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2001年Vol.2 No.2

論文

高感度検出技術としての遺伝子増幅法

著者

山形 浩一

シスメックス株式会社 中央研究所

Summary

遺伝子増幅法であるPCR( Polymerase Chain Reaction )は, 遺伝子解析技術として, 生物学の分野において広く利用されているが, 近年, 臨床検査分野においても, 新しい高感度検出法として, 注目を集めるようになってきた. 最近,遺伝子増幅法を臨床検査分野に導入するため, 栄研化学(株)及びシスメックス(株)など, 多くの企業により, より簡便な遺伝子増幅法の開発が精力的に行われている. また, 最近, 遺伝子増幅法の原理を応用して, 微量のタンパク質を直接検出する新しい高感度検出法に関する研究が行われている. 即ち, 標的タンパク質に核酸を結合させ, 核酸を増幅することによって, 標的分子を高感度で検出する新しい方法( シグナル増幅法 )が報告され始めている.

本稿では, PCR, 最近報告されている遺伝子増幅法, 及びシグナル増幅法について概観し, これらの臨床検査分野における将来の可能性について述べる.

Key Words

遺伝子増幅, シグナル増幅, 高感度検出, LAMP法