環境
シスメックスは、気候変動対策に加え、水や森林、土壌などの「自然資本」への配慮も重要と考え、これらの課題に統合的に取り組んでいます。2025年には、TNFDの提言に基づき、当社事業活動の自然資本への依存と影響が大きい対象として、淡水と土壌を特定しました。そして、資源使用量と生産規模を踏まえて選定した日本地域の3拠点において、地域への負荷と、適切利用のための当社活動と効果を確認しました。その結果、周辺地域への環境影響は確認されませんでした。今後は、評価対象拠点を順次拡大していく予定です。
拠点 | 主な依存と影響 | 地域への影響 | |
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テクノパーク | 淡水 | 地下水の利用 | 使用にともなう地盤沈下などの周辺地域への悪影響は確認されていない 2カ月に1回神戸市に報告するなど、水資源の適正管理と使用量削減に向け継続的な監視体制を構築 |
小野工場 | 淡水 | 水資源の利用と排出 | 自治体からの配水量との比較により、地域への影響は限定的な使用量 年間使用量・排出量ともに減少傾向 |
土壌 | プラスチック容器の利用 | 国内プラスチック材総生産量との比較により、極めて少ない使用量として、環境への影響は限定的 水平リサイクルや環境配慮材代替によりさらなる使用量低減見込み |
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アイ スクエア | 土壌 | 金属(鉄類)の利用と廃棄 | 国内全体の鉄生産量との比較により、ごくわずかな使用量として、環境への影響は限定的 リサイクル率96%や排出物の有価物化により、高い水準で資源の有効活用を実施 |
シスメックスでは、直接的または間接的に発生する温室効果ガスの排出量を削減するため、高効率な空調システムや LED照明、人感センサー、需要電力を計測・監視するデマンド制御など、省エネルギーを実現するための設備の導入を進めています。
2023年度には、国内試薬生産工場、研究開発拠点など、国内主要施設の全電力を再生可能エネルギー由来の電力へ切り替えました。また、グループの基幹工場の一つであるシスメックス RAは、2025年4月に稼働を開始した新工場の建物について、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS※1)でネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB※2)の認証を取得しています。
シスメックス ヨーロッパの試薬生産工場では、太陽光パネルの設置に加え、氷蓄熱空調システム※3を導入し、試薬製造に必要なエネルギーの約35%を補っています。その他EMEA※4、米州をはじめとした各拠点で再生可能エネルギー由来の電力採用を進めています。
シスメックス アメリカでは、本社サイトのLEED認証※5取得に向け、部門横断の「グリーンチーム」を結成し、環境活動を推進しています。電気自動車の充電ポートの設置やLED照明の改善、太陽光パネルの設置など、認定に向けてさまざまな取り組みを継続して行っています。
取り組み | 会社名 | 内容 |
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設備などの高効率化 | シスメックス株式会社 | 高効率型の空調およびLED照明への切替 生産改革による生産性向上 |
シスメックスCNA | 全照明のLED化 | |
シスメックス アメリカ | 全照明のLED化 | |
シスメックス ヨーロッパ | 主要な試薬充填室の照明のLED化 人感センサーの採用 |
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シスメックス アジア・パシフィック |
工場と倉庫の照明のLED化 エアコンプレッサ未使用時は機器を休止させ節電する制御盤を導入 |
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シスメックス インディア | 工場内照明のLED化 | |
済南シスメックス | 天然ガスボイラーの使用(石油ボイラーからの切り替え) 冬季暖房と原水加熱のためのガスボイラーを空気熱源ヒートポンプに切り替え |
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シスメックス無錫 | 空調温度の制限設定による節電 | |
再生可能エネルギーなどの導入 | シスメックス株式会社 | 太陽光パネルの設置 自然光採り入れによる節電(アイ スクエア) 再生可能エネルギー由来の電力使用 |
シスメックス アメリカ シスメックス リージェンツ・アメリカ |
再生可能エネルギー由来の電力使用 |
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シスメックス ヨーロッパ | 太陽光パネルの設置 再生可能エネルギー由来の電力使用(全電力) |
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シスメックスUK | 太陽光パネルの設置 | |
済南シスメックス | 太陽光パネルの設置 | |
従業員への啓発 | シスメックス ヨーロッパ | 出張時の電車利用に対するインセンティブ付与、カーシェアリング社内サイトの設置、通勤時の自転車提供 |
シスメックス マレーシア | 通勤時にハイブリッド車を使用している従業員にインセンティブを付与 | |
シスメックス インディア | 通勤時に利用している従業員の自家用車はすべてPUC証明※を受けたものであることを確認 | |
シスメックス ブラジル | 社用車燃料のバイオ燃料への切り替え |
シスメックス株式会社では、約400台ある国内の社用車の燃料消費量を抑えCO2排出量を削減するため、全社用車にドライブレコーダー型テレマティクスサービスを搭載し、各車両のエコドライブ状況、法令遵守などの可視化を行い、運転の質の見える化を行っています。また、全従業員を対象としたエコドライブ研修を実施し、ドライバー一人ひとりの環境に対する意識の向上を図っています。これらの活動が評価され、交通エコロジー・モビリティ財団主催「2024年度エコドライブ活動コンクール」で優秀認定証を受賞しました。低燃費車への切り替えも進めており、2024年度末で全体の約60%がハイブリッド・低燃費車両へ切り替えが進みました。
グローバル全域においても環境に配慮した車両や燃料の導入を進めています。シスメックス ブラジルでは、社用車の燃料にサトウキビ由来のバイオ燃料を使用し、さらに自社倉庫から顧客への配送には電気自動車の採用を進めています。シスメックスUKでは、ディーゼル車を撤廃し、全車両のハイブリッドカーへの入れ替えを行いました。
シスメックスでは、試薬生産において水を原料として使用するなど、事業活動の中で上水や地下水を使用しています。そのため、水使用量の削減を重要な課題の一つと位置付け、シスメックス・エコビジョン2033で水使用量の削減目標を設定し、試薬生産工場での水の使用効率を高めるなどの取り組みを進めています。
試薬生産工場である小野工場では、同一製品の連続生産回数を増やし、製品品質への影響を十分に確認したうえで、生産ラインの洗浄回数削減を実現しました。また、製造プロセスの見直しを行い、配管内に残り廃液となっていた製品液を製品化する技術を獲得しました。これらの活動により、水使用量の削減、排液による環境負荷低減を実現しました。
会社名 | 取り組み |
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シスメックス株式会社 |
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シスメックス アジア・パシフィック |
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シスメックス インディア |
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シスメックス ブラジル |
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シスメックス無錫 |
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会社名 | 方法 |
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シスメックス株式会社 |
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シスメックスRA |
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シスメックス アメリカ |
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シスメックス アジア・パシフィック |
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済南シスメックス |
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会社名 | 取り組み |
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シスメックス アメリカ |
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シスメックス ブラジル |
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シスメックスメディカ |
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シスメックス アジア・パシフィック |
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シスメックス マレーシア |
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済南シスメックス |
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シスメックスでは、製品の研究開発や生産工程で化学物質を扱っています。そのため紛失・漏えいの防止はもちろん、現場で作業に従事する従業員に健康被害が及ばないように化学物質の適正管理に努めています。
シスメックスでは、生物由来の物質による万が一の感染の危険性に備え、マニュアルに基づいて保管・使用場所を制限するなど厳重に管理するとともに、一般廃棄物とは厳格に分別して適切に処理しています。また、その他の有害物質についても、飛散の抑制、流出や地下浸透がないように設備・管理手法の両面から対策を講じ、排出を法規制の基準値以下に抑えるよう努めています。