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2001年Vol.2 No.2

論文

多項目自動血球分析装置XE-2100 を用いた破砕赤血球定量測定の開発

著者

Meiyi JIANG *1, 川住 勇*1, 井本 しおん*2, 西郷 勝康*3

*1 シスメックス株式会社 学術部
*2 兵庫県赤十字血液センター
*3 神戸大学医学部附属病院 輸血部

Summary

破砕赤血球( FRC )出現症例( HUS, DIC, 火傷など ), 骨髄移植後血栓性微小血管障害( BMT-TMA )において,FRC%は病態の重症度を反映している. しかし, 塗抹標本での視算法では誤差が大きく, 定量化が難しい. 我々は研究目的で多項目自動血球分析装置XE-2100( 以下XE-2100 )の網赤血球スキャッタグラム上に専用の検出ゲート( Gate 1 )を設定し, 末梢血中のFRC%定量測定を行った. FRC出現検体100例において, この定量測定システムにより算出したFRC%は目視FRC%との間で有意な相関が認められた(r=0.902, P<0.001). 一方, 鉄欠乏性貧血の患者の検体においては, 小球性の赤血球がスキャッタグラムの低い位置に出現し, Gate 1 にオーバーラップするケースが多いため, 補正用のゲート( Gate 2 )を設定し, このゲート内の粒子数とGate 1 の粒子数を合わせて, FRC %算出の補正を行い, その臨床的有用性を検討した結果, 10症例において, 補正後のFRC%は目視FRC%と有意に相関した( P<0.05 ). このFRC定量測定プログラムをXE-2100へ導入することで, より正確かつリアルタイムにBMTTMA患者の病態モニタリングへの有用性が期待できる.

Key Words

破砕赤血球, 定量測定, XE-2100, BMT-TMA