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血液から肝線維化の進行度を定量的に測定する免疫検査用試薬「HISCL™ M2BPGi™-Qt 試薬」が保険適用

~2024年2月より国内販売開始、順次海外へ導入~

 シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役社長:浅野 薫)は、慢性肝炎・肝硬変の患者さんの診断・治療において、血液のみで肝臓の線維化の進行度を定量的に評価できる検査用試薬「HISCL M2BPGi-Qt 試薬」(以下、「本製品」)について、2023年12月20日より保険適用が開始されたことをお知らせします。本製品は、より精緻な検査結果に基づく肝臓の線維化ステージの診断をサポートし、慢性肝炎に起因する疾病の早期発見や治療モニタリングに貢献します。なお2024年2月より国内での販売開始を予定しています。

 慢性肝炎は、ウイルス性肝炎、過度のアルコール摂取、非アルコール性脂肪肝(NAFLD※1)などを原因として、肝臓の細胞が破壊され慢性的に炎症を引き起こす状態を指します。継続的に肝臓が損傷を受けることで、肝臓の線維化が起こり、その進行は、肝硬変や肝細胞がんなど重篤な病態をもたらす可能性があるため、慢性肝炎に起因する疾病の診断や治療モニタリングにおいては、肝線維化の進行度を評価することが重要です。一方、その診断には、入院が必要で侵襲性が高い肝生検(生体組織診断)が必要となっています。
 また近年では、治療の進歩により経口薬でC型肝炎ウイルスを消失させることが可能になりましたが、ウイルス消失後でも肝細胞がんを発症する事例があることから、肝細胞がんを発症するリスクの高い方を見つけて、早期に確定診断や治療につなげていくために、肝線維化の進行度を簡便にモニタリングできる低侵襲かつ信頼性の高い検査へのニーズがいっそう高まっています。

 シスメックスは、2013年12月、肝臓の線維化ステージを反映するタンパク質の糖鎖構造を捉えることで、肝線維化の進行を血液のみで評価する検査用試薬「HISCL M2BPGi 試薬」※2について、国内における製造販売承認を取得し、2015年1月に保険適用を受けました。このHISCL M2BPGi 試薬※2は、免疫検査分野における当社独自の項目の一つであり、患者さんへの負担が少ない画期的な検査として、多くの医療機関において慢性肝炎および肝硬変の診断・治療を支えてきました。

 「HISCL M2BPGi-Qt 試薬」は、2023年11月20日に体外診断用医薬品として国内での製造販売承認を取得し、12月20日より保険適用が開始されました。本製品は、既存技術を進化させ、病態を識別するための測定結果を、カットオフインデックス(陰性(-)、陽性(1+)、陽性(2+)の3分類)※3からM2BPGiの濃度(AU/mL)に変更し、肝線維化の進行度の定量的評価を実現しました。これにより、より精緻な検査結果に基づく肝臓の線維化進展の診断を支援し、慢性肝炎に起因する疾病の早期発見や経過観察、治療後のモニタリングに貢献します。さらに、本製品による定量値データを用いて、疾患ごとに肝臓の線維化ステージをより適切に評価するための基準値の研究や、肝細胞がんへの進行リスク判定における有用性の研究など、慢性肝炎の検査における新たな臨床価値創出への貢献も期待されます。
 今後、まずは2024年2月の国内発売を目指して準備を進め、その後海外にも順次、導入を進めていく予定です。
 
 シスメックスは、健康で長生きをしたいという人々の普遍的な願いに寄り添い、人々のヘルスケアジャーニー※4がより良いものになるよう、価値の高い検査・診断技術の確立および国内外への普及促進に取り組んでまいります。
 
