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2005年Vol.6 No.3

論文

膠原病および血液疾患における網血小板測定の意義

著者

迫田 裕之*1, 西郷 勝康*2, 増田 由佳子*1, 矢野 美由紀*1, 松永 恭子*1, 向井 正彦*1, 成田 浩子*4,
近藤 信一*5, 鎮西 忠信*5, 中澤 隆*3, 笠木 伸平*3, 古形 芳則*3, 森信 暁雄*3, 河野 誠司*1,3,
熊谷 俊一*1,2,3

*1 神戸大学医学部附属病院 検査部
*2 神戸大学医学部附属病院 輸血部 
*3 神戸大学医学部附属病院 免疫内科
*4 神戸協同病院 検査部
*5 加古川市民病院 内科

Summary

幼若な血小板を網血小板として測定することにより血小板造血能が評価可能であり,XE-2100 のRETチャンネルを用いたImmature Platelet Fraction ( IPF )は,簡便に使用できる施設間差のない指標になる可能性が期待されている.今回,血液疾患および膠原病における有用性を検討したところ,特発性血小板減少性紫斑病( ITP )ではIPF が高値,再生不良性貧血( AA )や肝硬変では低値で,骨髄異形成症候群では個人差が大きかった.膠原病ではITP様,あるいはAA様の病態を呈する場合には極めて有用な診断・経過観察マーカであった.しかし,膠原病では血小板減少の要因が複雑であり,評価困難な症例も多かった.

IPF は自動血球分析装置により容易に得られる血小板造血能の指標として有用であり,トロンボポエチン測定の併用,さらに血小板サイズや血小板あたりのRNA量に関する情報などを加味することにより,より有益な検査血液学的指標になるものと考えられた.

Key Words

XE-2100, IPF, 網血小板, 膠原病, 血液疾患