私たちの生活に欠かすことのできない薬剤「抗菌薬」。風邪をひいたから抗菌薬を飲む—。このような誤った抗菌薬の使用が引き起こす「薬剤耐性(AMR :Antimicrobial Resistance )」が、今、私たちの命を脅かす問題に発展しています。
シスメックスはヘルスケアに携わる企業として、新たな検査技術を搭載した製品開発を行うなど、この社会的課題解決に向けて取り組んでいます。
薬剤耐性(AMR)とは、一般的に抗生物質や抗生剤と呼ばれる抗菌薬の不適切な使用などにより、抗菌薬が効きにくくなる、または効かなくなることです。
医師や薬剤師から「1日2回服用」と指示されたのに自己判断で1日1回に減らす、症状が良くなったので5日分の抗菌薬を1日でやめるー。抗菌薬を不適切に使用すると、体内の細菌を十分に死滅させることができず、生き残った菌は、薬剤耐性を持つ「薬剤耐性菌」となることがあります。この薬剤耐性菌が増殖すると、抗菌薬が効きづらい状態となり、本来は軽症で回復できるはずの感染症でも治療が困難となり、重症化や死亡に至ってしまうことがあります。
2050年には、AMRが原因で亡くなる人の数は年間1,000万人に上ると予想されています。これは、がんによる死者数を上回ると推定される高い数字であり、世界保健機関(WHO)をはじめとするさまざまな団体によりAMRは世界全体で取り組むべき社会的課題として位置づけられています。
抗菌薬の適正使用のために重要な役割を果たすのが、医療現場での迅速なスクリーニング検査です。
かぜ症状の原因の約90%を占めるのがウイルスによる感染と言われていますが、ウイルスによる感染症には抗菌薬は効きません。
適切な投薬には、患者さんの症状がウイルスによるものか、細菌によるものなのかを見極めることが必要です。さらに患者さんが感染している細菌の種類や薬剤耐性の有無を調べることで、効果的な抗菌薬の投与が可能となります。
世界全体の社会的課題として位置づけられる「薬剤耐性(AMR)」。AMRに対する取り組みの重要性やシスメックスグループがAMR対策として取り組んでいる、新たな検査技術の確立と製品開発に懸ける想いを、従業員の対談を通してご紹介します。
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