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2018年Vol.19 No.2

論文

CSシリーズに搭載された抗血小板薬の効果確認の研究用指標PALの基礎評価と既存装置に搭載されている指標との比較検討

著者

定方 智美*1, 坂寄 輔*2, 渡邊 ゆり*2, 兒玉 るみ*1, 足立 絵里加*1, 石原 智子*1, 矢田 恵梨香*1, 三島 清司*1, 長井 篤*1

*1 島根大学医学部附属病院 検査部
*2 シスメックス株式会社 第一エンジニアリング本部

Summary

透過光法による血小板凝集能検査は先天性出血性疾患の診断や抗血小板薬の効果確認に使用されている.抗血小板薬の効果確認については既存の血小板凝集能測定装置には様々な指標が搭載されているが,全自動で測定可能なCSシリーズにはこのような指標が搭載されていなかった.

本稿ではCS シリーズでの血小板凝集能検査の基礎評価に加え,新たに搭載された抗血小板薬の研究用の効果確認指標であるPAL ( Platelet Aggregation Level ) について,既存装置に搭載されている指標 ( 既存2 濃度法) との比較検討を行ったので報告する.

同時再現性の結果はADP とコラーゲンの血小板凝集惹起物質による最大凝集率,PAL ともにCV が7.0% 以内であった.オンボード安定性はADP とコラーゲンで最大凝集率,PAL ともに10 時間まで安定であった.PAL と既存2 濃度法の相関性はADP でy=0.88x+1.16,r=0.90, コラーゲンでy=0.95x+0.17,r=0.89 であった.PAL と既存2 濃度法を3 分類した際の一致率はADP で84.1%,コラーゲンで82.2% であった.

CS シリーズで新たに搭載されたPAL は良好な基礎性能を有していた.また,既存の指標である既存2 濃度法と相関性を示すことが確認できた.CS シリーズはルーチン項目と同じ装置で血小板凝集を測定できることから血小板凝集能検査の普及に寄与できるのではないかと期待される.

Key Words

血小板凝集,透過度法,抗血小板薬,Platelet Aggregation Level ( PAL )