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2017年Vol.18 No.1
論文(転載)和田 淳, 高木 由里, 河野 麻理, 山本 志緒里, 海道 雅子, 中澤 文恵, 森川 隆
シスメックス株式会社 学術本部
背景
血小板数の測定は止血異常の診断やその治療において不可欠な検査項目である.現在,臨床検査室に普及している自動血球分析装置の血小板測定システムの多くは,健常者末梢血中の血小板数を正確に測定する.しかし,異常血液検体の中には正確な計数が難しいものも存在する.多項目自動血球分析装置XN シリーズ ( シスメックス株式会社;以下,シスメックス) のPLT-F チャンネルは,PLT-O チャンネルを改良した新しい血小板測定系であり,多くの異常血液検体で信頼性の高い測定ができることが知られている.本論文では,正確な血小板測定を実現したPLT-F チャンネルの測定原理について報告する.
方法
多項目自動血球分析装置XN シリーズで血小板,赤血球,および破砕赤血球を測定した.血小板をPLT-F 専用試薬と血小板の表面もしくは細胞内小器官に特異的な抗体 ( 抗- CD62p,CD63,Grp75,Calreticulin,CD41,CD61 各抗体)で共染色し,共焦点レーザー蛍光顕微鏡もしくは汎用フローサイトメーターで解析した.
結果
PLT-F チャンネルは赤血球・破砕赤血球と血小板を正確に識別した.PLT-F 専用試薬は,血小板の細胞小器官であるミトコンドリアを強く染色したが,血小板や赤血球の細胞膜はほとんど染色しなかった.さらにフローサイトメーターでの測定でも,PLT-F 専用試薬は血小板を強く染色し,破砕赤血球とは明瞭に分離した.
結論
PLT-F 専用試薬の血小板と破砕赤血球に対する染色特異性を利用することで,PLT-F チャンネルは正確な血小板測定を実現している.
多項目自動血球分析装置XN シリーズ, PLT-F チャンネル, 血小板測定システム, 血小板小器官, ミトコンドリア
*本稿は,PLOS ONE 10 (10) : e0141311. doi:10.1371/journal.pone.0141311の文献を翻訳・転載したものです.
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