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2018年Vol.19 No.2

論文

新規開発したレボヘム AT, レボヘム プロテインC, レボヘム プラスミノゲン,レボヘム α2-アンチプラスミンの基礎的評価

著者

大谷 春華*1, 坂寄 輔*1, 北野 圭介*1, 道下 雅人*1, 村上 真澄*1, 江頭 舞*1, 嘉藤 伸一*2,
新井 信夫*1, 高岡 秀成*2

*1 シスメックス株式会社 第一エンジニアリング本部
*2 シスメックス株式会社 第二エンジニアリング本部

Summary

合成基質法を測定原理とするレボヘム AT,レボヘム プロテイン C,レボヘム プラスミノゲン,レボヘム α2- アンチプラスミンを新規開発した.これらの試薬群は試薬調製が不要な液状試薬であり,弊社装置の測定アプリケーションを最適化し,酵素試薬と基質試薬の使用量を等量にすることによって,既存試薬で発生していた試薬の廃棄を削減した.また,サンプルカップ用バーコードを同梱することで,サンプルカップでの試薬使用においてもロット管理を実施することが可能となった.今回,これら 4 試薬の基礎的評価を実施したので報告する.

検量線作成の結果から検量線の傾きが既存試薬と比べて大きく,1.6 ~ 3.7 倍感度が高い傾向が示された.同時再現性における変動係数 ( CV ) は正常域で 2% 以下,異常域で 6% 以下と良好な結果を示した.直線性試験ではそれぞれ 150% まで良好な直線性を示した.ヘモグロビン,ビリルビン,トリグリセリドなどの干渉物質による影響は見られなかった.オンボード安定性はそれぞれ 7 日間安定であった.臨床検体を用いた既存試薬との相関性は,すべての項目で相関係数が 0.99 以上と良好であった.

今回の評価結果から,新規に開発した本試薬群は既存試薬に比べて高い感度を有し,良好な基礎性能を確認できた.また,試薬組成の改良による安定性の向上やサンプルカップ用バーコードの同梱などユーザビリティについても向上させており,日常検査に有用であると考えられた.

Key Words

アンチトロンビン,プロテイン C,プラスミノゲン,α2- アンチプラスミン,合成基質法,ユーザビリティ