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2006年Vol.7 No.1

総説

乱用薬物検査キットトライエージDOAの特異性

著者

奈女 良昭, 西田 まなみ, 屋敷 幹雄, 木村 恒二郎

広島大学大学院 医歯薬学総合研究科 法医学

Summary

尿中乱用薬物検査キット「 トライエージDOA 」は,簡便かつ迅速に尿中薬物を検査するキットである. トライエージDOAは抗原抗体反応を利用し,8種の薬物群 ( フェンシクリジン類 ( PCP ),ベンゾジアゼピン類 ( BZO ),コカイン系麻薬 ( COC ),覚せい剤( AMP ),大麻 ( THC ),モルヒネ系麻薬 ( OPI ),バルビツール酸類 ( BAR ),三環系抗うつ剤( TCA )) の検出が可能である. 特別な知識や技術がなくても検査できるため,救命救急や法医学分野での薬物検査に汎用されており,有用性は高く評価されている. その反面,検査できる薬物の特異性や検出感度を充分理解して使用しないと誤った解釈をする恐れがある. とくに,目的とする薬物以外にも交差反応して偽陽性を示す場合があり,結果の判断には注意を要する.

本稿では,検出薬物の特異性や検出感度の参考となる知見を整理して解説する。操作法や有用性の評価については多くの報告があるので本稿では割愛する.

Key Words

トライエージDOA, 薬物スクリーニング, 特異性