Sysmex Journal Web ※このコンテンツは医療従事者向けです

2007年Vol.8 No.2

論文

APTT 測定試薬「アクチン FSL」の基本性能

著者

向出 佳恵*1, 笠井 年和*1, 中村 真佐徳*2, 山内 由里子*2, 野口 啓子*2, 瀧本 良実*2, 川畑 宏志*2,
重田 裕司*2

*1 シスメックス株式会社 学術本部
*2 兵庫県立がんセンター 検査部

Summary

内因系凝固スクリーング検査に広く使用されている活性化部分トロンボプラスチン時間( activated partial thromboplastin time :APTT ) は,試薬中に含まれる活性化剤やリン脂質の違いにより,測定値や内因系の各凝固因子,ヘパリン,ループスアンチコアグラント( lupus anticoagulant:LA ) に対する感度が異なることが知られている. 今回,活性化剤にエラグ酸,リン脂質に大豆およびウサギ脳から抽出した2種類のリン脂質を使用したアクチン FSLが新たに上市され,その基本性能を評価した.

本試薬の同時再現性,日差再現性はそれぞれCV 0.46 %以下,CV 0.60 %以下と良好で,データファイ・APTTとの相関は,相関係数r=0.943,一次回帰式y=0.907x +4.11 であった. また,ヘパリンを添加した血漿でのヘパリン感受性は,データファイ・APTTと同等であり,LA陽性血漿を用いたLA感受性は同等以上であった. このことから,アクチン FSLは,内因系凝固スクリーニングのみならずヘパリン療法のモニタリングやLAのスクリーニング検査など,APTT測定に求められる性能を有しており,ルーチン検査に有用なAPTT試薬と思われた.

Key Words

APTT, 内因系凝固因子, ヘパリン, ループスアンチコアグラント