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「HISCL™ TARC試薬」、重症薬疹診断の血清バイオマーカーとして国内で初めて保険適用

 シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役社長:浅野 薫)は、免疫検査分野のユニーク項目である「HISCL TARC試薬」(以下「本検査試薬」)について、重症薬疹の一つである「薬剤性過敏症症候群(DIHS/DRESS※1)の鑑別診断の補助」として、2024年12月1日付で国内での保険適用を受けたことをお知らせします。本検査試薬は、早期診断が重要な重症薬疹の診断に用いることのできる国内唯一の血清バイオマーカーであり、今後、患者さんはこの客観的かつ迅速な検査法を保険診療下で利用することが可能となります。

  「重症薬疹」は、薬剤の投与により生じる薬疹の中でも生命に関わるものをいい、代表的な疾患にスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)、中毒性表皮壊死症(TEN)、薬剤性過敏症症候群(DIHS/DRESS)などがあります。DIHS/DRESSは、高熱や臓器障害を伴う薬疹で、死亡率は10~20%に上る※2との報告もある重篤な疾患です。薬疹型によって治療方針が異なることや、発症初期の対応がその後の経過を左右するため、早期の鑑別診断が重要とされています。しかし、現状の診断は問診や臨床所見に頼るところが多く、客観的かつ迅速な診断法が求められていました。
 
 本検査試薬は、炎症反応に関連するバイオマーカーの一つである血清中のTARC濃度を、シスメックスの全自動免疫測定装置 HISCL-5000/HISCL-800※3を用いて、17分で迅速測定することが可能な検査キットです。2014年4月に「アトピー性皮膚炎の重症度評価の補助」を使用目的として発売後、2021年6月に「新型コロナウイルス感染症(SARS-CoV-2)陽性患者の重症化リスクの判定補助」、2023年7月に「薬剤性過敏症症候群(DIHS/DRESS)の診断補助」の適応追加承認を取得しており、当社免疫検査分野のユニーク項目の一つとして国内の医療現場で広く使用されています。
 
 このたびの「薬剤性過敏症症候群(DIHS/DRESS)の鑑別診断の補助」における保険適用により、重症薬疹の診断・治療において、血清バイオマーカーによる客観的かつ迅速な検査が国内で初めて保険診療下で実施できることとなります。この新たな検査法への受診機会拡大を通じて、発症初期でのDIHS/DRESSの診断率を高め、早期かつ適切な治療を支えることで、患者さんのQOL向上に貢献します。
 
 今後もシスメックスは、より良いヘルスケアジャーニー※4の実現に向けて、患者さんの負担軽減や検査の質向上、医療費の適正化などに寄与する付加価値のある検査試薬を拡充し、グローバルでの事業拡大を推進してまいります。
【製品の概要】
   

一般的名称

Th2ケモカイン・TARCキット
販売名 HISCL™ TARC試薬
体外診断用医薬品製造販売承認番号  225AAAMX00132000
使用目的 血清中ヒトTARC量の測定(アトピー性皮膚炎の重症度評価の補助、薬剤性過敏症症候群(DIHS/DRESS)の診断の補助、SARS-CoV-2陽性患者の重症化リスクの判定補助)
製造販売元 シスメックス株式会社
 
【保険適用の概要】
   

決定区分

E2 (既存項目・変更有り)
測定項目 D015 血漿蛋白免疫学的検査 18 TARC
測定方法  化学発光酵素免疫測定法(定量)
保険点数  179点
適用開始日 2024年12月1日
 
【参考】
2014年4月21日リリース『アトピー性皮膚炎の検査試薬「HISCL™ TARC試薬」を発売~検査の自動化によりわずか17分で迅速な検査が可能に~』
https://www.sysmex.co.jp/news/2014/140421.html
 
2021年6月7日リリース『Th2 ケモカイン・TARC キット「HISCL™ TARC 試薬」の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)における重症化リスク判定補助としての適応追加承認取得について』
https://www.sysmex.co.jp/news/2021/pdf/210607.pdf
 
2024年2月26日リリース『「HISCL™ TARC試薬」および「HISCL™ ANP試薬」の自社製造を開始 ~免疫検査分野のグローバル展開と事業拡大の加速に向けて、塩野義製薬より製造販売承認を承継~』
https://www.sysmex.co.jp/news/2024/240226.html
【注釈】
  ※1 薬剤性過敏症症候群(DIHS/DRESS):
    高熱や多臓器障害を伴う重症薬疹の一つで、抗けいれん薬などの薬剤で誘発される。薬剤投与後に遅発性に発症し、原因薬剤の中止後も2週間以上遷延すること、体内に潜伏感染しているヒト6型ヘルペスウイルス(HHV-6)の再活性化を伴うことを特徴とする。このような特徴から、発症後2~3週間以降でないと診断が困難であるため、発症初期において薬疹型に応じた適切な検査や治療を行うことが難しいとされている。
     
  ※2 出典:山本泰史ほか. 薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome, DIHS)により急性肝不全をきたした1症例. 日本集中治療医学会雑誌. 2015;22(2):127-131.
    https://doi.org/10.3918/jsicm.22.127
     
  ※3

販売名

医療機器製造販売届出番号
全自動免疫測定装置 HISCL™-5000 28B1X10014000011
全自動免疫測定装置 HISCL™-800 28B1X10014000012
  ※4
「ヘルスケアジャーニー」とは、シスメックスが提唱する概念であり、人が一生の中(ライフステージ)で、自身のヘルスケアについて経験する各種イベントと、医療機関などを含む対応のプロセスを「旅路」として捉えるもの。シスメックスは、一人ひとりのヘルスケアジャーニーがより良いものになるよう、さまざまな協創を通じて新たな価値を提供し、社会にとって不可欠な存在として成長していくことを目指しています。
     

以上

シスメックス株式会社について

シスメックスは、グループ企業理念「Sysmex Way」において「ヘルスケアの進化をデザインする。」をミッションに掲げています。1968年の創立以来、血液や尿などを採取して調べる検体検査分野を中心として事業を展開し、現在は190以上の国や地域で、人々の健康を支えています。長期ビジョン「より良いヘルスケアジャーニーを、ともに。」のもと、一人ひとりの生涯にわたるヘルスケアの旅路「ヘルスケアジャーニー」がより良いものになるよう、検体検査領域でのさらなるイノベーション創出に加え、新たな領域にも挑戦しています。シスメックスは、独自のテクノロジーとソリューション、さらにはさまざまなパートナーとの協創を通じて新たな価値を提供し、健康で長生きしたいという人々の普遍的な願いに寄り添います。
※「ヘルスケアジャーニー」はシスメックス株式会社の登録商標です。

シスメックスの詳細については、www.sysmex.co.jpをご覧ください。

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