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2005年Vol.6 No.3

総説

学校検尿制度による小児腎疾患の診断と治療

著者

金子 一成

関西医科大学 小児科学講座

Summary

昭和48年度( 1973年 ) の学校保健法施行規則の改正により小・中学生の健康診断に尿検査が加えられ30年以上経過した.

今日,そのシステムは確立し,学校検尿異常者の中から無症状で経過している腎疾患,とくに慢性糸球体腎炎( 以下,慢性腎炎 ) が発見され,早期治療および適切な生活管理が行われるようになった.

実際,無症候性蛋白尿・血尿の症例から60 %,蛋白尿の症例から1%,血尿の症例から2%程度の腎炎が発見されている. また小・中学生の慢性腎炎の頻度は0.05%前後と考えられているが,約70 ~ 80 %が学校検尿で発見され,小児腎疾患患者の透析導入抑制効果も証明されている.

このようにわが国の学校検尿制度の必要性・重要性は論を待たないが,一方で現行制度には経済的な課題も指摘されている.

そこで学校検尿という制度の現状,学校検尿陽性児童・生徒の治療・管理方法および経済的側面から見た学校検尿の功罪について述べた.

Key Words

学校検尿, 慢性腎炎, 無症候性蛋白尿, 無症候性血尿, 学校生活管理指導表