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2008年Vol.9 No.3
総説宿谷 賢一, 下澤 達雄
東京大学医学部附属病院 検査部
2002年に日本臨床衛生検査技師会髄液検査法編集ワーキンググループ ( 委員長:大田喜孝 ) より「髄液検査法2002」が出版され,実質上の髄液一般検査のガイドラインになっている.
本書が発刊され,すでに6年が経過し,髄液一般検査は着実に標準化に向かっている. また,日々の研鑽により,白血球の分類だけでなく白血病細胞や癌細胞などの鑑別が可能となり,髄液一般検査のレベルは向上した. しかし,未だにメランジュールの使用や細胞数の単位に/3mm3 を用いるなど,ガイドラインの方法に準じて検査されてない施設があり,細胞鑑別などの技術的な施設間差が生じているのが現状である.
髄液一般検査は,髄膜炎・脳炎の診断のため,日常検査として24時間対応可能でなければならず,また,脳腫瘍,髄膜白血病などの検査方針や治療効果の把握のため重要な検査の一つとして位置づけられている. しかしながら,髄液一般検査の実施件数は,血液・尿検査とは比較にならないほど少数のため,各医療機関の検査室では,検査技術の精度を維持することが難しく,かつ,スタッフへの教育が問題になっている. 今後は,より一層の標準化を進めるうえで,検査方法のみでなく,各個人の力量を踏まえた教育方法の確立が必要になる.
本稿では,「髄液検査法2002」に準じて髄液検体の取り扱い,細胞の算定と分類,および化学的検査について解説するとともに,当検査部で実施している教育を目的とした実例と工夫を加えて紹介する.
脳脊髄液, CSF
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