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2009年Vol.10 No.3

論文

当院において実施した血液培養陽性患者サーベイランスの報告

著者

岡崎 充宏*1, 武田 英紀*2, 佐野 彰彦*3, 西 圭史*4, 河合 伸*5, 後藤 元*6

*1 杏林大学医学部付属病院 臨床検査部
*2 東京女子医科大学 東医療センター
*3 医療法人社団博彰会 佐野病院
*4 杏林大学 医学部付属病院 薬剤部
*5 杏林大学 医学部 総合医療学
*6 杏林大学 医学部 第1内科

Summary

我々は,2003 年から2005 年の間に,血液培養陽性患者を対象とした計5回のサーベイランスを行った.

本サーベイランスの目的は,①血液培養ボトルの複数回採血の普及,②検出菌の臨床的意義の検討,③有意と判断された起因菌の血液中への侵入門戸の検討,④適切な手技による採血方法の啓発とした. 対象は,血液培養が陽性となった16歳以上の全症例で,当院入院および外来 ( 入院後,48時間以内に血液培養が実施されて陽性となった症例 ) 患者を含む. サーベイランスは医師,看護師,薬剤師および臨床検査技師によるメンバーが病棟ラウンドを行い, 臨床的および細菌学的な情報を収集し集計した。複数回採血率は定期的なサーベイランスの実施により多少の増減を繰り返しながら上昇し,2005年の5回目以降では70%以上を維持した. 検出菌の有意菌および汚染菌の割合は,それぞれ57.7%および30.2%であり,判定不明の菌株が10.5%であった。侵入門戸の調査では,それぞれの菌において特徴を認めた.

本ラウンドの経験から,ラウンドチームは人選が重要であること,ラウンドにおいては多職種者による専門的な知識や経験を活かせることが分かった. また,臨床検査技師の役割は,臨床医のニーズを知ること,臨床的に重大な症例においては可能な限り迅速な結果報告を行うこと,検査室から臨床医へのアプローチを積極的に行うことであると考えられた.

Key Words

血液培養, 2セット採血, ICT ラウンド, 有意菌, 汚染菌