Sysmex Journal Web

2008年Vol.9 No.1

論文

ウサギ脳由来セファリンと大豆由来脂質の混合リン脂質を用いた活性化部分トロンボプラスチン時間測定試薬アクチン FSL の基礎的検討

著者

下村 大樹, 前川 芳明, 山本 慶和, 松尾 収二

天理よろづ相談所病院 臨床病理部

Summary

ウサギ脳由来セファリン ( RBT ) と大豆由来脂質 ( SOY ) の混合リン脂質を用いた,活性化部分トロンボプラスチン時間 ( activated partial thromboplastin time:APTT ) 測定試薬アクチン FSL ( FSL ) の基本的性能を検討した. また,リン脂質がRBT 単独で活性化剤がFSL と同一であるデータファイ・APTT ( Data-Fi ) を対照試薬として,各因子に対する感受性,相関性およびロット間差を比較し,2種類のリン脂質を用いた効果についても検討した.

再現性は同時・日差ともに良好で,試薬の安定性も良好であった. 各因子に対する感受性の比較においては,Data-Fi に比べて未分画ヘパリン,第Ⅷ因子,第Ⅸ因子および第XI 因子に対する感受性はほぼ同程度であったが,FSL はループスアンチコアグラント ( lupus anticoagulant:LA ) に対する感受性が高く,第XII 因子に対する感受性が低かった. 両試薬の相関性はy = 0.812x+9.20,rs = 0.946 であり,高い相関性を認めた。また,両試薬のロット間差はFSL が有意に小さかった. 以上より,FSL はリン脂質としてRBT とSOY の2 種類を組み合わせることで,リン脂質の組成や濃度の変動を少なく調整できる利点を有し,APTT の安定したデータの供給に貢献すると考えられた.

Key Words

APTT, 内因系凝固因子, 混合リン脂質, ループスアンチコアグラント, ロット間差