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2006年Vol.7 No.3
論文高橋 和郎*1, 川渕 貴子*1, 西村 公志*1, 加瀬 哲男*1, 森川 佐依子*1, 馬場 宏一*2, 奥野 良信*1
*1 大阪府立公衆衛生研究所 感染症部
*2 医療法人宏知会 ばば小児科
経験的に小児インフルエンザ患者における病初期の迅速診断の陽性率が低い印象があり,この点を明確にするため,経時的に陽性率を検討した. 2005年 ~ 2006年シーズンの2006年1月12日 ~ 3月1日にB小児科を受診し,典型的なインフルエンザが疑われた238名を対象にした. インフルエンザ感染のゴールドスタンダード診断法としてnested RT-PCR 法を用い,迅速診断法として「ポクテム インフルエンザ A/B」を用いた. 迅速診断の陽性者は165名( すべてA型,全対象者に対する陽性率69% ) であり,PCR陽性は173名( すべてH3亜型,陽性率73% ) であった. 迅速診断の陽性者165名は全例H3亜型が陽性であった. PCR陽性者における,経時的な迅速診断陽性率は,発熱の出現を発症として,発症6時間未満まで,6時間から12時間未満まで,12時間から24時間未満まで,24時間から36時間未満まで,36時間から48時間未満で,それぞれ92( 46/50 ),100( 32/32 ),98( 51/52 ),91( 30/33 ),100( 6/6 )%であった. 以上より,典型的な症状を示す患者においては,迅速診断陽性率は6時間未満でも比較的高値であることが判明し,日常診療での迅速診断の適応を判断する上で有意義な情報になると考えられる.
インフルエンザ, 迅速診断, 経時的陽性率, PCR法
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