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2016年Vol.17 No.3

論文

MRI 検査における膀胱用超音波画像診断装置を用いた膀胱内蓄尿量測定の有用性

著者

中村 泰典, 中川 稔章, 大澤 透, 水田 正芳

京都府立医科大学附属病院 放射線部

Summary

MRI 膀胱検査において蓄尿量が少ない場合における検査の中断を防ぐため,MRI 膀胱検査における膀胱用超音波画像診断装置 ブラッダースキャンシステムBVI6100 ( 以下,BVI6100;シスメックス社) 使用の有用性を検討した.調査対象は膀胱腫瘍と診断された45 名でありBVI6100 の蓄尿量測定値とアンケート調査による蓄尿感を比較検討した.この結果,アンケート調査における蓄尿感は参考程度にしかならないことが確認された.また MRI のデータを用いてのBVI6100 の蓄尿量測定精度を評価し,評価より得られる精度外における症例を検討した.蓄尿量測定精度を調べるため,BVI6100 の測定値と3D-T2W イメージデータから求められた蓄尿量測定値を比較した結果,BVI6100 の測定精度が高いことが確認された.測定精度の結果から得られた精度外における症例は,形態や変形が大きい膀胱や膀胱内に腫瘍が存在する場合,膀胱前側に臓器が存在する場合,測定者のトレーニング不足による測定であった.

検査直前のBVI6100 を使用しての測定は蓄尿量の把握ができ,検査を始めるか否かの目安になる.そのため蓄尿量が少ない場合の検査の中断を防ぐことができた.今後MRI 検査においてもBVI6100 の普及を望む.

Key Words

MRI, 超音波診断装置, 蓄尿量, 膀胱