進めています。
水リスクの評価
シスメックスでは、水ストレスに関するリスク評価を行っています。WRI(世界資源研究所)のアセスメントツール Aqueductを用いて分析し、診断薬生産拠点がある中国、ブラジル、インドが相対的に水ストレスの高い地域であることが分かりました。現在のところ各診断薬生産拠点において水リスクは顕在化しておりませんが、現地と連携してモニタリングを継続するとともに、生産工程における水使用の効率化や安全在庫の確保による供給リスクの低減など、リスク低減に 向けた施策を展開しています。
生物多様性との関わり
シスメックスでは、事業活動を行うにあたり地球上の生物 から多くの恩恵を受けています。そのため、地域の水源涵養に寄与する森林の保全を重要な社会的責任の一つと位置付けるとともに、生物多様性保全への貢献を目指しています。
2020年度の実績
リモートワーク等の影響による事業所での水使用量の減少により、事業所活動における水消費量はシスメックス・エ コビジョン2025の基準年度である2016年度より7%削減しました。 今後は、さらなる生産効率の改善を進めることにより、水使用量の削減を推進していきます。
各事業所の主な取り組み
会社名 |
取り組み |
シスメックス株式会社 |
・各工場では、生産効率の改善を進め工数削減を図ることにより、水使用量を削減
・バイオ診断薬拠点では、井戸から取水し緑化用水、便所洗浄水として使用 |
シスメックス アジア・パシフィック |
・超純水プラントを改良し、工場が稼働していない時間帯を利用してRO水(純水)をリサイクル
・水使用量削減のために原水脱気装置を設置
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シスメックス インディア |
・排水処理システムを導入し、試薬製造時に排出される水を浄化し、工場周辺の緑地への灌漑用水として使用
・生産効率の改善を進め、試薬生産あたりの水使用量を低減 |
シスメックス ブラジル |
・生産工程で生じた水を生活用水としてリサイクルで活用 |
シスメックス無錫 |
・水消費量の削減目標を定め、環境・安全衛生専任者を設置。環境・安全衛生の定期監査を実施。 |
排水管理・処理
シスメックスでは水質の保全を重視し、化学物質を扱う開発拠点や工場からの排水で河川や地下水に影響が及ばないように独自の排出基準を設定し、管理しています。
各事業所の主な取り組み
会社名 |
方法 |
シスメックス国際試薬 |
・小野工場でBOD(生物化学的酸素要求量)の基準値を超えた場合にアラーム(警報)を発出するシステムを導入し、有機物を含む廃液の流出を未然防止 |
シスメックスRA |
・廃液処理装置を導入し、感染性廃液を加熱滅菌で無害化して直接下水へ排出 |
シスメックス アメリカ |
・排水処理システムを導入し、試薬製造時に発生する廃液からホウ素含有物を除去 |
シスメックス アジア・パシフィック |
・排水処理システムを導入し、試薬製造時に発生する廃液を下水道に排出する前に浄化 |
廃棄物の管理とリサイクル
廃棄物量の削減と安定したリサイクル率の維持
シスメックスは、廃棄物の削減やリサイクル率向上に継続的に取り組んでいます。
機器生産工場であるアイ スクエアでは、社員食堂での食品ロスを減らすため、専用の処理機を利用して生ごみを有機肥料素材等に変換し、生産農家に提供しています。また、そこで栽培された農産物を購入するなど、循環共生型社会の実現に貢献しています。
資料の電子データ化を推進
シスメックスではパソコンやタブレット端末、スマートフォンなどを活用した電子データの送受信でペーパーレス化に取り組んでおり、それによって業務効率の向上と紙使用量および廃棄量の削減を実現しています。また製造拠点においても、製造記録やマニュアルの電子化によりペーパーレス化を推進しています。
2020年度の実績
米州など海外拠点でのリサイクル率向上により、シスメックス・エコビジョン2025の目標値である93%以上に対して78%の実績となりました。 今後も、各拠点でのリサイクル率向上のための施策を展開し、目標達成に向けた取り組みを推進していきます。
各事業所での主な取り組み
会社名 |
取り組み |
シスメックス株式会社 |
・社員食堂に生ごみ処理機を導入し廃棄量を低減(テクノパーク、ソリューションセンター、アイスクエア) |
シスメックス アジア・パシフィック |
・計量用ドラムに使用しているアルミ箔を再利用可能な素材に変更 |
シスメックス マレーシア |
・段ボール箱、プラスチック材料のリサイクルおよび慈善団体へ寄付 |
有害物質の管理
化学物質の管理
シスメックスでは製品の研究開発や生産工程で化学物質を扱っています。そのため紛失・漏えいの防止はもちろん、現場で作業に従事する従業員に健康被害が及ばないように化学物質の適正管理に努めています。
有害廃棄物の管理・処理
シスメックスでは、生物由来の物質による万が一の感染の危険性に備え、マニュアルに基づいて保管・使用場所を制限するなど厳重に管理するとともに、一般廃棄物とは厳格に分別して適切に処理しています。また、その他の有害物質についても、飛散の抑制、流出や地下浸透がないように設備・管理手法の両面から対策を講じ、排出を法規制の基準値以下に抑えるよう努めています。
大気への排出に関する管理・処理
国内のグループ会社では、2015年に改正施行されたフロン排出抑制法に対応するために、各社で対応手順マニュアルを作成し、所有・管理するフロン含有機器の明確化、適切使用、点検の実施、算定漏えい量の把握を実施しています。