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2020年Vol.21 No.1

論文

全自動血液凝固測定装置 CN-6000の基礎的検討

著者

畑山 祐輝, 市川 ひとみ, 石本 学, 吉岡 明, 山下 典子, 清水 小波, 野上 智, 福田 哲也

鳥取大学医学部附属病院 検査部 

Summary

凝固検査は血栓性疾患および出血性疾患の診断と治療において重要であり、迅速で正確な検査が求められる. 今回我々は、新しい全自動血液凝固測定装置 CN-6000(シスメックス株式会社)の導入を目的に基礎的検討を行ったので報告する. 同時再現性と日差再現性はすべての項目でCV5%以下であった. 希釈直線性は、Fbg:723.5mg/dL、P-FDP:128.7μg/mL、DD:114.1μg/mL、PIC:18.5μg/mL まで直線性を認めた. 最小検出感度は、P-FDP:2.3μg/mL、DD:0.4μg/mL、PIC:0.06μg/mL であった. APTTとFXIII以外の項目は溶血ヘモグロビンは500mg/dLまで、非抱合ビリルビンは30mg/dLまで、抱合ビリルビンは30mg/dLまで、乳びは3,000FTUまで測定値に影響は与えなかった. APTTの測定値はビリルビンの濃度依存的に影響を受けた. FXIIIの測定値は非抱合ビリルビンと抱合ビリルビン、乳びは影響しなかったが、溶血ヘモグロビンの濃度依存的に影響を受けた. 従来機種(全自動血液凝固測定装置 CS-2100i)との相関はすべての項目で相関係数0.99であった. クロスミキシングテストの自動希釈測定とグラフの作成も利用可能であり、同時に算出されるIndex of Circulating Anticoagulant(ICA)は少数例での検討ではあるが、因子欠乏、インヒビターパターンを正しく判定していたことを確認した. CN-6000の導入に伴い検討を行った結果、良好な基礎的性能を確認することができた. 検体処理速度も従来機種より向上したため、報告時間の短縮が期待され、精度管理やメンテナンスも簡便に実施可能と思われた.

Key Words

全自動血液凝固測定装置 CN-6000,クロスミキシングテスト,Index of Circulating Anticoagulant