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2000年Vol.1 No.3

論文

血液細胞画像ファイリングシステム「LAFIA」を用いたTelehematology の試み

著者

三ツ橋 雄之, 川合 陽子, 荒井 智子, 清水 長子, 渡辺 清明

慶應義塾大学 医学部 中央臨床検査部

Summary

病理検査では既にTelepathology の検討が進められてきているが, 血液検査の分野では電子画像を用いての診断や診療支援は未だ一般的ではない. しかし血液検査にもTelemedicine を応用することにより血液細胞画像を利用した病院内における診療支援や病院間での診断支援の実現が期待される. 我々はシスメックス社の血液細胞画像ファイリングシステム「LAFIA」を用いてTelehematology の検討を進めている. 病院内ネットワークを利用したTelehematology では, これまで検査室内での利用に留まりがちであった血液細胞形態の所見が, 院内の様々な場所で利用可能になり, 検査部から臨床側へ向けての診療支援につながるものと思われる. 一方, 病院間にネットワークを構築することにより血液細胞画像の転送が可能となる. 血液を専門とする臨床検査技師や血液専門医のいない病院ではこれらのネットワークを利用することによって基幹病院の技師や医師に血液細胞形態についてのコンサルテーションを画像によって行うことができるようになる. 特に遠隔診断としての画像コンサルテーションの実現は, 血液疾患の診療に大いに役立つことが期待される. 今後のネットワーク環境の整備や患者情報の保護に関する検討が進むことによってTelehematology の更なる発展が期待されるものと考えられる.

Key Words

Telehematology, 画像コンサルテーション, 遠隔診断, 血液細胞画像ファイリングシステム, LAFIA