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2010年Vol.11 No.2

論文

全自動尿中有形成分分析装置UF-1000i を用いて異型細胞を検出するためのロジックの検証

著者

山中 陽子*1, 杉本 深雪*1, 久保田 玉美*1, 坂元 登*1, 西垣 眞澄美*1, 高田 政文*2

*1 加古川市民病院 診療支援局 臨床検査科
*2 加古川市民病院 内科

Summary

フローサイトメトリー法による尿中有形成分定量測定は診療報酬にも収載されている測定方法で,主に血球類, 細菌の定量に優れている測定法である. 当院では全自動尿中有形成分分析装置UF-1000i ( 以下,UF-1000i  シスメックス社 ) を2007 年度に導入し,UF-1000i  の有用性の検証を実施してきた. 従来の目的であった迅速報告をすることは可能になったが,異型細胞の見逃しがあるかもしれないという懸念が残っていた. 泌尿器科の膀胱癌スクリーニング検査における異型細胞の検出には尿沈渣所見の報告が有効であると考えられるため,今回,我々はUF-1000i  のデータを用いて異型細胞の鏡検を行うべき検体を抽出するための再検条件について,現在設定している条件に,60 歳以上の男性で赤血球数20個/HPF 以上を追加し,その有用性を検討した. 尿沈渣所見にて異型細胞が検出された検体の再検理由を確認したところ,新たな再検条件を設定せずとも当初の設定で十分に異型細胞の検出が可能であることが判明した.

Key Words

尿沈渣, 異型細胞, UF-1000i