シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役会長兼社長:家次 恒 以下「シスメックス」)は、免疫血清検査分野の全自動免疫測定装置HISCL-5000、HISCL-2000iで使用可能なアトピー性皮膚炎マーカー「HISCL® TARC試薬」(以下「HISCL TARC※1」)を塩野義製薬株式会社(以下「塩野義製薬」)と共同開発し、このたび発売することとなりましたので、お知らせします。
本試薬を用いることで、検査の自動化によりアトピー性皮膚炎の迅速な検査が実現できます。これにより、診療前検査が可能となり、検査の効率化に寄与します。
アトピー性皮膚炎は、通常、皮疹の範囲および強さに関する医師の評価、患者の自覚症状により、重症度を判定します。客観的指標としては、血液中のアレルギー炎症を引き起こす細胞を皮膚へ遊走させる因子であるTARCの産生量を測定する検査も行われています。これにより、アトピー性皮膚炎の病勢を免疫学的観点から客観的な数値として示すことができ、医師によるアトピー性皮膚炎の総合的な重症度評価および治療効果の判定に際して有用な情報が提供できます。しかし、検査に時間を要するため、病院内での診療前検査は困難でした。
シスメックスは、より迅速に検査結果を提供することを目指し、塩野義製薬と共同開発を行い、本検査の自動化を実現しました。
今回、新たに発売した試薬「HISCL TARC」は、シスメックスの全自動免疫測定装置HISCL-5000やHISCL-2000iを用いることにより、約17分での迅速な検査が可能となります。これにより、病院内でのアトピー性皮膚炎の診療前検査が可能となり、患者さんの待ち時間の短縮、負担軽減に寄与します。
また、心不全の重症度評価の補助として広く利用されている検査試薬「HISCL® ANP試薬」(以下「HISCL ANP※2」)についても塩野義製薬と共同開発を進め、5月に発売予定です。
シスメックスは、HISCLシステムへの特徴ある検査項目をラインナップすることで、免疫検査分野においても患者さんの負担軽減や検査の質の向上に寄与するとともに、お客様に安心をお届けします。
【新製品「HISCL TARC」について】 |
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<特徴> | ||
1. | 簡便な血液検査によってアトピー性皮膚炎の重症度評価の一助とすることが可能 | |
2. | 既存のTARC産生量を測定する検査では3時間15分を要していたが、今回の自動化により同検査が17分で可能 | |
3. | 検査時間の短縮により、病院内での診療前検査が可能 |
<概要> |
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販売名: | HISCL TARC試薬 (HISCL TARC Assay kit) | |
使用目的: | 血清中ヒトTARC量の測定(アトピー性皮膚炎の重症度評価の補助) | |
測定方法: | 化学発光酵素免疫測定(CLEIA:Chemiluminescent Enzyme Immunoassay)法 | |
測定反応時間: | 17分 | |
発売時期: | 2014年4月 | |
対象市場: | 日本 | |
対象施設: | アレルギー・皮膚科を有する中規模施設から大規模施設 | |
保険点数: | 194点 | |
製造販売元: | 塩野義製薬株式会社 | |
販売元: | シスメックス株式会社 |
【新製品「HISCL ANP」について】 |
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<特徴> | ||
1. | 簡便な血液検査によって心不全の重症度評価の一助とすることが可能 |
<概要> | ||
販売名: | HISCL ANP試薬 (HISCL ANP Assay kit) | |
使用目的: | 血漿中ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)量の測定 | |
測定方法: | 化学発光酵素免疫測定(CLEIA:Chemiluminescent Enzyme Immunoassay)法 | |
測定反応時間: | 17分 | |
発売時期: | 2014年5月 | |
対象市場: | 日本 | |
対象施設: | 循環器内科を有する中規模施設から大規模施設 | |
保険点数: | 233点 | |
製造販売元: | 塩野義製薬株式会社 | |
販売元: | シスメックス株式会社 |
アトピー性皮膚炎マーカー
「HISCL TARC試薬」
心不全の重症度評価補助マーカー
「HISCL ANP試薬」
「全自動免疫測定装置 HISCL-5000」
【注釈】 | |||
※1 | TARC(Thymus and Activation-Regulated Chemokine)は、71個のアミノ酸より構成されるたんぱく質で、特定の白血球を遊走させるケモカイン群の一つです。アトピー性皮膚炎では、さまざまな刺激によって皮膚病変(表皮角化細胞)などから、TARC産生が誘導または増強されます。このTARCがリンパ球の一つであるTh2細胞を病変局所に引き寄せてアレルギー反応を亢進させることで、アトピー性皮膚炎の病態形成に関与し、症状を増悪させると考えられています。 | ||
※2 | ANP(Atrial Natriuretic Peptide)は、心房性ナトリウム利尿ペプチドといい、主に心房で合成・貯蓄され、血液中に分泌されるホルモンです。心房圧による心房筋の伸展によって刺激されるため、心房負担が高まると分泌量が増加します。心不全で上昇する種々の神経体液性因子の中で最もよく心不全の重症度を反映するホルモンであり、心不全患者の重症度および治療経過を評価する指標として有用な検査です。 |