Sysmex Journal Web

2007年Vol.8 No.3

論文

アデノウイルス迅速診断キットの評価

著者

高橋 和郎*1, 奥野 良信*2, 浜本 芳彦*3, 岡本 健治*4, 谷村 政典*5, 中谷 正晴*6

*1 大阪府立公衆衛生研究所 感染症部
*2 財団法人阪大微生物病研究会 観音寺研究所
*3 浜本小児科
*4 岡本医院
*5 谷村医院
*6 中谷小児内科クリニック

Summary

スティック型のアデノウイルス迅速診断キットであるポクテムS アデノについて,基礎的および臨床的性能を評価した。血清型の異なる9株を用いた検出限界は5.6 × 10~ 3.2 × 10 TCID50/mL の範囲であり,市販の2キットのそれと同等であった. また,ポクテムS アデノは,11種の血清型のアデノウイルスを全て検出でき,一方,アデノウイルス以外の呼吸器症状を起こしうる13種のウイルスおよび26種の細菌類とは交差反応を認めなかった. アデノウイルス感染が疑われた患者からの臨床検体238例を対象に,リアルタイムPCR法との性能評価比較試験では,陽性一致率( 感度 ) は62.9 %であり,比較的低値を示したが,特異性は高かった. 陽性一致率が比較的低値であった主たる原因は,リアルタイムPCR法の感度が非常に高いことがあげられる. 市販の2種のキットを対照に本評価キットの性能を評価したところ,陽性一致率( 感度 ),陰性一致率( 特異性 ),全体一致率共に高い相関性が認められた. 以上より,スティック型の評価キットは臨床領域でのアデノウイルス感染症の迅速診断法として有用であると考えられる.

Key Words

アデノウイルス, 迅速診断キット, イムノクロマトグラフィー, ポクテムS アデノ