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2021年Vol.22 No.2

論文

全自動血液凝固測定装置 CN-6000 を用いた Early Reaction Error 解析機能改良によるエラー低減効果の検討

著者

山下 智江*1, 岡崎 葉子*1, 今西 孝充*1, 田渕 有香*2, 黒野 浩司*2, 成定 涼介*3, 勝見 宏則*2,
三枝 淳*1

1 神戸大学医学部附属病院 検査部
2 シスメックス株式会社 システムエンジニアリング本部
3 シスメックス株式会社 臨床戦略本部

Summary

活性化部分トロンボプラスチン時間 ( 以下,APTT ) の測定では,初期の濁度変化に続いて明瞭な凝固反応が認められる二相性波形を示す検体が稀に存在する。二相性波形はバイオマーカーとしての機能が期待される一方で,全自動血液凝固測定装置CS-5100,CS-2400,CS-2500,CS-2000i,CS-2100i,CS-1600 ( シスメックス株式会社:以下,CS シリーズ,シスメックス ) では凝固時間の誤報告を防ぐためにEarly Reaction Error ( 以下, ERE ) が付与されて報告不能となることがあり,その付与率の低減が求められてきた。

全自動血液凝固測定装置CN-3000,CN-6000,CN-3500,CN-6500 ( シスメックス:以下,CN シリーズ ) では,従来のERE の解析機能に加えて,二相性反応に対して新規解析機能が追加されたため,ERE の低減効果について評価を行った。

装置はCN-6000を,試薬は活性化部分トロンボプラスチン時間キット トロンボチェック APTT-SLA ( シスメックス ),活性化部分トロンボプラスチン時間キット レボヘムTM  APTT SLA ( シスメックス ),活性化部分トロンボプラスチン時間キット アクチン FSL ( シスメックス ) を使用した。試料は当院におけるAPTTのルーチン測定においてEREが付与された患者試料,および血漿に対して初期の濁度変化を発生させ二相性の反応となるようC 反応性タンパクと超低密度リポタンパク質を加えた添加試料を使用した。また,物理的検出方式である半自動の血液凝固分析装置KC4デルタ ( DS メディカル株式会社:以下,KC4デルタ) を対照装置として相関性評価を実施した。

新規解析機能では評価したすべての試薬についてEREの付与率の低減が確認された。また,KC4デルタとの相関性は良好であり,新規解析機能を用いて算出した凝固時間の妥当性が確認された。CN シリーズでは本機能が搭載されたことによって,CS シリーズでは報告不能であった二相性の反応を伴う検体においても凝固時間を報告できることが期待される。

Key Words

CN-6000, 光学的検出方式, APTT, 凝固波形, 二相性波形