【新製品の概要】

一般的名称

Mac-2結合蛋白(M2BP)糖鎖修飾異性体キット
販売名 HISCL™ M2BPGi™-Qt 試薬
体外診断用医薬品製造販売承認番号 30500EZX00052000
使用目的
血清又は血漿中のMac-2 Binding Protein (M2BP) 糖鎖修飾異性体の測定(肝臓の線維化進展の診断の補助)
保険収載内容 D007-48 Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体 194点(適用日:2023年12月20日)
製造販売元 シスメックス株式会社
対象市場 日本
発売時期 2024年2月(予定)

 

  【参考】
    2013年12月26日リリース『世界初となる糖鎖マーカーを用いた肝線維化検査技術の実用化に成功 ~肝炎から肝硬変に至る肝臓の線維化の進行度を迅速に判定~』
https://www.sysmex.co.jp/news/2013/131226.html
     
    2015年1月5日リリース『肝臓の線維化検査用試薬(HISCL M2BPGi試薬)が保険適用 ~血液で慢性肝炎から肝硬変に至る肝臓の線維化の進行度を迅速に判定~』
https://www.sysmex.co.jp/news/2015/150105.html
     
 
  【注釈】
  ※1 欧米関連学会によるNAFLDおよびNASH(非アルコール性脂肪肝炎)の「MASLDおよびMASH」への病名変更の発表を受け、日本肝臓学会からも、この病名変更と分類に賛同することが発表されています。本プレスリリースでは従来の名称を使用しておりますが、今後の発表文書においては、診断ガイドライン等の改定動向に従い、順次「MASLDおよびMASH」を使用していく予定です。
出典:一般社団法人日本肝臓学会 2023年9月29日お知らせ「NAFLD,NASHの病名変更」
 
  ※2 一般的名称: Mac-2結合蛋白(M2BP)糖鎖修飾異性体キット
販売名:     HISCL™ M2BPGi™ 試薬
体外診断用医薬品製造販売承認番号:22500AMX01930000
製造販売元:  シスメックス株式会社
 
  ※3
カットオフインデックス(C.O.I):
既知濃度の試料と比較した場合の発光強度の相対値であり、検体中の抗体量(ここではM2BPGi量)を示す。既存の「HISCL M2BPGi 試薬」による測定では、このC.O.Iに基づき、陰性(-)、陽性(1+)、陽性(2+)を判定する。
 
  ※4
「ヘルスケアジャーニー」とは、シスメックスが提唱する概念であり、人が一生の中(ライフステージ)で、自身のヘルスケアについて経験する各種イベントと、医療機関などを含む対応のプロセスを「旅路」として捉えるもの。シスメックスは、一人ひとりのヘルスケアジャーニーがより良いものになるよう、さまざまな協創を通じて新たな価値を提供し、社会にとって不可欠な存在として成長していくことを目指しています。
 
以上

シスメックスについて

シスメックスは、グループ企業理念「Sysmex Way」において「ヘルスケアの進化をデザインする。」をミッションに掲げています。1968年の創立以来、血液や尿などを採取して調べる検体検査分野を中心として事業を展開し、現在は190以上の国や地域で、人々の健康を支えています。長期ビジョン「より良いヘルスケアジャーニーを、ともに。」のもと、一人ひとりの生涯にわたるヘルスケアの旅路「ヘルスケアジャーニー」がより良いものになるよう、検体検査領域でのさらなるイノベーション創出に加え、手術支援ロボットや再生細胞医療などの新たな領域にも挑戦しています。また、長期ビジョン実現に向けて優先するSDGs項目とマテリアリティ(優先的に取り組むべき課題)を特定し検証することで、社会価値と経済価値を創出するサステナブル企業として成長し続けます。シスメックスは、独自のテクノロジーとソリューション、さらにはさまざまなパートナーとの協創を通じて新たな価値を提供し、健康で長生きしたいという人々の普遍的な願いに寄り添います。

シスメックスの詳細については、www.sysmex.co.jpをご覧ください。

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  • 本プレスリリースは、ステークホルダーの皆さまに企業活動をお伝えするために実施しています。当社製品や研究開発の情報を含む場合がありますが、これらは製品に関するプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。また、掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。

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