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2009年Vol.10 No.2

論文

全自動血液凝固測定装置CA-550 を用いた犬の基準値と測定テクニック

著者

人見 誠

ひとみ動物病院

Summary

近年,動物医療領域でも血液凝固系検査の重要性は注目されている. しかし,日本における動物用の血液凝固測定装置の選択肢は少ない. 我々は全自動血液凝固測定装置CA-550 ( 以下,CA-550;シスメックス社 ) を用いて,健康診断に来院し,健康と診断された犬から凝固系検査の基準値を求めた. また,その基準値をもとに播種性血管内凝固症候群 ( disseminated intravascular coagulation:DIC ) の判定基準を設定した.

その結果,凝固系検査の基準値はPT:4.68 ~ 7.04sec ( N=307 ),APTT:11.12 ~ 15.93sec ( N=306 ),Fib:81~ 272mg/dL ( N=303 ),ATⅢ:> 95% ( N=300 ) であった. DIC 判定基準はCarr ら ( 2002 ) を参考にCA-550 を用いた当院での判定基準を検討した. 判定項目は① DIC と関連する基礎疾患に加え,② PLT,③ PT,④ APTT,⑤ FDP,⑥ ATⅢ,⑦ Fib において,②~⑤のうち3 項目,②~⑦のうち4項目の異常を満たしたものについてはDIC と判断している.

また,CA-550 の動物病院での使用に適した測定テクニックを検討したので,今回合わせて報告する.

Key Words

動物医療, 血液凝固, CA-550, DIC, 犬