プレスリリース
シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役社長:浅野 薫)は、遺伝性網膜ジストロフィ(Inherited Retinal Dystrophy: IRD)※1の患者さんまたはIRDと疑われる患者さんの血液から包括的なゲノムプロファイル※2を取得することで、IRDの原因遺伝子の同定に有用な情報を提供する「PrismGuide™ IRDパネル システム」(以下「本システム」)が、IRDの遺伝子パネル検査※3システムとして国内で初めて保険適用を受けたことをお知らせします。シスメックスの子会社である株式会社理研ジェネシス(本社:東京都品川区、代表取締役社長:岩壁 賢治 以下「理研ジェネシス」)が、2023年9月より本システムを用いたアッセイサービスを開始予定です。
【製品の概要】
一般的名称 |
生殖細胞系列遺伝子変異解析セット(疾患原因遺伝子検査用)
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販売名 | PrismGuide™ IRDパネル システム※13 | |
医療機器製造販売承認番号 | 30500BZX00129000 | |
使用目的又は効果 | 本品は、遺伝性網膜ジストロフィと診断された患者又は疑われる患者の疾患原因遺伝子の情報を取得する。 | |
承認条件 | 遺伝性網膜ジストロフィに関連する十分な知識及び経験を有する医師が、関連学会の最新のガイドライン等に基づく検査の対象及び運用指針を遵守した上で、遺伝性網膜ジストロフィパネル検査に基づく診療体制が整った医療機関で本品を用いるよう、必要な措置を講ずること。 | |
製造販売元 | シスメックス株式会社 | |
対象市場 | 日本 |
【保険適用の概要】
決定区分 |
C2(新機能・新技術)
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保険点数 | 20,500点(適用日:2023年8月30日) |
留意事項 | (1)本検査は、臨床症状、検査所見、家族歴等からRPE65遺伝子変異による遺伝性網膜ジストロフィと疑われる者であって、十分な生存網膜細胞を有することが確認された者に対して、血液を検体とし、遺伝性網膜ジストロフィの疾患原因遺伝子の情報を取得するものとして薬事承認又は認証を得ており、厚生労働省難治性疾患政策研究事業において「網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究班網膜ジストロフィにおける遺伝学的検査のガイドライン作成ワーキンググループ」が作成した「遺伝性網膜ジストロフィの原因となりうる主な遺伝子」リストに記載されている遺伝性網膜ジストロフィの関連遺伝子の変異を評価可能な医療機器等により次世代シーケンシングを用いてボレチゲン ネパルボベクの適応の判定の補助を目的として実施した場合にのみ、患者1人につき1回に限り算定できる。 (2)本検査は、厚生労働省難治性疾患政策研究事業において「網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究班IRDパネル検査における遺伝学的検査運用ガイドライン作成ワーキンググループ」が作成した検査運用指針に従って実施された場合に限り算定する。 (3)本検査は、遺伝カウンセリング加算の施設基準に係る届出を行っている保険医療機関で実施すること。ただし、遺伝カウンセリング加算の施設基準に係る届出を行っている保険医療機関との連携体制を有し、当該届出を行っている保険医療機関において必要なカウンセリングを実施できる体制が整備されている場合は、この限りではない。 |
2020年3月5日リリース『シスメックス、地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立神戸アイセンター病院と包括連携契約を締結 ~眼科疾患領域におけるゲノム医療の実現に向けた連携を強化~』 https://www.sysmex.co.jp/news/2020/pdf/200305_01_j.pdf |
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2021年9月3日リリース『遺伝子パネル検査システムを用いた「遺伝性網膜ジストロフィにおける遺伝子診断と遺伝カウンセリング」の先進医療 B 承認について』 https://www.sysmex.co.jp/news/2021/pdf/210903.pdf |
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2023年6月5日リリース『遺伝性網膜ジストロフィの遺伝子パネル検査システム「PrismGuide™ IRDパネル システム」が国内初の製造販売承認を取得 ~原因遺伝子に基づく個別化診断を支援し患者さんのQOL向上に貢献~』
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2023年8月30日 株式会社理研ジェネシス リリース『遺伝性網膜ジストロフィの遺伝子パネル検査システム「PrismGuide™ IRDパネル システム」の次世代シークエンサーを用いたアッセイサービス開始のお知らせ』
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※1 | 遺伝性網膜ジストロフィ(Inherited Retinal Dystrophy: IRD): 遺伝子変異が原因と考えられる遺伝性進行性の疾患であり、日本における指定難病の網膜色素変性症(指定難病:告示番号90)、黄斑ジストロフィ(指定難病:告示番号301)、アッシャー症候群(指定難病:告示番号303)が含まれる。類似の症状を示すいくつかの疾患を総じて遺伝性網膜ジストロフィと呼ぶ。夜盲(暗いところでものが見えにくくなる)や視野狭窄(視野が狭くなる)、視力低下が主な症状であり、進行すると場合によっては失明に至ることもある。代表的な疾患は網膜色素変性症であり、頻度は4,000~8,000 人に1人*とされている。 *出典:難病情報センターホームページ(2023年8月21日現在)より改変 https://www.nanbyou.or.jp/ |
