Sysmex Journal Web ※このコンテンツは医療従事者向けです

2003年Vol.4 No.1

論文

血液ガス・電解質測定装置「OMNI C」の精度評価

著者

福永 壽晴*1, 東 由佳*2, 長口 涼香*2, 山本 博之*2, 中村 まり子*2, 中村 正人*2, 野島 孝之*1

*1 金沢医科大学 臨床病理学教室
*2 金沢医科大学病院 中央臨床検査部

Summary

デスクトップ型血液ガス・電解質測定装置OMNI C ( シスメックス社 )の正確さ及び精密さについて検討した.

健常成人のヘパリン加血液と標準ガス9種類によるトノメトリーと血液ガス測定用標準物質による検討ではOMNI CのpHは7.320 ~ 7.504 の範囲,PCO2は20 ~ 100mmHgの範囲,PO2は30 ~ 280mmHgの範囲でいずれも正確に測定されており,PO2については補正することによりさらに正確に測定されることが示された. イオン選択電極用常用標準血清及び電解質標準血清による電解質項目の正確さの検討ではNa及びClのレベルM,Hでバイアスが許容限界を超えたが,補正により全ての項目( Na, K, Cl, Ca++ )が正確に測定された.

トノメート血による同時再現性ではPCO2・PO2とも極めて高い再現性を示しており,QC823 による血液ガス・電解質の同時再現性も良好であった.

日差変動についてはQC823 では良好な結果が得られたが,専用コントロールであるAUTO-trol TS を用いたAuto-QCによる日差変動はQC823 よりも大きなバラツキを示した. これは,測定系の問題と言うよりは試料またはサンプル量の影響と考えられる.

以上,OMNI Cの正確さ及び精密さは優れており,POCT装置として日常臨床への有用性は高いと考えられる.

Key Words

血液ガス, 電解質, 精度, 正確性