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※2 | 包括的なゲノムプロファイル: 疾患の診療上重要な、検体中の複数の遺伝子の変異を同時に解析して得られる情報。 |
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※3 |
遺伝子パネル検査:
関連する複数の遺伝子の変異状況を一度に調べる検査法。 |
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※4 |
ロービジョンケア:
視覚に障害があるため、生活上何らかの支障がある方に対するすべての支援の総称であり、医療的なケアから教育的、職業的、社会的、福祉的、心理的ケアまで、広い範囲にわたる支援を意味する。 |
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※5 | 遺伝カウンセリング: 日本医学会によると、疾患の遺伝学的関与について、その医学的影響、心理学的影響および家族への影響を人々が理解し、それに適応していくことを助けるプロセスであり、リスクや状況に対するインフォームド・チョイス(十分な情報を得た上での自律的選択)と適応を促進するためのカウンセリングなどが含まれるとされている。 |
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※6 |
遺伝子治療:
遺伝子の欠損や正常に機能しないことなどによる病気に対して、体外より患者さんの細胞に遺伝子を導入し、細胞内で新たに発現させることにより、遺伝子異常を有する細胞に正常遺伝子を補充し、治療効果を得る治療法(in vivo 遺伝子治療)。
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※7 | RPE65遺伝子変異: RPE65遺伝子はIRDの原因遺伝子の1つであり、この遺伝子に変異があると、正常な視覚サイクルを回すために必要なRPE65タンパク質が不足するため、視覚障害が生じると考えられている。 |
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※8 | ルクスターナ注(一般名:ボレチゲン ネパルボベク): IRDの原因遺伝子の1つであるRPE65遺伝子の機能欠損を補う遺伝子補充療法として、2017年12月に米国、2018年11月にEUで承認されている。国内では、ノバルティス ファーマ株式会社が2023年6月26日に「両アレル性RPE65遺伝子変異による遺伝性網膜ジストロフィー」に対する遺伝子治療として製造販売承認を取得し、2023年8月30日付で薬価収載される。 *参考:2023年8月30日 ノバルティス ファーマ株式会社 リリース『ノバルティス、両アレル性RPE65遺伝子変異による遺伝性網膜ジストロフィーに対する遺伝子補充療法「ルクスターナⓇ注」新発売 -眼科疾患における初めての遺伝子補充療法 -』 |
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※9 |
参考:日本網膜硝子体学会『「遺伝性網膜ジストロフィの原因となりうる主な遺伝子」リスト』https://www.jrvs.jp/guideline/index.html |
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※10 | 参考:日本網膜硝子体学会『遺伝性網膜ジストロフィの遺伝子パネル検査システム「PrismGuide™ IRD パネルシステム」の保険診療(算定)の対象患者の基準、実施施設の基準、予定実施検査施設数、および想定年間検査数の指針に関するお知らせ』https://www.jrvs.jp/guideline/index.html |
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※11 | エキスパートパネル: 関連学会が提示する要件を満たした医療機関において、IRDに関する専門家(眼科医)、遺伝医学に関する専門家(臨床遺伝専門医)、分子遺伝学やゲノム医療に関する専門家など各分野の専門家が集い、遺伝子パネル検査の解析結果の意義づけと治療法およびロービジョンケア方針の検討・提案を行う会議。 |
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※12 | 「ヘルスケアジャーニー」とは、シスメックスが提唱する概念であり、人が一生の中(ライフステージ)で、自身のヘルスケアについて経験する各種イベントと、医療機関などを含む対応のプロセスを「旅路」として捉えるもの。シスメックスは、一人ひとりのヘルスケアジャーニーがより良いものになるよう、さまざまな協創を通じて新たな価値を提供し、社会にとって不可欠な存在として成長していくことを目指しています。 |
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※13 | 本システムは、試薬キットおよび解析プログラムで構成されるコンビネーション医療機器で、イルミナ株式会社の遺伝子解析装置MiSeqDxシステム(医療機器製造販売届出番号 13B1X10303000002)を組み合わせて使用する。 |